幻燈日記帳

認める・認めない

サーフィン人生

昼起きて恒例のチキンラーメンを食べる。もはや湯そそいで1分ぐらいでバリバリ言わせながら食べることに快楽を見出してしまった。換気扇のゴキゲンを伺うも、回りだしたが止まった。異音も立てた。全部のせである。部屋の掃除をしたり、Apexやったりしながらラジオをいくつか聴く。佐久間さんのラジオをきいて、ランジャタイのラジオをきいて、さあ次はAマッソのラジオを…と思ったがこれ聴きだしたら2時間40分かかるんだ、と思い立ち、メンバーに共有する譜面を書く。「遠い春」以降の僕はいい曲だけど地味な曲しか書いていない気がする。今回もそんな曲だ。譜面を書き、遠隔プリプロのデータを作って送信。仕事の充実感を感じるにしては足りないぐらいだがこれぐらいで満足することだって大切なのだ。ラジオを聴きながら部屋の掃除とApexを繰り返し、夕飯には生姜をたらふくいれたなぞ炊き込みご飯を仕込んで一日が終わった。夏休み人生かスナフキン暮らしかはたまたサーフィン人生か。

気絶するほど鯖ましい

気まぐれに動いたり止まったり異音をたてたりする換気扇に対して荒れすぎた部屋、迫りくる締め切り、あらゆる天秤に一度全て載せた結果、大家に連絡するのは水曜日に部屋の掃除が終わっていたらにしよう、と決めた。その結果、冷凍食品と炊飯器でどうにかなる料理だけのチョイスの毎日が過ぎる。その結果ほぼ毎日のように朝はチキンラーメン、夜は炊き込みご飯を食べることになってしまった。目が覚めると一応換気扇のゴキゲンを伺う。最近は回るけど異音が立つパターンが増えてきた。

 

珍妙な取材に向かうために部屋を出ると真夏。でも数年前の地獄のような暑さではなかった気がする。街はカンカン照りで大嫌いな夏を体の右側でおもいっきり浴びる(右ハンドルなので)。靖国通りを走っていると「PCR検査 3000円」という看板が目に入って、看板が近くになっていくにつれてまるでラーメン屋のような行列が出来ていてぎょっとする。15分遅刻して神保町についた。

 

取材が終わり、少しだけ街を歩く。2度目のワクチンの接種から無事2週間経ったが出歩ける気分じゃないな、とも思いながらも三省堂に入ると気分が高揚する。ヒコロヒーさんのエッセイと、前に本屋行ったときに見つけられなかった(11巻から表紙のテイストが変わっていたことを忘れていた)あそびあそばせの12巻、そしてこないだ優介と佐久間さんとでApexやったときに佐久間さんが萩尾望都さんの漫画を読んだことないのに読んで面白かった、と言っていた萩尾望都さんの大泉サロン時代の話を書いた「一度だけの大泉の話」も買った。佐久間さんは本を一気に読み終えたあと「ポーの一族」と「トーマの心臓」も買い足したそうだ。ふふふ。

 

せっかく来たのだから…とエチオピアでカレーのルーだけ買って帰り、部屋に帰り買ってきたものをアルコールで拭き、即シャワーを浴び、米をたいた。豆カレーにはあらゆるものが詰まっている。おれに残されたいくつかある希望のひとつだよ。最近は「今日は辛さ20倍にしたけど30倍でもいける気がする」を行ったり来たりして、今日はその「行ったり」で20倍にした。

 

なんか燃えないな〜とか思っていたのになんとなくApexを始めて正気に戻ったら3時間近く経ってしまっていた。慌てて電源を切り、PCに向かい作業をする。遠隔プリプロは現在なおみちさんのベースの確認がほぼ完了、あとは優介の鍵盤をいれるのみになった。詩の修正が入り、あらためて資料を洗い直す必要が出てきたこと以外はすべて順調だ。その後はナイポレの選曲。次の放送も変に濃いけどその次の放送はもっと濃くするために並びと選曲をめちゃくちゃ考える。最近のムードなのかわからないけどゆったりした曲ばかりになっていて、まあそれはそれでいいのだけど、もうちょっとメリハリあるプログラムに出来たらいいな、と思い、更に追い込んでいく。そうしてなんとなく右腕を見たら日焼けした腕の皮が剥けていて、こんな夏ありかよ、と壁に頭を打ち付けたくなる。

珍妙な仕事。ワクチン接種ぶりに橋本さんにあったし、ティーンエイジ・ファンクラブの取材ぶり?に松永さんにも会えた。雑談できた時間はそれほどなかったからか、家に帰ってあの話すればよかった、この話できたらよかったな、とか思い返す。

 

いやになってもう随分経つのにそれでもまだ「もういやんなっちゃったよ」と口に出して言ってしまう。地獄のような気分の底がまだ見えない。身近なコンサートがいくつも延期や中止になった。この決断には2種類ある。感染状況を顧みての延期や中止。そして演者に感染者が出てしまったための延期や中止。心身のあらゆる面から希望をもってコンサートを組んで、あらゆる対策を取り、当日を迎えよう、と努力してもどうにもならない時が来ていて、もうそれは、本当にどうするべきだったのかな、という答えがでないことしか頭を巡らない。そうしてまた「もういやんなっちゃったよ」と言うのだ。

しかばねカフェ

眠れないわけではないのだが、布団にはいったら冗談かと思われるくらいに即眠れるのが我が人生のいいところだったのに、なんか10分くらいぼんやりしてようやく眠れる、というのが数日続いてなんだか気持ち悪い。でもここ最近の情勢の不安がそういうところにまで侵食してきたんじゃないかなんて勘ぐってしてしまったりするから、私の立つその防波堤の眼下に広がる海の形状や匂い、水がどれぐらい汚いか、ということを考える。その時、私は浮き輪を持っているのか、救命衣を着れているのか、はたまた普段着のままなのか。

 

珍妙な仕事が入ってそれの下調べを一日かけてやっていた。ナイポレの次の収録の選曲テーマがそれとはまあ遠い世界の話なので同時でそちらもちょっとやったら頭がこんがらがってしまったのでおとなしく珍妙な仕事の方を優先させた。Apexもアプデがきて少しやったのだがなんかイマイチ燃えず。

 

児玉まりあ文学集成の3巻を読む。電車に乗っているシーンで「じゃあこのまま二人で逃げちゃおうか 行けるとこまで…」「この電車、相模大野止まりよ」というやり取りがあって泣けた。コロナ禍が始まったばかりの去年の4月の日記で「人気がないわけではない列車が踏切を過ぎたとき、その列車が新宿行きでなくてよかった、と思った。」と書いたことがあって(練習しよう - 幻燈日記帳)、あのムードに近い悲しさが滲んでいるような気がした。

 

 

Tonight You Belong To Me

作詞が進まないから、と日記を書いて、また作詞に戻ったら突然全部書き上がった。うん。一箇所メロディ優先するか詩を優先するか迷うけど寝たら全部解決してくれるよ、と眠りについた。目が覚めて、解決しているはずなどもちろんなく、とりあえず録音ボタンを押す。そしてメロディ優先、詩優先、フリー演技、フリー演技、といくつか録音していって、いつの間にか生まれていたメロディと詩のどちらも優先させる方法を取った。詩が決まって仮歌いれてスタッフとメンバーに送信。今回は感染症対策としてレコーディングの当日までリハスタとかに入って全体で合わさない方法を取ってみよう、となった。僕の弾き語りのデータを佐久間さんに送って……っていう具合でリレー形式で作る。どうなるかわからないけどやれることをやれる形でやるしかねえ〜〜〜〜

 

夜は唐揚げあげて胃にダメージ食らうまでたべた。翌日までひっぱる。もう若くない。

 

胃のダメージをどうにかこうにかごまかすが一日なにもやる気がおきない。2食つづけてうどんを煮て体を労った。そうこうしている間にコロナにまつわる状況が刻一刻と悪くなっていく。こうなるなんて誰だってわかりきってたんじゃないのか、本当にどうしてこうなっちゃったんだ、どうすればこうならなかったのか。どうすればこうならなかったのか!どうすればこうならなかったのか!!というのはコロナのことだけではなく、自分のこと、社会のこと、それぞれ最近よく考えることで、そのたびに大きな感情が胸に押し寄せる。

 

雁須磨子さんのロジックツリーが面白い。物語がセリフの中にギュッと凝縮されていて読むのにちょっと時間はかかるけどそのぶんドキドキする。かとおもえば下巻の147P(ノンブルついてないページだけど)の街の感じに揺さぶられる。

 

プリンスの新譜を聴いてて「すごいんだけどこれ英語わかったほうが絶対楽しいやつだな〜」とか思っていたら2019年に"I Feel For You"のデモがリリースされていたと気づく。もう最初から最後まで完璧すぎて気持ちがいくつあっても足りない。私の語彙ではこの興奮を言葉にすることができない。あまりの興奮に2007年にYMOのリメイク版の"RYDEEN"を買って以降買っていなかったけどデータで買った。とにかく何もかもが完璧。すごすぎる。あんまり書くとナイポレ(京都α-STATIONで持たせていただいているプログラム。毎週金曜夜8時だよ!)で喋ることなくなっちゃいそうだけどどれぐらい興奮したかも書き残したくて書いちゃう。

I Feel for You - Acoustic Demo - song by Prince | Spotify

 

佐久間さんの打ち込みのドラムが入ったトラックを受け取り、ボーイから何パターンかの提案を受け、ここはこうでそこはこういうのもいいじゃないかな〜と言ったところで(この段階でここまでおれの気分が入っちゃっていいのか……レコスタとかであーでもないこーでもない、の感じよりもっと独善的になってしまっているんじゃないか……)とか考え出してしまったが、一旦考えるのをやめた。

 

街へ出る。取り置きのもろもろを取りに行った。インターネットの暗澹たる雰囲気とは真逆で街は明るかった。子供のころのように何が現実かわからなくなっていく。目が回るような感覚だ。すべての気分にふたをしてユニオンに向かい取り置きを受け取る。Clairoの1stだ。ついでにいくつかのレコードとCDを買った。次の収録のナイポレの選曲テーマにあわせて持っていなかったものもちょっと買ったが、以前Sylvia55のにしのちなみさんと音楽の話をしていたときに教えてもらったPatience & PrudenceのCDが見つかったので購入。本屋に向かう途中、ムーミンのタピオカドリンク屋の前にあるベンチに座る女の子が向かいのセブンイレブンで買ったと思われるスモークタンを食べていた。なんだか知らない景色で私は何を見て何を思ったのかもう自信がない。あの景色はなんだったんだろう。ジュンク堂panpanyaさんの新刊、児玉まりあ文学集成の3巻を買う。家に一度帰り、車を出し、スーパーへ買い出し。指ちぎれるほど買い込んで当分また部屋から出なくていい日は出ないつもりだ。いつまでこうすりゃいいんだ。

 

部屋に帰ってPatience & Prudenceを聴いてみたらとにかく最高。以前に教えてもらったときはSpotifyとかで聴いて1曲目で最高すぎてすぐ止めてしまったのだった。だが今日はちがう!ずっと最高。一番長い曲で2分28秒。これじゃんこれじゃん、と嬉しくなっちゃう。

 

ぼんやりと何日か書き足し書き足ししてたら長くなっちゃった〜

さんさん太陽

タワレコから荷物が届いた。Clairoというアーティストの新譜。Twitterで誰かがツイートした絶賛する意見が、誰かのいいねで流れてきて、ほほう、と試しに聴いてみたのだがものすごいサウンドで極上だった。サブスクは試聴に留めることが多く、慌ててレコードを探したら、7月の頭ぐらいの頃はどこも売り切れで、タワレコが注文受け付けてくれたのでそれを待っていたのだ。改めてわくわくしながら針をおろす。やっぱり最高。どこかでBlossom Dearieの"Sings"を思い出しながら、もう何年も前に坂本慎太郎さんのソロアルバムを車で聴いてて佐久間さんが「すごいよね、まったくクラッシュ・シンバルが鳴らないんだよ」と言ってて目から鱗が落ちたあの日のことも思い出したりもした。そして出ていた旧譜を2枚ともオーダーした。

 

Sling - Album by Clairo | Spotify

 

作詞はあと2ブロックというところまで来た。これまではずっとノートに詩を書いてきたけど、ここ半年は作詞もPCでするようになった。「PCだと後戻りできないから」とずっとPCでやってこなかったからノート状に広げてひとつのファイルで表示しきれなくなったらもうひとつのファイルを立ち上げて、という具合でやっていく。味気ないけどやるしかない。締切はもうとっくに過ぎている。漫画を読みながら、どういう表現にするべきか、ということも考えていく。今日は雁須磨子さんのロジックツリーをちょっとずつ読み、あと1ブロック、というところまできた。

いきしち・ヌ

奇妙な夢と副反応の燃えさしの中で大してだるくもないのに「副反応だりぃ〜よ〜」のスタンスで一日を潰してしまった。痛みも引いてきて腕のだるさもほとんどないのに。これが33歳の夏かね。作詞は1行進んだ。でもいい1行だった。うん、いい1行だ。ナイポレの仕込みをしていく。ここ最近レコードで買った曲から、近々収録予定の選曲テーマに合わせてLPから盤起こしをしていった。データを作っていく過程で漫画を読んでいく。勝田文さんの「風太郎不戦日記」だ。昭和20年(1945年)の医学生の話。1巻の「この凄烈暗澹たる日本の運命を、両手にて支え、一切他事を思う余裕なきが、この正月の気分なり」というあたりで今の気分、そして少し昔の気分がなぜだかわーっと襲ってくる。漫画を通じて戦中の東京でも普通に大学が機能し、映画館では映画がかかり、演芸場でも公演が打たれていたことを知る。おれの毎日はどこへ向かおうとして、おれの毎日はどこへ向かっていて、おれのこれからはどこへ向かっているんだろう。

 

目覚ましで目を覚ます。妙な仕事が入ったので慌てて髪を切りに行った。予報は曇りのち雷だったがカンカン照り。右腕だけ陽に焼けたような気がしながら散髪。シゲルさんと話す。久しぶりに今日の自分はよく笑っていた気がして、ただその「わ〜今日の自分、よく笑ってるな〜」っていう俯瞰した目線に戸惑いもあった。原宿の方から車で帰る。都心に出るたびデパ地下で無茶していい、というルールで動いていて、いつもだったら帰り道直撃の伊勢丹なんだけど、原宿の方から回ったから高島屋にも行けるということがわかった。あれこれ見て回る。デパ地下はもとから大好きだったけど去年の9月、ライヴの前に寄った日本橋三越の美しさを目の当たりにしてから取り憑かれたような気がする。日本全国の銘菓のコーナーを見て、まだライヴで行けていない街に思いを馳せ、かつてよく行った街を思い出す。京都フェア開催中でイノダコーヒーやさいき家なんかが出店していた。ああ、おれの京都。家に居ても大してお金つかわないもんな〜、こういうときに気分をアゲるためにおいしいもの買おう〜っていう態度であれこれ放り込んでいく。気持ちは確かにぶちアガり、晴れやかだ。しかしだんだんわかってきた。これ続けていると破産する。

部屋に戻り、シャワーを浴びしばらくぐったりとする。昨日より今日の方がぼんやりしている。これは副反応ではないかもしれないが、なんともいえないダルさである。