書店勤めの私なのでときどき本を買う。先日は尾崎翠さんという人の「第七官界彷徨」という文庫本を買った。粋な店長の計らいで河出文庫フェアを開催しているのだ。粋な店長は学生の頃ブコウスキーを読みふけった、と言っていた。粋な店長はQJフェア、ユリイカフェアなどをやっている人だ。
河出フェアでひときわ目を引く美しい装丁が尾崎翠さんの「第七官界彷徨」だった。だが、目を引いたのは装丁だけではない。タイトルだった。私が好きな漫画のタイトルに「第七女子会彷徨」というのがあるのだ。この漫画は実に奇妙なもので、近未来の日常が淡々と描かれている。非日常の日常だ。野村亮馬さんの「ベントラーベントラー」みたいな、我々の現状からすればどういう顔していいかすら解らない、というSF漫画。この漫画のタイトルはここから来たのか、と推理して私は「第七官界彷徨」を買うに至ったのだ。
買ったのが一昨日のことなので、まだ全ては読み切れていないのだが、私にしては珍しく、既に半分を読み終えてしまった。私はとても愚かな集中力をもっていて、その浅はかな心理の前では極上の文章も良い顔をしてくれないのです。まだ物語も途中だけれども、とても引き込まれる世界。何十年も昔の本でもこれほどまでに私は胸を躍らせているのです。
そして今夜は売野機子さんという漫画家さんが描かれた「薔薇だって書けるよ」という漫画を買って帰ったのでした。少し出遅れましたが、ずっと気になっていたので思い切って注文をしたのです。
- 作者: 尾崎翠
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2009/07/03
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