幻燈日記帳

認める・認めない

窓枠・枠

ワクチン二日目でぼんやりしているため、昼間はテレビを見て過ごし、夜が来る前に昼寝をした。その間、久しぶりに奇妙な夢を見た。M-1に出場するという夢だった。これがものすごく変なのだけどものすごくリアルな夢で、夢の中で何度もこれは夢だろう、ちょっと前まで7月だったはずなのにもう年末なの!?なんで!?とか、真っ白なネタ帳を前にして「どうしてこうなった……」と思うのだけど、夢から醒めない。夢のなかで私はM-1ファイナリストとして密着取材を受け、中学からの同級生である松本くんも合わせて取材を受けたりしていた。ところが私には漫才の相方がいなく、ピンネタで出場するようだった。出番をまつ楽屋でダイアンのユースケさんがものすごく親身にネタの相談を受けてくれたのだが、暗転板付きというM-1らしからぬはじまり方をして、本番でどんなネタをやれたか、ということは全く記憶になかった。プレイバックの映像で自分が寿司を食ってる自分が見えて「えっ、こういうネタやったの!?」と驚き、審査員からの評価も上々。「2本目のネタなんてないよ……どうしよう……」と泣きそうになっていると結果は4位。胸をなでおろして帰路につくのだった。渋谷のアローパーキングみたいな電車の駅を抜けて、今日あったことを反芻する。暗転板付きで寿司食うネタは世間からめちゃくちゃ叩かれまくっていて、バーガンディ色の電車は私を乗せて西の方にある自宅に向かっていた。するとM-1のオフィシャルサイトを見てみると私が出場するはずだったのが本来だったらトリオだったということを知る。確かに私の名前はそこにあるのだが、他の2人はまったく知らない人で、トリオ名で検索したら知り合いの漫画家が立ち上げたサークルの名前だということがわかった。だけれども芸人としての人生が始まってしまったのだから、仕方ない、受け入れてやっていくしかない……というところで目が醒めた。あまり夢を覚えていないことのほうが多いタイプなので時々こういうどでかい夢を見ると不思議な気持ちになる。多分「未来人サイジョー」の影響を受けた夢だった。パラレルワールドに迷い込んだ、という気がして、音楽でうだつがあがらずお笑い芸人になっている世界線もあったかもしれない。

ふふりりここののかかげげ

布団を干して数日は随分と心地よく眠れていたが再びひどい鼻水とくしゃみで目が覚めた。8時台の朝の空気を噛みしめるようにインスタントのそばを食べる。夕べから読み始めたいましろたかしさんの「未来人サイジョー」を一気に読んだ。「タイムスリップして」「現代の漫画のネタをもとに生きようとする」というあるっちゃあるネタにいましろ節が色濃くにじみ、なんとも言えない旨味を感じた。最高。

 

シャワーを浴び、1軍の下着をすべて着尽くしてしまったことに気がついた。衣類ケースをあさり、うすうすになったみっともない下着を履いた。なにかエロい展開にならないことを祈りながら車に乗り込んだ。いつもより15分早く出る。オリンピックの交通規制で遅刻したらかなわん。ところが街はいつも通り。感染者がぐんぐん増えても諦めているようにも見えた。今日の目的地はポニーキャニオン。職域接種の対象となり、2度目のワクチンを受けるためだ。15分早く着いてしまったので少し会場の前で待つ。早く打ちたくてわくわくしているみたいに見えたら少し嫌だな。エレベーターホールで橋本さん、守谷さんに会う。橋本さんは夕方、守谷さんはこれからの接種だという。前回は注射を打つ時にちょっと痛みがあったけど今回はまったくなくて(打ってないのでは……)と思ってしまうほどだった。経過観察の時間、守谷さんと今後のことをすこし話す。今やってる仕事のこと。来たるべきニュー・リリースについて。1度目のワクチンを打っているからか気楽になったもんで「最近は調子いいですよ」なんて言えるようになった。「ライヴはしばらく休ませてくれ」(ふりこのかげ - 幻燈日記帳)と言ったのがよかったのか、新しいギターを買ったのがよかったのか、単純に時間が経っただけなのか、わからない。

 

経過観察も無事に終わって家に帰る。途中で新宿の紀伊国屋に寄って漫画を買い込んだ。「未来人サイジョー」を読んでもっと漫画読みて〜となり、こないだジュンク堂に行った時に買えなかった漫画などを中心に買っていく。方便くんが薦めていた雁須磨子さんの「ロジックツリー」、友人が薦めてくれた相原瑛人さんの「ニューノーマル」、ゲームやってる時に佐久間さんが話していた大山海さんの「奈良へ」。そして伊勢丹の地下でお惣菜でも買って帰ろう、と移動している時に、あっ!店長(西尾雄太さん)がSNSにあげてたマリコ・タマキさん作、ジリアン・タマキさん画の「ディス・ワン・サマー」買ってないじゃん!と気づいて戻った。ところがコミックフロアーのありそうなところを見ても見つからなく、店員さんに訊くことに。するとどうやらコミックフロアーにはなく本館の方の2階と6階になら在庫がある、とのことだったので取り置いてもらった。カウンターのところに積んであった「マリーマリーマリー」が最高だった勝田文さんの「風太郎不戦日記」が目に入り、そちらも購入。こいつは景気がいいぜ。

 

夕方に家について洗濯をする。怠惰から溜まりに溜まった一週間分の洗濯物をランドリーに突っ込んで買ってきたお惣菜をつついた。乾燥まで終え、夜の9時には眠くなってしまった。腕の違和感を抱えて布団に入ったが、3時には目が覚めてしまった。矢島さんと話してからというもの、フィッシュマンズを聴きたい熱がまたあがってきたのでフィッシュマンズを聴きながらApexをはじめ、途中で空気階段の踊り場に変えたりしながら2時間ほどやり、一度ゴールドのⅠまでいったのに負けまくってゴールドのⅡに落ちたのをゴールドのⅠに戻ることが出来た。5時あたりになりまったくマッチングしなくなりやめる。プラチナいってみて〜〜〜〜

and i dig it

自転車で吉祥寺まで向かう。最近は吉祥寺ですら車で行くことが多かったから、体を動かした分なのかなんだか気持ちが少し軽くなった。少し自転車を走らせて気がついたのだけど、走っていた道はいつもココナッツに向かうために通っていた裏道じゃなかった。車で通ることの多い道をなぞってしまっていたため、吉祥寺の喧騒が近くなるに連れ、改めてこの1年ちょっとの時間を痛感する。元通りになる、だなんて甘いことは最初から考えていなかったけど、元通りにするための選択肢すら、忘れてしまうのかもしれない。ココナッツに到着する。買い物袋を持った青年が外観を撮影していた。買い物袋から覗いていたレコードは銀杏BOYZだった。店に入り、新入荷を中心に見ていく。HARCOさんの「シンクロの世界」を久しぶりに聴きたくなって購入。スピーカーから自分のためではない音楽がかかっている、というのが本当に嬉しくなって小躍りしていたような気がする。でもこの気持ち、わかっておくれよ。そうこうして取り置きしていた岡村ちゃんの7インチと冗談伯爵のLPを受け取り、矢島さんと少し話す。「前にツイッターにあげてたカールトン・アンド・ザ・シューズのファーストって売れちゃいました?」なんて話からフィッシュマンズの映画のことについて。ミュージシャンとしてはフィッシュマンズというバンドにどのように1998年の12月28日という日が訪れ、2019年の2月19日を迎えたのかと言う部分を見るので精一杯だったので、矢島さんの目線でこう思った、ああ思った、っていうポジティヴな話が出来てまたあの映画の見方が変わったし、フィッシュマンズというバンドの聴き方もまた少し変わるのだろう。そして私の気持ちもまたちょっと晴れる。そして何枚かレコードを教えてもらってココナッツを出た。

 

HMVに向かい、Sketch Showのアナログを3枚全部と吉田哲人さんの7インチを買う。人生夏休み。そう言い聞かせた。いつまでもこうじゃないぞ、と釘を刺す。素晴らしいめぐり合わせでこうなっているんだ。顔なじみの店員さんとも少し言葉を交わす。吉田哲人さんが少し前に来ていたらしくこの手のタイミングには自信があったのでタイミングが悪かったぜ〜なんて心の中で悔しがった。会計が終わった時にスタンプカードがいっぱいになった。そうして新しいカードに切り替わったときにポイントカードのシステムが変わったと気づいた。もともとは有効期限1年、税抜2000円につき1ポイント。10ポイント貯めると500円引き、20ポイントで1200円引き、30ポイントで2000円引きだったのが、有効期限1年は変わらず、税抜2000円につき1ポイントという点も変わらず、15ポイントで500円引き、30ポイントで1000円引きになっているのに気がついた。だからなんだ、っていう話なんですけど、一応残しておくべきだ、と思い日記に残す。

 

昼過ぎに家を出て、冬ならもう暗くなってる時間なのに夕暮れにもまだ足りないような明るさの中、自転車を漕いだ。帰り道もかつて使っていた道ではないところに出てしまった。

 

部屋に帰って"AUDIO SPONGE"をターンテーブルに載せて感動する。改めて内容がめっちゃいいし、なによりA面1曲目が"Turn Turn"、B面1曲目が"Wilson"、C面1曲目が"Gokigen Ikaga 1.2.3"、D面1曲目が"Turn Down Day"っていうのヤバすぎ。CD以降の作品がレコードになって妙な曲順になっちゃうことって数多あったけど、こういう形で音楽の神が微笑むことってあるんだ、ってものすごく感動した。

 

 

時間クーラー作戦

歌詞難航。それでも最初の3行だけ書いて眠る。起きてほぼボツにする。ときどき多用してしまう言葉や言い回し、というのがあって、「たどり着けるかな」みたいなこと言い出してしまっていたのでなるべく避けよう、と心を鬼にして消した。いつか発表されたときにその言い回し使われていたら「あ〜他には思いつかなかったのね〜」と思ってください。そこからまたしばらくデモを聴きながらうーうー言う。景色は見えてくるんだけど言葉が追いつかない。昔はこの状態で深夜のファミレスとかで2時間ぐらいうーうー言ってればそのうち言葉がついてきたんだけどもう随分変わっちまったから……

 

息抜きのApexは相変わらず。現在ゴールドのⅡで、Ⅲに落ちるまでタコ殴りにやられてそれまで使っていたスピットファイアとチャージライフルの組み合わせを諦めてEVA-8とかマスティフショットガンとかに持ち替えてみたらちょっと調子があがってきた。

 

原田治さんの展示で静岡の会場から販売が開始されたぬいぐるみがあまりにかわいくて、年明けの緊急事態宣言の中、行ってしまおうか何度もまよって結局いかずにハンカチ噛んでいたんだけど、通販に来た!すぐ購入。(レコードはいるショッパーも2枚ずつ買ったし、ハンプティダンプティのやつは普段遣いできたらしたいから4枚買った。)可愛すぎる。最高すぎる。ぬいぐるみを買うなんて随分と久しぶりだ。

sodafountain.online

サーフズ・アップ

私の中でずっとなんだか買い出しにもいけない雰囲気が続いて昨日の洗濯、布団干しが(私の中で)好調だったため、車に乗ってOKストアに買い出しへ出た。この1週間に必要そうな生鮮食料品といくつかのお菓子、加工食品、牛乳、卵。助手席で恋人が「夕暮れじゃん」といった。

 

いよいよ締切がヤバい。ヤバいのにヤバい音源を見つけてしまった。満員の無力無善寺豊田道倫(この日の豊田さんの「五体満足」は歴代でも屈指のライヴ・テイクだと今でも思っている)を前座として迎え、開催されたザ・ムンズのライヴ音源だった。15年前のライヴ音源。ビットレートが低い音しているけど、そういうものを踏み越えて目の前に襲ってくる。開場で聴いてあまりの演奏に恐ろしく興奮したのを今でも覚えている。無善寺では最高のライヴを何本も見た。18歳だった。

 

ザ・ムンズ(THEMUNZ) サーフズ・アップ(surf'sup) 2006年9月9日高円寺無力無善寺 - YouTube

 

インターネットの酸素が薄い日々が続き、私はメイン・アカウントのタイムラインを見るのを諦めた。言いたいこともあるし、こう思っている、ということもあるけれども、今この瞬間になにかを伝えるというのは自分が言いたいことも思っていることも台無しになってしまう気がするのだ。

 

私のエンジェルの

UOMOの季節に一本の連載の原稿がまったく進まず。書けば終わるのに書かないから終わらない。遠くを見るだけの時間が過ぎたとき、外がとても晴れていることに気がつけた。そういえば今日は一桁のうちに起きることができた記念すべき日だ。それを祝して布団を干した。アレルギー持ちなのに万年床でろくすっぽ掃除機すらかけない状態だからここ数日はひどい鼻水で目が覚めることが多かったのでこれで少しはよくなるといいな、なんて思ったりするが掃除機はかけなかった。俺はダメ。もうまったくダメ。でも洗濯はした。最高。俺最高。

 

原稿仕事が進まない理由でもあるのかもしれないけど、原稿書いているときは耳が空くから好きよ。音楽作ったり、詩を書いていると他の音楽はきけないからね。なので積んでいたレコード、買ってきたをちょっとずつ聞いていく。細野晴臣さんの「あめりか」が最高だった。アメリカのオーディエンスの反応がとても興味深く、レコードのお供最高だしとにかく楽しい。大好きな"Angel On My Shoulder"はいつかのリキッドルームで聴いて、アレンジが変わりすぎて「あの曲なんだったっけ……でもあの超好きな、なんだっけ……」となっていたけど帰りの電車か、次の日だったかに「あっ!シェルビー・フリントじゃん!」ってなってじわじわ幸せが襲ってきたことがあった。あれはあれで得難い経験だったけど、その"Angel On My Shoulder"が始まると大歓声があがって、それを聴いて私も「わぁ!」と声がでてしまった。

 

Angel On My Shoulder (Live at The Mayan Theatre, Los Angeles, July,2019) - song by Haruomi Hosono | Spotify

 

藤本タツキさんの新作短編漫画「ルックバック」最高でした。読み終わって、もう一度読もうか、なんて思って最初のページの黒板に"Don't"って書いてあるのを見つけた。猛烈に切ない。

ルックバック - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+

 

 

はさみをつくろう、はさみでないとだめ

数日前にケラさんのニューアルバムがほしかった、と書いたけど、レコ屋で買うのを諦めて通販か近所の店で取り置きができるかどうかを検索したのだけど、身近な店にはどこにもなくてタワレコで在庫検索をしたら渋谷にまだ在庫があった。それならば!タワレコ内のパイドパイパーハウスで特典としてバッヂがつくシトロンのアナログやパイドパイパーハウス限定で販売される小西康陽さんが曲を書いた麻田浩さんの7インチもほしいんだ!とケラさんのアルバムを取り置きをしてもらうことにしたので、それらを取りに車で渋谷に向かった。車に乗るときはiPhoneのミュージックに入っている曲を全曲シャッフルして一喜一憂することが多かったのだけど、(そろそろ締切が近いからなのか)スカートを全曲シャッフルして聴いてしまった。デモやラフミックスなんかもたくさん入っているから集中力が全然もたないんだけど不思議と気分がいい。そして締切が近い曲のデモを聴き返す。いい曲〜

 

東急に車を止め、タワレコに向かう。どうしても過去と比べたがっている自分に嫌気がさす。まるでいつもどおりのタワレコに入り、目当てのものを手に取り、King Of Convenienceの新譜も手にとった。TwitterInstagramのストーリーで見てなんと素晴らしいジャケット!と思い購入。限定盤のホワイト盤しかなかった。盤は黒いほうが音いい、と聞いて育った部分もあるから黒いのがあるならそっちを買うようにしてるんだけど、最近のアナログは色がついている盤でも音がいい気がする。ケラさんもKing Of Convenienceも実際音はよかった……

 

結構な額の会計を済ませたときは、まるで新しい気持ちで「俺もおとなになった」なんて思ったりもした。でもそれは学生時代の亡霊が金に執着しているだけのような気がしてなんとも気味が悪い。以前、父が「結婚してとにかく最初の何年かは休みたいなんて思わずがむしゃらに働いたよ」と言っていたことを時々思い出す。私は果たして最初の何年かをがむしゃらに働くことができるだろうか。その立場立場で見えるものが違って、その視点はなるべく多いほうがいいとは思うけど、押しつぶされそうになる感覚がないわけではない。もはや子どもの対義語が大人というのも違うような気がしてきた。でもそれは呪いのようなものであって、でもそれは社会性の歯車かもしれなくて、でもそれは秩序への誘いかもしれなくて。

 

突然深刻な気分になりかけたのでジュンク堂で漫画を物色。店に入って驚いたのがシュリンクされた漫画がすごく減っていたのだ。あまりにも人が来ないもんだからシュリンクすらしなくなってしまったのか!?と思ったけど、家に帰って買った本を見たら剥がれやすいシールで留めてあった。靴下ぬぎ子先生の新刊は売り切れてしまっていたけど、ダンピアのおいしい冒険の3巻は買えた。あと吉祥寺のカレー屋、ピワンも本も買った。重くなった荷物を車に置きにいったあと、東急の地下でランデヴー。京都のだし巻き卵とかを買って家に帰る。夕方であった。車は渋滞。帰りもスカートを全曲シャッフルしていたが途中で「トワイライト」のB面が聴きたくなり、再生をする。やっぱり「トワイライト」は力作だった。今からでも売れないかな。