幻燈日記帳

認める・認めない

6泊7日

『20/20』のリリース時、メジャーデビューと言うこともあってプロモーションは大変加熱。当時のスケジュールを見てみると名古屋キャンペーン→名古屋でライヴ→大阪に移動してライヴ→大阪キャンペーン→関西キャンペーン→福岡キャンペーン→広島キャンペーンと言う行程でした。驚異の7泊8日。レンタルヴィデオでしか見たことない数字だった。そして今回『トワイライト』がリリース。2枚目と言うこともあり、少し落ち着いたとはいえ今回は6泊7日。そしてこれを書いている現在はその6泊目だ。

7/3、前日の23時までリハーサルに入り、家に帰ってラジオの選曲、旅の支度をするともう3時半になっていた。5時半に起きなければいけない、と言うプレッシャーからなんども途中で目が覚めた。ようやく充実した眠りが手を引いている、と思った頃には目覚ましが鳴った。ほぼ始発のバスに乗り、東京駅を目指す。8時の新幹線だから30分前にはついて焼き鳥でも買おう、と思っていたらフードエリアが開くのは8時ジャストとのことだった。売店シウマイ弁当を購入。弁当バーっと食べて即ぐーっと眠って京都についたら牛になっていた。a-stationにて岡村詩野さんのラジオの収録からスタート。その後も各種媒体を渡り歩いたあと、タワレコインストアを終えもう一本ラジオを録ってこの日は終了。

7/4は神戸に渡り生放送をひとつこなす。しかし具合が悪くなる。軽い脱水か熱中症か。無理やり腹に沈めたサンドウィッチも味がしない。嫌な予感を抱えながらもポカリスウェットをがぶ飲み。名古屋へ移動。つかの間眠ったらとんでもない量の寝汗をかいていて、体調不良もどこかに飛んでいた。新幹線降りようとしたら自分が座っていた席の頭のところについてるシーツみたいなのがビッシャビシャになっていた。驚いた。名古屋に無事つきラジオを中心に収録、この日もインストアで終了。

7/5は名古屋でツアー2日目。キャンペーンを組んで貰わなかったので体力に余裕がある中でリラックスした演奏が出来た。袖から見たり客席から見たりしたグッドラックヘイワさんも最高だった。最小限のアンサンブルから無限に広がる感じ!ライヴが終わりそのまま車移動で大阪。いつも泊まるホテルは風呂が狭小のため、ひとりスーパー銭湯に行った。料金システムをみると1時間コースか3時間コースとあったので悩んでいたら「料金は後払いなんです」と言われたので、入った感じでどうするか決めよう、と風呂に浸かりに行った。体を洗い、頭を洗い、顔を洗う。いくつか風呂を楽しんでいたらたまたま居合わせた酔っ払い風の4人組に妙に絡まれる。その中のひとりが仲間に「サウナ入らんの!」としつこく誘い「俺はいいよ、のんじゃったし」とフラれていたがその男はひとりでサウナに入り、太めのションベンをぶっかましていたのがサウナについていた丸窓から見えた。週末を恨む。酒を恨む。サウナを恨む。人生を恨む。「3時間コース」の可能性にワクワクしていた自分はもういない。早急にスーパー銭湯を出た。帰り道に遅くまで開いている薬局があったため、VICKSを買おう、と入ったら「ずっとつづく」がかかっていた。ああ、神様、この仕打ちは褒美でしょうか、罰なのでしょうか。

7/6。早起きしてkyutaroにうどんを食べに行く。小を2つキメる。小2つは中1つじゃない?セレブがゆえに行きはタクシーを使ったが、やはりセレブではないという気づきがあったので帰りは地下鉄に乗った。知らない地下街の出口がどこかを探すのに戸惑いながらも宿に戻る。クアトロでリハ。3日目にもなると演奏もリハも小慣れてくる。グッドラックヘイワさんの本番はクアトロの関係者席の座席に座りじっくりみる。昨日見たよりも大地さんのドラミングがよく見えてシビれた。「neguse」で左手スティック、右手ブラシのニュアンスの使い分け、感動してしまった。スカートの本番もとてもいい具合に出来た。具体的に言うならばアルバムの世界にお客さんをグッと引き寄せることが出来たんじゃないか、と言う手応えがあった。名古屋では出来なかった打ち上げを徹底的にやる。僕は一杯目に赤ワインを選び撃沈。グラス交換制だったため、水のみをオーダーしちょっとずつ赤ワインの残機を削っていたら佐久間さんが空になったビールのグラスに赤ワインをうつしてくれた。「余裕です」と言う顔をしながらあとはソフトドリンク飲みながら自分の将来を心配する31歳、大変失礼しました。2次会にまで発展。明け方に花巻そば食ってさらに撃沈。「お蕎麦は食べても太らない」を信じるかい?

7/7。チェックアウトの時間にホテルを出て、メンバー車に大阪駅まで送ってもらう。とんでもない荷物を抱えながら京都へ向かった。でたらめに乗った電車が本当に京都駅につくかどうかわかるまでの緊張感ったらないよね。都会の風景が田舎の風景に変わり、車窓は突然京都の街並みになった。a-stationでナイポレ収録。ゲストに台風クラブの石塚君が来てくれた。音楽の話をしたのでもちろん楽しい。最高でした。次の次の放送分のはず。京都から博多の新幹線、最終便を取ってくれていたから乗車変更を済ませ、新幹線に乗る。基本的に眠っていたのだけど時々目を覚まして窓の外を見ると、真っ暗な中、時々街灯が見えて、子供の頃に見たUFO特番みたいだな、なんて少し思った。ぼんやりしながらの行動だったからついた頃には21時を過ぎていた。ホテルにチェックインしてぼーっとする。晩御飯はどこにしようか、と考え近くのもつ鍋屋に入る。何食べても美味しかった。欲望のままにごまカンパチとか頼んでいたらお会計が5000円超えてて逆に誇らしい気持ちになった。この時点で5泊目。溜まっていた洗濯物を全部洗うことにした。0時過ぎにランドリーにぶち込んだところ、2時間かかるとのこと。アラームをつけて不貞寝。2時間後、仕上がった状態の洗濯物しか想像していなかったのでドラム式のそれから取り出そうとバーガンディ色のポロシャツに手が伸びたと同時に涙が溢れる。ぜんっぜん乾いていなかった。乾燥機能だけ使えるので二台に分けて乾燥させよう、と100円を投入、残り30分と言う表示がでる。もう一台に100円を投入するも洗濯機がうんともすんとも反応しなくなってしまった。フロントに連絡して100円返してもらってもう一度お金を投入すると中のカウントは生きていたらしく残り1時間と言う表示が見えた。3時が近づいていた。30分の方に追加の30分を追加することも出来ず、また部屋に帰る。30分ずつ様子を見に行ったがなんとまだ乾いていなかった。もうどうにでもなれ!200円ずつ投入。さらに60分の乾燥タイムを設け、部屋で不貞寝。アラームがけたたましく鳴り響き、ようやくホカホカの洗濯物と対面することが出来た。

7/8。ろくに寝ていない気がする。ろくに寝ていないんだから事実だ。仕方ない。それでもハイダルに入った。警固の先にあるバングラデシュカレーのお店。かつて堂島孝平さんに教えてもらったお店のため、食べるたびに堂島さんに感謝し、心の中で手を合わせる。オールオッケー。昨日の4時間かかった洗濯なんてどうでもよくなる。ルンルン気分でGroovin'と言うレコ屋へ。CDを2枚買う。レジのお姉さんがグッドラックヘイワのTシャツを着ていてグッとくる。ちょっと遅刻して待ち合わせ場所に集合。そこからは媒体取材。夜はマヌコーヒーさんにてインストア。めちゃくちゃ人来てくれてめちゃくちゃ盛り上がって気楽に盛り上げられる旧譜の曲が中心になってしまったことだけが心残りだが、そんなことすら問題じゃない、と言えるぐらい楽しい会だった。フードで入っていたモンカレーさんが入りと同時に「めっちゃ美味しいの出来ちゃった!」とにこにこされていたのが最高だった。実際めちゃくちゃ美味しかった。さらにもつ鍋屋で打ち上げ。その場で「明日帰るんですけど乗車変更って便利ですね、15時の便のはずだったんですけどもうちょっとゆっくりしようと思ってずらしてもらいましたよ」とか言っている時に「明後日までいちゃえばいいのに」みたいな流れになって冗談で「ふふふ、どこかのラジオがブッキング出来たらいいのにね」と言うとポニーのTさんが「福岡は無理かもしれないけど熊本なら行けるかもしれない」と言い出した。冷静な思考が止まった私にそれほど魅力な言葉はない。yes, mama ok?の『CEO』と言うアルバムがある。その冒頭は今でいうスパムメールみたいな電話がかかってくるところから始まる。「おめでとうございますお客様。お客様は当学院の厳正なる抽選の結果、イタリア語学研修旅行にご当選なさいました。つきましては当学院最新のラーニングメソッドによる体験講習を3回受講していただき、さらに特典として……」とまくし立てる電話をガチャン!と切り、金剛地さんが「フッ……イタリアか……」と呟き、アルバムは加速をつける。行ったこともない、自分がいることすら想像したことなかった街が自分の心の中に沸き立った。「いやーでもね、そんな急にブッキング出来るわけないじゃないですか〜」とか言うんだけど脳内の空想の熊本が手招きをするじゃないか。もしそんなことがあったらなんて素敵なんだ、そう思ったところで「冷静になろう!」と解散した。私はホテルの一室で日記をしたため、冷静になるのを待つ。「フッ……熊本か……」

それから

アルバム発売日の前の日、ラジオから「君のままで 本当のままで 歌えないなら全部ゴミクズだ」という歌詞が耳に飛び込んできてびっくりする。部屋にひとりだったのに思わず「そうなの?」と言ってしまった。アルバムが出た。リリースしたあとは自信と不安が交互に押し寄せてくる。インストアを2本やって、直接CDを手にしてくれた人とあうと心は穏やかになった。でも例えばリハーサルに向かう途中の明治通りで心が閉じていく。今は静かにこのアルバムが聴かれることを願うばかりだ。

ピザは愛の言葉

Twitterやニュースをみていて気分が落ちる。香港の件や現状のこととか未来のこと、自分にはどうすることもできない無力さを感じ、Twitterにその無力さだけでも残せないか、と、暗くて軽率で邪で簡単なつぶやきを書いたのだが全て消して「ピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」と書き換えた。「戦争に反対するための唯一の手段は」と吉田健一氏を透かしながら小西康陽氏をじっと見つめる。

友人が結婚した。恋人とふたりで並んで婚姻届の証人になった。証人になるのも生まれてはじめてだったけど、婚姻届を見るのもはじめてだったと思う。いろんな祝いの言葉が口から出ては足元に散らばっていく。「おめでとう!」も「お幸せに!」も意味を超えていかない。ので、下手くそな捺印にいろいろ込めた。

ミックス終わった!マスタリング終わった!もう聴かなくていいのに「トワイライト」を聴いてしまう。いいレコードができた!最初から最後まで流れで聴いて気持ちいいものになったから先行配信で聴いてもらうのも勿体無いのかな?なんて気持ちでいたけど、こちらのトレイラーはその流れが提示できた気がします。ある日、取材かなんかの帰り道にココナッツ寄ろうと井ノ頭通りを走っていたらちょうど夕暮れで「ああ」としか言えなかったんだけど、そういう一瞬があなたの目線でこのレコードに宿るといいなあ〜

www.youtube.com

鳩がないている

10分で取材が終わり、新宿に放り出される。マネージャーと少しツアーのことなどについて話して、別れてから伊勢丹の銀行でいくらかの金をおろした。レコード屋に向かう。そう、印税が入ったのだ。31歳にもなると手放したものが遠く感じるし、手元にあるものさえ遠く感じるときがある。手放したものにこそ愛着が宿っていた、という気もするし、手元にあるものにだけ愛情を注いでいるような気にもなる。でも、きっと、どちらも美化だろう。美化というのはどういう現象なんだ。その中間(さよならアメリカさよならニッポンに倣うときのその中間だ)に気持ちを置きたい。

ああ、若かった頃、体重も今ほどなかったあの頃、金も今以上になかったあの頃だ。遊ぶ金欲しさに、聴きたいレコードを買うために、当時ハマっていたクイズ・ゲームをするために、昼食を食べるために手放したCD、レコード。あの時レンタルで済ませてしまったCDもある。買うのを諦めたものだってあったな。入った中古レコード屋でそういったものだけを手にとっていた。雪だとして考える。そうです都市に降るそれだ。降る雪は、積もる雪はきっと最初から泥のような色をしているわけではないのに、そうなんじゃないか、今、私がやっている行為というのは新しく積もっていく雪のはずなのに、最初から砂利や泥がついてしまっているのではないか。さあ、バランスが取れない。私の目抜き通りに積もる雪は未知のものでなくていいのか、と、店内を徘徊するがもうそういうモードになってしまっていて、どうにも修正がきかなかった。この店には窓がないからだと思う。

店を出てタワーレコードで買い物。デヴィッド・ボウイの1990年の日本公演のうさんくさいライヴ盤が出ていて「どれどれ」と収録曲を見てみたらボーナスディスクに1978年の日本でのライヴが入っていた。「STAGE」というライヴ盤がとにかく好きなんだけど、ここで収録されたライヴはツアーからしたら序盤のものだと知ったのはだいぶあとになってからだった。そのツアーの最終公演は日本で、当時NHKで放送された映像もYouTubeで見れた。でもこのツアーで演奏された"Stay"が大好きなのに放送ではカットされてしまったようだった。その日の"Stay"を聴きたいと思っていたのだが、そのCDにはなんと"Stay"がクレジットされていた。天にも昇る気持ちで家に帰って悪いと思いながらもスキップして"Stay"を再生してみたらZiggy Stardustに収録されている"Star"だった。誤植だった。普通に考えたらソースはNHKで放送されたものだろうから"Stay"が入っていないことなんてわかったじゃないか、と少し落ち込んだのだけど、また改めて調べたらヨーロッパツアー終盤のロンドン公演がCDになっていると知ったから近々それ買います。やっぱり雪は白くなくては。

更に王舟の新譜、空中カメラの新譜も買った。どちらも聞くのが楽しみ。

 

 

 

 

 

SGBB

「部屋に飾っていた」けど「プレイヤーもってないから聴いていない」ため「ほぼ新品」のレコードを一か八かでメルカリで購入。部屋に飾っていたから写真ではわからなかったぐらいほんのちょっとだけジャケット焼けてて、盤もちょっとだけ歪んでた。リリースから20年近く経つんだ。仕方ない。この賭けに乗ったのは私の方なので、評価はもちろん「良い」だ。

私の影はどこまで伸びる

電池が切れて変な時間に眠ってしまい、充電されて変な時間に起きてしまった。風呂に入って歯を磨いてすぐに眠った。部屋を出て医者にかかる。薬をもらい書店を覗く。欲しかった本は半分しか置いていなかったけど地元の本屋も利用していくことにした。「波よ聞いてくれ」と「天国大魔境」の新刊をそれぞれ購入。

部屋に帰り簡単だけどおいしい食事をとる。なぜ簡単かつおいしいか。それは沖縄で買った生麺とそばだしがあるから。白だしで鶏肉ちゃっと茹でて乗せりゃ沖縄そばの完成。あと一食分の生麺が希望の形をして冷蔵庫で待っている。素敵じゃないか。

アルバムの本当の追い込みはこれからだ。タイトルが決まっていない曲が数曲あり、アルバムのタイトルもまだこれだ!というものが出ていない。だけれども休みは必要だ、と電車に飛び乗り新宿のレコード屋をいくつか回る。ディスクユニオンではアレスキーとブリジット・フォンテーヌのレコードとかミカ・バンドのファーストをようやく買ったりした。タワーの10階にできたレコードフロアも初めて行った。すると我が社の社長、おもちレコード望月さん、流通会社でお世話になった新実さん、青い果実のDJ、KOYANMUSICさんらにばったり。その少し前にはSOLEILのそれいゆさん、その後にはNegiccoのMeguさんも居たようで場の求心力のエグさにおののいた。

値段は確かにちょっと割高かもしれないけど、おっこれは、というのも何枚もあったし今後も楽しみ。しかし何よりこのフロア、景色がいい。レコ屋特有の閉鎖感がなくて最高です。ずーっといれそう。多くのレコード屋が持つ居心地の悪さも好きなんだけど、逃げ場がなくて棚見ても目が滑ってただ彷徨うだけになることが結構多くて、そこにさらに普段聞かないような音楽が爆音で鳴ってたりするともうおしまい!っていう気持ちになってしまうけど、ここならそうなる心配があまりない気がする。少し解放的なココナッツやダウンタウンレコード、京都の10万tレコードとかの居心地のよさとはまた違う居心地のよさ。とにかく気分がいい。タワーの9階にあった窓際のニューエイジコーナーの試聴機が大好きだった。それを思い出していた。

ちょっと茶店でタイトルでもひねりますか、とか思っていたけどドッと疲れて帰りに大きな本屋寄って帰ってきました。

カーニバルへ

カフェアリエが閉店してしまった。「さみしいね」そういうと店員だったKくんは「そんなに来なかったじゃん」と笑う。今、住んでる街には6年暮らしている。この街には喫茶店やカフェがぼくの知る限り3つある。歩いて3分で行けるコーヒー屋に行った回数は1度きり。駅前にあるシャレたイキフンのくせに流れるBGMはYouTube由来で、片方のスピーカーが死んでるカフェは2回だけ。家とは反対側の出口を少し行った喫茶店もせいぜい3回だ。そんな私が年に数回顔をだす喫茶店は今までなかった。多分見知った顔がいる、というのは大きいのかったもしれない。喫茶店はファミレスよりは他人じゃない、と考えているのかもしれない。街の喫茶店が居心地よくなることはあるんだろうか。僕はいつになったらおおらかなコミュニケーションが取れるようになるんだろう。

柴田聡子さんの「結婚しました」のMVは華やかでばかばかしくって笑っちゃうんだけどなんだか泣ける。

柴田聡子「結婚しました」(Official Video) - YouTube

丸一日かけてNICE POP RADIOのハードコア選曲回の選曲そしてデータ作成。ぽっかりスケジュールが空いていて本当に助かった。いままでで1番時間かかった気がする。6時過ぎにはおなかすいていたのに結局ごはん食べたのは9時を過ぎていた。実時間じっくりかけて音楽聴くのはたのしい。というわけで3/29のNICE POP RADIOはハードコア選曲回です。