真夜中。
0時半に家に着くと、誰も家に居なかった。
遅い夕食を作っている間、
テレビジョンをひねり続けるが、
どの番組もつまらない。
ので、気持ち大きめの音でくるりを聴いた。
「東京の街に出てきました」
僕もそうなんじゃないか、と思う。
きっと僕は四国の生まれで、11歳のときに今の街に越してきた。
ある曇った夏の午後、僕はひとりで坂の上の神社に遊びに行っていた。
目を閉じるとなにも見えないのが面白かった。
ところがどうだ。なにも見えないのに歩いていたら、
当然、現実をみないということになる。
「ある」はずのモノはなく、「ない」はずのものが存在する。
うん、僕は神社の階段から落っこちて記憶が錯乱しているのだ。
いままでの記憶は全部ウソ。
僕が作り出した総てが虚像という訳だ。
だから僕の東京出身というのはウソで、これからは高知出身です!
それは、とても怖いが、とても素晴らしいんじゃないんだろうか。
ところで、僕の日記、怖いってほんとうですか。
ところで、これから、あのこに電話かけてもいいんですか。