幻燈日記帳

認める・認めない

溝の気持ち

友人(鍵アカ)がTwitterで若い子がビートルズの各国盤集めたりしているのを見てもっと他のアーティストにお金使えばいいのに、と言っていて、「そうだそうだそのとおりだ」といいねを押したのだけど、自分が高校生の頃、フィッシュマンズ一通り揃えたあと、ポニーキャニオンの再発盤じゃなくてジャケットも凝ってるメディアレモラス盤が欲しい!とかLong Seasonとか宇宙 日本 世田谷の初回欲しい!って中古盤探しまくった過去を突然思い出しちゃってこの気持ちどぉしたらいいんだ

 

BMI値47、喘息、あと数字が一つ動いたら保険がきくほどの睡眠時無呼吸症候群という不健康ストラックアウト夢の3枚抜きであるワタシに職域接種とやらでワクチンが回ってきた。練馬区はまだ接種券も届いていない状態だったのでありがたく打たせていただいた。いまのところ、打ったところにアザみたいな痛みがあるのみ。

たいたんひきに

6/29

中高の同級生である美術部の石村がビザの更新のため、日本に一時帰国していた。教職員である彼女はアーカンソーですでに2度のワクチンを打っていて、遊びにも誘われたのだが、喘息、睡眠時無呼吸症候群超ギリギリ予備軍、BMI値47というストラックアウト3枚抜き、コロナにかかったらイチコロというのもあったけど、自分の締切とかぶってしまっていたため、泣く泣く断っていた。しかし、帰国する時に車出してよ、と連絡が来てこれは断る理由がない、と恋人と2人で久しぶりに会いに行った。東京の西の方から東の方へ行き、石村を拾って、更に東へ向かう。空港は驚くほど静かで、コロナに関するアナウンスと、コロナ以前に撮られた映像が繰り返し流されていて、漂流教室を思い出した。人もまばら、開いてるお店も極端に少ない成田空港で軽く食事を摂る。久しぶりの日本でどうしていたか、アメリカでどうしているか、なんて話をする。石村は「アメリカにかえんのか〜〜〜〜」と嘆きに近い何かを放っていた。高速道路の帰り道、車のアクセルを踏んでいると、まるで夜明けのような空が見える。カーブを緩やかに曲がる。音楽が鳴っている。車もほとんど走っていない千葉の高速道路で、夜明けから夜へ戻されていくような感覚に陥った。東京に入ってしばらくすると尋常じゃない大雨が降り出して、センターラインは見えなくなってしまって身の危険を感じて途中で高速を降り、下道で帰った。

 

 

KLOKAの新作ドールハウスコレクションのショートフィルムの音楽を金剛地武志さんが担当されていて、いいな〜こういう映像はワクワクするぜ〜とか思いながら見ていたら届いたオーダーからお菓子をつくるシーンで完璧な音楽が流れ始めて心がブチあがった。その前のシーンでも(最高な曲が流れていたのでShazamしたら)コーデッツ(の曲だと知った。これは買わないと……)がかかっていたからこれも過去の映画音楽からとかなのかな、とか思ってたんだけど、Shazamしても出てこない。もしかしたらすごくマニアックな音楽でShazamにすら見つけられなかったりするのかな、とか思っていたらエンディングのクレジットに"Cooking Song" Written : Takeshi Kongochiと明記されているので改めてシビれた。

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まるからまるへ

集中力は未だに戻ってこず、(自ら課した)締切を5日過ぎてようやく形が整ってきた。スタッフに聴いてもらい意見をもらって修正をする。いいものができたけど求められているものとは違うんじゃないか、と疑心暗鬼になるのはまだ慣れない。スランプを抜けてだんだんわかってきたのは今までより5倍ぐらい作業に時間がかかっている、ということ。

Apex、全然勝てなくて笑う。

朝起きてTwitterみたらよくわからないけど"「うっせえわ」のクリアファイル"というワードが入ってきてひとしきり笑ってしまった。

K-PROのライヴを何本か見る。アルピーのソロライヴ、平子さんはウケてない、って言っていたけど、明るい爆笑だけじゃないお笑いを見れた満足感があってすごくよかった。カナメストーンのソロライヴも爆笑に次ぐ爆笑。ライヴで見るたびに「面白くなってるな〜」って思っていたけどそれがずっと続いていて痛快。Aマッソの2019年から2014年と過去のネタをさかのぼる1時間も濃厚だった。2016年の「思い出」はチャップリンで見て大いにブチあがったネタだったのでもうかからないのはちょっと寂しい。配信でお笑いのライヴを見れるのは嬉しいんだけど、1年経って「劇場にいつ行こう。」と思い詰める気持ちにもなるのも確かだ。お笑いのライヴが見に行きやすい場所に住んでいたから、あの人もまばらな上りの電車で新宿に向かう感じ、行ったら友達も居て終わって一緒に飯食う感じが薄れてしまっていくのがとても悲しい。

THGILF HET NI

ナイポレであるアーティストの特集をしようということになり、記憶を掘り起こしていく。夜の3時ぐらいだったけどその日は昼起きて飯食って昼寝して起きたら夜だったからまだ眠くなかったから半分ぐらい見よう、とぼんやり映像作品を見ていたら3時間があっという間に過ぎていた。高校生から大学生にかけて熱心に聴いたバンド。前期しか通わなかった美術予備校の空いた時間にギターを持ってそのバンドの歌をうたった、ということを思い出した。ひとりだけそのバンドのことを知ってる人がいて、嬉しくなったことも思い出した。いろんなことを思い出したし、自分にとって忘れておいた方がよかったことも知ってしまった気がする。

 

起きてしこりのようなものが残っていたのか、バンドの夢を見た。尊敬するアーティストがキュレーターを務めるフェスに招かれる、という夢らしい夢だった。

 

冷蔵庫にあった鶏肉一枚炒めてそのへんに転がっていたソースをぶちこんでパスタを食う。そして部屋を片付ける。ガスの警報機の交換の時期だったそうで、明日までに人をあげても恥ずかしくない程度にしなければならないのだ。汗だくになりながら1週間ためこんだ洗濯物をランドリーに出したり、部屋に散乱したダンボールをまとめたり、床に落ちてるチラシとかをゴミ袋に詰めていった。やったったような気もするけどやれていないような気もする。

ねそべるひとびと

ル・ポールのドラァグ・レース、シーズン13をすべて見終わった。毎回最高だけど今回やっぱりすごい。ネタバレにならない程度に好きなシーンを書くと、振り付けを決めるシーンでベテランの出場者が振付師でありながらそのことは敢えてその場では言わず、若者たちが意見を出し合っていくのを少し引いて見ていたところを、若者たちの意見が絡み合ってしまって解けなくなりそうになった途端、そのベテランの出場者がピシャっと前に出て役割を決めていくところがあるんですが、そこがちょー素敵。

 

取り置きしていたレコードを買いに吉祥寺に出た。ココ吉では柴田さんのアルバムを購入。他にもB.J.トーマスのアルバム、ビリー・ニコルスとケニー・アルトマンとジョン・リンドのバンド、ホワイト・ホースや、実家の母に貸したかあげたかしてそのまんまのスタイリスティックスのシングルズなども購入。ユニオンではヴァン・ダイク・パークスとヴェロニカ・ヴァレリオの10インチを引き取ってきた。ちょっと運動でも、とルーエに行って靴下ぬぎ子先生の新刊や森さんのデザインがバチバチに決まった赤井さしみ先生の本やフィッシュマンズ特集のエレキングなどを買って、貢茶でタピオカミルクティー買って帰る。居間のソファに座って柏原謙さんのインタヴュー読んで震え上がるパーフェクトな休日でした。

 

仕事のある選択肢で悩んでいた(とってもポジティヴな意味です)ことがあって、それを先方に悩んでいるんです、相談乗ってください、という内容のメールを打っていたらいくつかあった選択肢の中のひとつが自分の目の前であれよあれよと光りだして解決されていって驚いた。めっちゃ変なやる気出た。面白い…がんばる…

ダンダン・ダダン・ダー

ル・ポールのドラァグ・レースのシーズン13が急に配信されたから我が家はてんやわんや。録画を消費できないから消せるものもなくHDDの容量がついに0になっているが構わない。それぐらい今回すげー。

ナイポレの選曲のために最近買ったレコードやCDをあらっていく。映画を見に行った時に渋谷のタワレコにあるパイドで買ったインスタント・シトロンのアナログに針をおろす。どちらもかつてアナログでリリースされたことのある作品だから、人によっては後回しでいいか〜と思う人もいるかもしれないけどものとしての愛おしさがエグい。「チアフル・モンスター」にはインナーがチラシをいれると3枚入っていて、SUMMER TIME IN THE PLACEの裏ジャケに使われていた写真をあしらったインナーになっていて「あ〜〜〜この感じ〜〜〜〜」となったので好きな人は全員買ったほうがいいやつ〜〜〜〜

aipotu

映画を2本見てきた。1本目はアレサ・フランクリンの「アメージング・グレイス」。アレサを聴き始めたのは本当に遅く、ついこないだだ。亡くなったあとに優介がお悔やみと好きな曲だ、と"Day Dreaming"を紹介していて衝撃を受け、その後、ようやくたった2枚のアルバムを聴くに至り、そうして今回の映画の公開というわけだ。最初はポップ・シンガーとしてしかまだアレサのことを見れていない自分がいることと、信仰がないこと、そして以前の日記で書いたが「アメージング・グレイス」はトラウマがあった(ヌレ・テニ・アワ - 幻燈日記帳)ことから楽しめるか不安だったのだが、信仰がないことをはじめて悔やむほどに力に溢れていて涙が出た。初日が終わったあとの客出しで演奏されるセッションがめちゃくちゃ来た。

2本目はデヴィッド・バーンの「アメリカン・ユートピア」。全員見ろ。以上。で済ませたいがそうはいかない。以下ネタバレだ。映画を観てない人は日記はここでおしまい。全員見ましょう。以上。

 

何度も泣いてしまった。最初は「This Must Be The Place」でバンドメンバーが前に進む中、バーンだけがステージを後ろに向かって進んでいくシーン。大きな影。あんなにかっこいいなんて。シビれちらして泣いてしまった。泣いてしまった箇所はいくつかあったけどもうあと2箇所挙げる。2回目は「Born Under Punches」で大きくバスドラムが鳴り、それがだんだんと「Born Under Punches」になっていくあの瞬間。これはもう音楽を体感するという喜びに打ち震えて泣いた。3回目が「Hell You Talmbout」。人種的暴力(自分にとって適切な言葉が思いつかないから岡村詩野さんがTURNに書いたレヴューから引用しました。映画『アメリカン・ユートピア』より良い社会のためのチアフルな肉体と知性 | TURN)により不当に殺されていった人たちの名前を叫んでいき、ライヴだった画面が突然にライヴではなくなる。人種の問題は私にはあまりにも遠い問題すぎて、どう思うことができるんだろう、と画面を見ていく。そうして音楽は続く。気がつくと涙が溢れている。だが整理がつかない。怒りなのか、悔しさなのか、悲しさなのか、自分でも判断がつかない。広い意味で、これが感動か、これがmoveなのか、とシャツのボタンを外し、内側で涙を拭った。超ライヴで超映画。マジ最高だった。