幻燈日記帳

認める・認めない

れんぞくの不一致



某日
吉祥寺に新しく出来たレコード屋に行く。その日がオープン初日だった。平日の昼間だというのに人が大勢。レジは大混雑。吉田哲人さんとばったり会い、お互いがどんなレコードを持っているか見せ合う。「そんなのあるんですか!」「それは安いね!」と言いながらにこにこしてしまう。レコ屋で人とバッタリあうと、必ずおすすめを買うようにしているのだけれどもラムゼイ・ルイスの「マザー・ネイチャーズ・サン」をすすめてもらった。僕はその他にジョン・ピザレリコリン・ブランストーンなどを購入。帰り際、日本のレコードの中古コーナーのディスプレイに「タモリ3」と「ラジカル・ヒステリー・ツアー」がかかっていたがその横が何回か通っても空いていたので「吉田、タモリ倶楽部出演おめでとう」と言いながら関連作を全部並べ、店を後にした。


某日
リハーサルスタジオに入る。スカートは根城にしていた中野のリハスタを使いながらも、他にも使い勝手がいい場所があるはずだ、と模索し始めている。理由は普段使いの中野のリハスタは駐車場があまりにも遠いのだ。昔だったらその必要はなかったのだが、バンドとしての機材が増え、重要なライヴの前のリハーサルでは機材を持ち込むことが増えたからだ。その中野のリハスタの駐車場は地下へ潜って、一度階段で地上に戻り、そこから階段で地下二階のリハスタへ、と言った具合の悪循環。もっと楽に搬入できるスタジオはないものか!といくつかスタジオをとっかえひっかえ使ってみているのだが、音がよく、搬入搬出が楽なスタジオにはまだ出会えていない。
その日は5時間にも及ぶ長尺リハーサル。ここ最近書き上げた新曲をバンドで合わせていく。"CALL"の製作時期は精神的に参っていた部分も実はあり、リハーサルの頃はなにやってもうまくいっている気がしなく、ああしたいこうしたい、というアイデアが出てこなかったのだけど、今回はちゃんと言葉に出来ている気がする。


某日
部屋があまりにも汚く、作詞ができるような状況じゃねえよ、と部屋を飛び出し喫茶店に向かおうとしたが、外は雨。せっかく出かけるならちょっと遠くに行こう。歌詞書き終えたらレコードも買うんだ、と池袋に向かう。1時間も経たないうちにカップは底を尽き、最近なんとなく読み返している文庫本も開かず、もちろん歌詞も出てこず、絶望し、レコードも買えずに雨の中、自宅へ帰った。夕食の支度をしている時にこのままではよくない、炊き込みご飯作ってる場合じゃねえよ!と炊飯器のスイッチを押し、水着を持ってすぐ近くの区民プールへ向かった。新しいアルバムに向けて頭のなかで想いを巡らせていく。ああしよう、こうしたい、どういう詩を書こう、ああいう曲は書けないのかな、時々小さな声で歌いながら45分ほど歩く。スッキリしたぜ、気分のいい頭さ、これで僕はぐっすり眠れました。