幻燈日記帳

認める・認めない

アインシュトゥルツェンデ・ボビバウベン



作業・作業・作業の日々。あまりにも筆が進まない。自分に対してのプレッシャーがあまりに強いのではないか、と見つめ直した結果、とにかく無理してでも一度形にしてみよう、となり、それを自分に課す。ひとつのきっかけを冷静に判断する前に広げて、一筆書きのようにデモを録音する。ドラムはループ、ギターもベースもチューニングひどい。でも2時間ほどの作業で1曲出来た。これがいいかわるいかは一度置いておいて、ここまでこれた事を味わう。湯に浸かり、録音したデモを聴き返す。ここをもっとこうしたらわかりやすくなっていいね、なんて考え、メモを取り、この日は眠った。


締切が足音もたてずに近づいてくる。とにかくギターを持つ。そこから始める。ひとつモチーフが出来る。良さそうだ。これもデモを録音しようか、と思ったところでものが積まれてまともに弾けなくなったエレピに無理矢理目を向けた。鍵盤をすぐ弾ける状態に戻し、アンプの電源をいれる。しばらく格闘しているといいメロディを思いつく。ボイスメモにそれを押さえ、定着液につけるかのようにdropboxに即保存。少しずつ磨いて行って気分いい転調が決まり、ワンコーラス分の草稿が出た。充実感と焦燥感が同時に襲ってきて自分でもよく解らなくなる。それでも手応えを持って耳鼻科に定期メンテナンスへ向かう。


「調子はどうですか?」「最近よかったんですけど、またなんか喉に1枚膜があるような気がして」鼻にカメラを入れてもらって見てみるとポリープなどは出来ていなかったが声帯が少しくたびれているようだった。「空気のきれいなところでゆっくりしてね」と言われる。部屋を思い出す。掃除機を何ヶ月かかけることすらできていないろくでもない部屋の空気がきれいなわけがない。聴かなかった事にして支払いを済ませた。


夜は打ち合わせ。打ち合わせの相手が来るまでクリームソーダを愉しむ。少し放っておいてバニラアイスが溶け出したところをスプーンでひとすくい。これが悦びだ。スプーンを口から引き上げると、(人前に立つ機会がないから伸びっぱなしになっている)ヒゲをたくわえたぼくがさかさまに写っていた。


家に帰り、再び作業。キー設定を終え、そのまま就寝。