幻燈日記帳

認める・認めない

「13万持って外で待ってるって」



毎日が不安で不安でたまらない。多くの先輩ミュージシャン達がそうだったように些細な事で自分もあちら側に行ってしまうのではないか。制作やライヴへのプレッシャーはある。続けることは時に恐怖だ。今は止まれない。決意を元に注射を一本打つことにした。これを打てば不安は過ぎるはず。自分にとって1/28のワンマンはそれぐらい重要なんだ。とはいえ、ここ数年は注射なんて採血ぐらい。「痛いんですか?」「さあ、人それぞれだけど皮下注射だからそんなに痛くないはずだよ」。この種の事ははじめてだ。細い針の先に果たして安堵が広がるのだろうか。針先を冷たい、とも思わない短い時間に身を委ねる。身体の中を何かが走るような感覚もない。はじめてというのはあっけないものだ、というのを私は知っていたはずじゃないか。握った拳を解くと男はこう言う。「抗体ができるまで2週間ぐらいかな。だから気を抜いちゃダメだよ。僕も打ったのにインフルエンザにかかっちゃったから」。ワクチンについて何も知らなかった私は2週間かかると聞いて椅子から転げ落ちた。2週間後ってワンマン当日じゃないですか。ワンマンまでに倒れないようにワクチン打ったみたいな部分もあったのに!
明らかに高熱が出ていそうなマスクをした少女を横目に処方箋を受け取って薬局に向かう。土曜日なのに薬局は高齢者でぎゅうぎゅうになっていた。平日にはこれなかったのだろうか。あっ!眩しい!(鏡を目の前に置かれてしまったようだ) 薬剤師さんに「まだまだかかると思うんで」と言われ、駅前へ向かい本屋に入る。靴下ぬぎ子先生の新刊と、恩師牧村憲一さんの新書を購入。再び薬局に戻り、牧村さんの新書を2ページ読んだら呼び出された。約一月分の喘息の薬を受け取り、自転車にまたがりスーパーで買い物。ストレスから来る病的ではないが多少の過食(ただの食べ過ぎ)と父親譲りの逆モデル体型を儚み、チゲ鍋を食らうことを決意したのが今日という一日だった。