幻燈日記帳

認める・認めない

パーティ破り



以前、日記にも書いた副鼻腔炎と診断されていた喉の不調だったのだけれども、
ある一件を境になんとなく効いてるかなーと思っていた強めの抗生剤が効かなくなった。
そこで「ストレス 喉の違和感」で検索するとなんとまあ、
これはぴったりだ、という症状が書いてあるではないか。
不安や緊張からくる心因性のものだったそうで、
僕はずっと喉にカメラをいれても見つからないけど、
確実に体を蝕む病が居ると思っていたので、その日から少しずつ楽になった。
通っていた耳鼻科にも相談。本来だったら心療内科送りなのだけれども、
「心配事を取り除いていくことが一番。
どうしても薬が飲みたかったら処方するけどあんまりおすすめしないよ」
副鼻腔炎自体は確かにあるんだけれども、
心因性の喉の違和感にも何かしら引き金はあるらしく、
それはそれでばい菌は殺した方がいい、とのことだった)
と言ってくれた。そして最後に冗談っぽく「売れたら治るよ!」とのこと。
違和感が生じだしたのは忘れもしない、2月に静岡に行った時だった。
恩師の牧村さんと講演のため、大雪のなか新幹線で移動だった。
なんてこったない、きっと風邪だよ、と思う反面、
これまで感じたことない違和感だったのでイヤな予感はしていた。
最初は内科へ。薬を処方してもらったが効かず。
その2月を思い出してみる。
3月1日から新譜のレコーディングの本格的な準備が始まっている。
そこへ向けてのプレッシャーや、あまりにも多い雑務、
あまりにも多い重要な任務がつもりつもって体がSOSをだしていたのだろう。
「スカートはインディでやってる姿勢がカッコいいよね」
DIY精神が素晴らしい」
とよく言われるが、それらはスカートがファーストをリリースした、
2010年にはそうするしかなかったのだ。
そして2011年も、2013年も、2014年も。
ひとりの無名な若者が作ったレコードが静かながら反響を呼んで、
じわじわと売れていって最初に作った500枚が1年経たずになくなってしまった。
これだ!という曲が出来上がったときも自分で発売するしか方法はなく、
2万円という超低予算のレコーディングでセカンドを作った。
「順調に見えたから声をかけづらかったんじゃないかな」
と言われたこともあった。
「いろんなレーベルから声かけられてるでしょ」
と訊かれたこともあった。1社だけありますがその時は断ってしまいました。
音楽をやる方法はたくさんある。
そして音楽を伝える方法もたくさんある。
さらに音楽を受け取る方法もたくさんある。
なににせよ体は大事だ。
今回幸いだったのは喉に違和感がありながらも、
歌にはほとんど影響はなく、
(とはいえ何度かマイクスタンドにVICKSや、
トローチをマイクスタンドに貼付けてライヴをしたが……)
さらに今回の「サイダーの庭」では、
そんな精神状態が録音に全く反映されていない、ということがうれしい。
つらいレコーディングとして記憶に残っていてもおかしくはないのだけれども、
それはメンバー、スタッフに恵まれたなあ、と思っている。
喉の違和感は日に日によくなっている気がする。
症状が心因性のものだと知ってから、
冒頭で述べたある一件に関して人に相談したり、
笑い話にしたりしながらじわじわ体を慣れさせていったのもあるだろうし、
なにより「サイダーの庭」が好評だというのも大きい。
100枚入った段ボールが30箱届いたというのに、
部屋にはもう1箱と数十枚しか手元に在庫がない。
返品という恐怖と戦わなければならないのだけれど、
以前のような焦燥感は和らいだ。
喉に違和感がある間もライヴはやらなければならなかったので、
そのプレッシャーはかなり大きかったが、
振り返って見るとあの状況でライヴがやれたことは大きな糧になりそうな気がしている。
スカートは今後もいい曲、いいレコードを作っていきたいと思います。
そのためにはどうか、スカートの音楽を気にしてもらえたらうれしいです。
ひとつのピークとして7月15日に渋谷クラブクアトロでライヴがあります。
片想いというバンドとツーマンです。これは事件。おれもいくからみんなでいこう。