幻燈日記帳

認める・認めない

アタッシュケースにつめこめものたち



旧家を引き払う直前に同居人のいなもとくん(仮名)が「RAH BANDの"Clouds Across The Moon"ってめっちゃいい曲ですね」と言い出した。何かと思ったら仕事の車中で先輩のシャッフルからかかったのがこの曲だったそうだ。つい先日、ある事をきっかけに「僕らの世代はもう基礎教養とか、聖典といえるものすら細分化されている」という話に自分の中でなっていたにも関わらずMysteryのLPをスッと出して「ふっふっふ、そうでしょそうでしょ、RAH BANDはね〜基本ッスよ〜」と片付かない部屋でふたり突っ立ったまま、あの切ないメロディに耳を寄せた。
RAH BANDを初めて聴いたのは10年以上昔、高校生だった頃、金剛地さんのDJでのことだった。キリンジといいなんといい知らず知らずのうちに耳が肥えていく同居人のいなもとくん(仮名)のふとした瞬間(前の日記で書いたような階段をのぼるとキリンジが聴こえてくるとかそういう瞬間)に一緒にいられないのは少し寂しいな。最後の日記から時間が経ってしまって、引っ越しも落ち着いてしまったのだけど、このことはいつか忘れてしまうには惜しいのでどうしたって書かないと、と。