幻燈日記帳

認める・認めない

(((ぱれいど)))



遅い時間になってしまったため、眠る前にアラームを設定。
ヘイユウブルースとモーニングムーンが交互に僕を起こしてくれるんだ。
外は雨が降っているみたいだ。
雨戸を締め切ったので外が明るいのかくらいのかもわからない。
ともかく重い身体を起こして居間で相棒の再放送をチェック。
働きたくても働けず、どんどん悪い方向に向かっていく、という重い回。
犯人は不在で「社会に殺された」という衝撃の回で目覚めは最悪。
たまたま居合わせた同居人まで凹ませてしまった。
それでも「今夜は(((さらうんど)))のレコ発!レコ発ー!」と気分を取り戻した。
部屋で今夜演奏する曲のコードを確認したり、着替えを詰め込んだり、
天気予報をみたりして時間があっという間に過ぎた。
家を出て、上石神井から電車に乗る。高田馬場で乗り換え、
迷路のような渋谷駅を徘徊、代官山についた。
僕がアコースティックギターしかもっていなく、
ライヴに適したいわゆる「エレアコ」は持っていなかったので、
鴨田さんのエレアコを使わせてもらうことになっていた。
家を出るときにこんなに身軽ということは心も軽くなるのか、と驚いた。
ポケットにカポタストとピックを数枚、それだけが今夜必要なものだった。
UNITに入るとリハーサルがちょうど始まったぐらいだった。
会場に垂らされた布、背景、ケンヤさんのDJブースにそれぞれ映像が映されていた。
それだけで今夜は絶対楽しい夜になる、と思った。
neon tetra」のリハーサルが終わり、本編を見たくらいで、
サブウェイでトマトとピクルス増量したサンドを買ってUNIT戻って食べた。
楽屋でみなさんと談笑。舞台衣装が支給されるのだが、
僕はサイズがなかったため、いままた流行の兆しにあるという、
プロデューサー巻で対応することに。
情けなさを感じているとあっという間に開演の時間になる。
地下でwifiを切ってしまっていたため見に来るはずの恋人とも連絡が途絶えてしまって、
果たして来れてるか不安になったが、開演の時、後方からステージをみたら、
松永良平さんやグラタンうま太郎氏と混じって逢う事が出来た。
思い上がりだということはわかっているのだけど、恋人からしても今夜のステージは、
僕と同じぐらい重要だったのではないか、という気がした。
"Welcome to Brand New Age"でステージは始まる。
これから始まるワクワクがこの1曲にすべて込められているような気がした。
静かに、だけど確実に盛り上がっていく電子音を抜けると、
次はアルバムと同じ曲順で"Signal Signal"へ。
この曲のリフはもはや発明だと思う。
VJの映像も後押しして会場の雰囲気は最高のものに。
旧譜から"夜のライン""タイムリープでつかまえて"を披露したあたりで、
ぼくは自分の出番を袖で待つ事にした。
"半径1mの夏"がはじまって舞台袖に移動。
カクバリズムのまさやさんにプロデューサー巻の袖を締めてもらってステージへ。
万感の想いを込めて"Neon Tetra"を演奏した。
その後もステージは楽しい顔を乗せて演奏を続ける。
とにかくあっという間、楽しく踊っている間にライヴが終わってしまった。
もったいない、もっと続けばいいのに、なんて考えてしまった。
終演後、袖で話をしているとこれまたあっという間に時間が過ぎていく。
で打ち上げ会場に移動するとこれまたあっという間に時間が過ぎるんだ。
こんなに楽しい夜は久しぶりだ。いい音楽は聴けるし、
いいパフォーマンスだし、いろんな人と楽しく話せた。
なにより帰り道が身軽だ、という安心感があった。
打ち上げ会場では唐揚げをひたすら食べていたような気がする。
名残惜しさを感じながらもひとり電車に乗った。
ぼくももう大人になった。渋谷から山手線で中央線に乗り換えるには、
新宿で降りずに代々木で降りて中央線に乗り換えれば、
そう、座れる確率がグッとあがるんだ…
電車はぼんやりした感じで西へ進む。
石神井行きの電車はとっくの昔になくなってしまっていたので、
吉祥寺からTAXIに乗った。気軽ではないが、
少しの決心でタクシーに乗れるようになったのは怠惰の果てなのだろうか。
いや、考えたくない、私はつかれているんだ。
家の前にタクシーが着いてPCを開く。
TJNYのチャットをチェックすると先日作った新曲のデモの話題になっていた。
僕が忙しいから、といって未完成にしてしまっていたのだけど、
唐木さんが新しくデモを作ってくれていた。
構成とかが自分の考えているものと変わっていて、
あっ、そうか、作曲者として責任を取らねば、と急にスイッチが入った。
ドラムとギターだけ入っていたLogicデータを開いて、ベースを握り、
夜遅いからうたえないのでエレキギターでメロを録音、それをアップした。
デモなんだからやろうと思ってとりかかったら1時間かからなかった。
忙しいとか言ってるから太ってんだよ、と脳内のなにかが囁く。
私はそれを右手で降りはらい、あまりの疲労感に立ち上がることも出来ず、
寝転がったまま、日記を書き始めた、という次第だ。
そろそろ風呂に入って、眠るための支度をしなければ。
明日はあるレコーディングを馬場ちゃんと一緒に深夜やることになっている。
これがどう転がるか、まったくヴィジョンは、見えていない。