幻燈日記帳

認める・認めない

COMITIA 104について



本日はコミティアでした。
スカートも新作「COMITIA 104」と、
「ひみつ」収録曲から抜粋したコードブックを持っていきました。
COMITIA 104」は歌詞カードがついていないのでここに歌詞を掲載したいと思います。


1. さかさまとガラク


さぁ かさまの まち から
おだやかな声が 夜が いま 腕をつかんで
さぁ まようばかり だろ
つまりこれからは 窓を閉じ 風を嫌えば


灯せば尊し 暗がりにはさよならを
輝ける不安で 押しつぶされそうなんだ


かずをかぞえ ほしをかぞえつづければ ほら


水路に絵の具がとけてゆく


たばねたままに してた
黄緑や青が藍がいま 袖をつかんで
さあ かさまの まち では
僕だけの声も 夜も ただのガラクタじゃないか


2. 点線


だらしなく雨が降る また降る 肩が煤けていく 
枯れてしまって路傍に立ち尽くす 君に言えないけど


風が強くなって 微笑む 嘲るように何度でも試すさ
「いやなことをいうのね、わかったよ」 手を広げたらいつでも戻るよ


頼りない影の日々 この日々 水たまりを避けて
小さな嘘で繋ぐ この声 そばにいるような気がするよ


点線で縁取られた言葉では
憂鬱が薄れてゆかないかとぼくは確かめているんだ


煙の中を泳ぐ水を跳ね バスを見送って
閉じた傘の隙間を抜けて 息があがっていく
頼りない影の日々 この声 そばにいるような気がするよ


3. 夜を越えて


ほら街が赤い色して
僕を待っている そんな気がするんだ


きっと癒えない胸の痛みが
君を待っている
僕はそこにいないけど


だから目を閉じて
悲しみに色をつけるよ
だってこんな夜でもいいじゃないか
きっとうたってくれよ


だから窓を開けて
悲しみに色を添えるよ
だってどんな夜でもいいじゃないか
きっとうたってくれよ


ほら街が赤い色して
僕を待っている そんな気がするんだ


4. 都市の呪文


雨粒が僕の手の中で 染みだしてゆくよ ゆっくりと
気にも留めないはずの声や 言葉の影で 煤けてしまったら


誰だ 君のような声色で 静かに笑う口元が
誰か! あの呪文が 解けぬように すべて忘れてしまえたら って


そうだ さみしがるよりも 古いつなぎ目を燃やそう
誰か! あの魔法も 届かない ような 都市や浜辺が遠ざかってく


少しでも ああ 君のそばに
窓辺の花は枯れかかって 


5. 書店員は今日も


書店員は今日も退屈
昼から続く雨のせいか
響く靴音さえ今は厭わない
窓は 曇ってゆくよ


書店員の今日は退屈
苛立つ気持ち雨の所為さ
飾り立てた棚も物憂げで
窓の外 眺めた


君の欲しがってるのはそこにある
ついておいで
補充の山もレジ袋の川も
一人きりで渡ってみせる


書店員は今日も退屈
昼から続く雨はただただ強くなるばかり
重い靴音さえ 遠くなる
襟元を正した


有線放送だけが僕たちに語りかける
インクの匂いが消えてしまわぬように
願いながら レジ打つだけの


書店員は今日も退屈
明日も一日雨だそうだ
響く靴音が既に恋しい
窓の外眺めて ブラインド下ろして
灯りを落としてく


6. ハートブレイク・ハートブレイク


諦めていたんだ うー
つかめないヒントを そう
さらいきる前に隠した
今更じゃ さよならやおやすみさえ
視点がぼけていく


スターダスト スターライト 照らせよ
僕だけを さあ 影だけをみつめていたいんだ
スターダスト スターライト 放せよ
あの娘のこと 影だけがにじんでしまうその前に


手が届かないから
ききたくない しりたくないけど


スターダスト スターライト 放せよ
あの娘のこと まだ僕は気づいていないんだ
スターダスト スターライト 照らせよ
散り散りになったあの日々のかけらが消えるその前に


というわけでCOMITIA 104の歌詞情報でした。
ひみつのレコーディング、ひみつの発売、
ひみつのレコ発、ひみつの重版でてんてこまいだった日々からの、
急激なスイッチングのため、自分でも直前まで、
どんなものができるかわからない状況でした。
2週間前まで1,2,3曲目しかできてませんでしたし…
1.さかさまとガラクタは去年に作った曲でした。
プログレッシブな構成で、バンドに持っていっても、
なにからはじめていいのかわからないので、
「じゃあ次のコミティアで録音しますのでそれを基にアレンジしましょ」
なんてほっぽり投げていたものがようやくここに結実しました。
2.点線は2008年頃からあった曲です。
昔の編成のスカートの最後のライヴで新曲として披露したものの、
その日のステージでドラマーがライヴ中に脱退宣言。
忘れたくても思い出したくないライヴで演奏した新曲なので、
あまりいい印象がないままでしたが、曲は気に入ってました。
久しぶりに作曲時のデモを見つけたので、
当時とは構成も少し変えて録音しました。
3.夜を越えては2011年にストーリーを書いたあと、
燃え尽き症候群のようになってしまい、
どんな曲を書いても納得できなくなっていました。
(おばけのピアノもそのうちのひとつでした)
その時にとても暗いアレンジで作曲をはじめて、
「こんな曲を作るようになっちゃったら、
ぼくの才能はもう枯渇してしまったよ…」と、
昆虫キッズの世話焼き係の熊谷くんにこぼしたりしたことを覚えています。
のちのち、暗いアレンジはやめて、
スウィングにしてみたところ、スカートにスウィング時代が到来する事に。
その後のスウィング路線は「夜のめじるし」や、
「月光密造の夜」「アポロ」などで確認できます。
4.都市の呪文は今回一番苦労した曲です。
最初のコード進行とメロディが出来た時に、
手応えはあるもののどういう見せ方をすればいいのかわからなくなってしまい、
短期間内で試行錯誤を繰り返すうちに現在のリズムアレンジになりました。
ドラムのチューニングを少しこだわり、
シティな感覚にすこし近づけたのではないでしょうか。
おそらくカルロス・トシキを聴いてた去年の夏のフィードバックではなかろうか。
5.書店員は今日も、は、7年間務めていた書店を、
5月の中頃にやめることになって、
フォークシンガーじゃないけどなにかテーマを持ってうたってみたい、
という気持ちになり、一念発起で詩を書き出したはいいものの、
とてもバイト仲間には聴かせられないフィクションものになってしまった。
務めている書店は駅前にあるのでそこまで暇になることはない、
非常に優秀なお店でした。みんなで行こう、高島平南天堂。
6.ハートブレイク・ハートブレイクはトーベヤンソンニューヨーク用に、
書いてみたはいいけど金子朝一の音域に全く合なかったためにこちらに転用。
最近のスカートによくあるスウィングのモードが3連になり、
yes,mama ok?の影響が如実にでたような気がします。


いままでのCOMITIAシリーズでもかなり気に入ったものが出来ました。
明日、ココナッツディスク吉祥寺店に納品に行きますので、
コミティア来られなかった方は是非聴いてみてほしいです。
制作時間の問題からキーボード類がほとんど入っていなかったり、
ベースラインがあまり凝ったものにできなかったりしていますが、
そこからさきはいずれバンドに反映させていけたらいいな、と思っております。