幻燈日記帳

認める・認めない

どうして月を撃たない

レコーディングが終わり、車に乗ったあたりで具合がグンと悪くなった。レコーディングが終わったのは(バスなら)深夜(料金になるような時間)で、青梅街道をひたすら西へ向かっていた帰り道を一旦戻り、新宿のドラッグストアで風邪薬を買って帰った。部屋につく頃には熱っぽくなり、眠る直前にはしっかりと発熱。ごはんはしっかり食べて薬をのんで布団に入るのだが眠れない。体はめちゃくちゃ疲れていたから眠ろうとするんだけど、体が熱くて眠れないのだ。「明日のライヴどうなっちゃうんだよ〜」なんて布団でぼんやりしていたのだけど、ああ、なんて晴れないこの気持ち!とからだを起こして携帯電話を見てみると1時間も経っていたのだった。体は休んだけど頭は休めてなかったのだろうか。はたまたその逆か。

それでもいつしか眠りについて、アラームが鳴る前には目が覚めた。起きると発熱は収まっていて、頭痛もない。耳閉感だけは残ったけど、それ以外は何も問題ない。ホッとしてまだ起ききれていない体をひいて今日のライヴの1曲目の歌いだしを口ずさんだ。……本当に大丈夫?

結論から言うなら、大丈夫だった。

福岡に着き、佐久間佐藤でハイダルというカレー屋でバイ調(ヴァイブス調整)を済ませたこともあったのか、弦を張り替えたこともあったのか、お客さんもたくさんいたこともあったのか、久しぶりのライヴだったけど、楽屋にカポ忘れた以外は問題なく声も出た。深夜の絶望は一体なんだったのか。

呼んでいただいた日食なつこさんチームと打ち上げ。日食なつこさんもライヴで説明してくださったけど、本当に本当のはじめましてだったから楽しい会になった。

福岡に一泊、倒れるように眠り東京に戻る。タッチの差で住んでいる街の近くへ向かうバスに乗れなくて40分の待ち時間が出来てしまった。空港の喫茶店に入り、紅茶を頼み、ストレートでじわじわ飲んでから角砂糖を放り投げる。さあこれから混ぜるぞ、お前は今から全体的に甘くなるんだ、とティースプーンを手に取ったのだが、少しずつほどけていくかたまりに見入ってしまった。ここが箱庭だったら、ここが海辺だったら、ここが私の部屋だったら、ここが喫茶店だったら。秋だからこんな気持ちになるのでしょうか。