曲を書くと、テープレコーダーで録音する。
そのテープを久しぶりに聴くと、
すっかり忘れていた曲もはいっていたりして面白い。
けだるいね。
昨日の学校はなんだかとっても疲れた。
音楽大学。僕の通っている大学は音楽大学。
あんまり喋った事のない大勢の人間に囲まれて、
僕は彼らを認めようとしていないからかな、
僕も認められていないような気がする。
どうして認めてくれないの。
ぼくが君たちを認めない理由はたくさんある。
「菊地マサオさんとおんなじところでカットしてるのー!UAとやってる人。」
女はそういった。
「あ、そう。成孔さんでしょ。サックス吹きの」
僕はそういった。
女は恥ずかしそうな顔をして、僕の施した訂正を認めた。
大学に入ったばかりの昼食時、
女はイギリスの雑誌がどうこうと喋っていた。
好きな音楽の話しになった。
女はマリリン・マンソンが好きだと言っていた。
アリス・クーパーも好きだと言った。
「どんなアルバム好き?」僕はそういった。
「や、曲聴いたことないんだ」女は確かにそういった。
女は菊地成孔が好きだと言っていた。
「DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENもいいけど、SPANK HAPPYもいいよね。
なんだっけ。あの、デートコースのドラムの人と参加してたバンド。
あー、思い出せないや。あ、第一期スパンクスも好き。
アレも好きよ、普通の恋」
僕はそういった。
「や、曲聴いたことないんだ」
女は確かにそういった。そういったんだ。
男はロックが好きだと言っていた。
「ザ・フーは好きかい?」
僕はそういってやった。
「いや知らない」
彼はそういいやがった。
「ビーズが一番好き」
続けてそういった。
この男はそういえば入学式のときに席が隣になって、
すこしだけしゃべったのだが、
そのときにあげていたアーティストは、
アジカン、チャットモンチー、ビーズ、ミスター・ビッグなど。
ああ、そう。
図書館で「ロンドン・コーリング」を借りて、
授業の休み時間中にみていて、不思議そうな顔をしていた。
「クラッシュ好き?」
「誰それ。どうせ有名じゃないんでしょ」
男はそういいやがった。
お前は有名じゃないと聞かないのかこのオマンコ野郎。掘るぞ。
その男とはその後様々な悪運が重なり、
かなり緊迫した人間関係が続いているのだが、
彼がなんと、僕のことをこう言っていたそうだ。
「アイツはロックを解っていない」ってね。
僕の事を愛してくれとはいわない。
僕の事を理解しておくれ。
どうか、この僕を、理解しておくれ。
僕は最近気軽に音楽が好きといえなくなってきている。