幻燈日記帳

スカート澤部渡公式ブログ

君には懐かしい10月でしょうか

「正月みたいな空とは」、「どんなだったか」。アパートのドアを開け、短い共同の廊下を歩いてそう考えた。バスに乗り、地下鉄に乗り換えて打ち合わせを一本。神保町で降りてマネージャーとエチオピアでカレーを食べる。マネージャーと別行動でユニオンをのぞいたりする。手元から知らぬ間にいなくなっていた(金がない頃に売っぱらってしまったんだろうか)CDを2枚救出。そこから歩いて移動。寒くなってきて寂しい気持ちになる。本当に淋しさには名前がないのか。名前をつけてきたのが僕たちなのではなかっただろうか。なにか音楽を聴こう、とイヤフォンをつける。20周年のツアーのトレーラーを見て以来、DC/PRG結成20周年ツアー<20YEARS HOLLY ALTER WAR MIRROR BALLISM>トレーラー(over 30 min) - YouTube DCPRGが妙に聴きたくてたまらない衝動に駆られていた。そういえばサブスクが解禁されていたな、と思ってAppleMusicでファーストを聴いたら、"PLAYMATE AT HANOI"の左チャンネルのバスドラムが凶悪すぎて笑っちゃった。すごいっすよ。何度も聴いたテイクなのに作用が変わった感じする。そしてそこからもう一本打ち合わせ。どちらも楽しみでしかたがない。早く言いたい。

打ち合わせを終えてさらにユニオンへ行く。気がついたら手に持っていたのがテレヴィジョンとかペイル・ファウンテンズとかエリック・カズで、「薄々思っていたのだけれど、これからの人生は過去に聴いていた曲を聴き返す感じなの?」となり、手に持っていた何枚かのCDを全部戻していった。ところがエリック・カズだけもうすでに棚がギッチギチになっていて戻すことができなかったので購入。電車に乗って新宿を目指した。

「プリファブ・スプラウトを聴かないと」。去年ベスト盤の『38カラット・コレクション』を聴いて以来、大事に聴いていたのだけど、「最新からさかのぼって聴くのはどうですか?」という優介の指南の通りに『クリムゾン/レッド』から聴いたんだけどまあそりゃ泣いちゃうぐらい良くて、そうしているうちにアナログの再発の報せがあったもんだからベスト盤で聴いて大好きだった"Jesse James Bolero"の入っている『ヨルダン:ザ・カムバック』と『アンドロメダ・ハイツ』を取り急ぎ探すことにした。タワレコの10階のTOWER VINYLで『ヨルダン:ザ・カムバック』を確保。素晴らしい接客をしてくれた店員さん曰く「やっぱりその2枚が人気です。私も…やっぱりその2枚…」「ふふふ、ですよね〜!」と答えるのだが私は「ですよね〜!」と言える立場ではないのだ。カードで払うか現金で払うか少し迷って現金で会計をして、エレベーターを降りていく。外は暗くなっていて、パチンコ屋の隙間を抜けるのにうってつけだった。ユニオンレコードで新入荷に目もくれず店員さんに「『アンドロメダ・ハイツ』は売り切れちゃいましたかねえ〜」と尋ねたら、ユニオンレコードに在庫はないけどインディー・オルタナティヴ館にある、と教えてくださり取り置きの手はずまでしてくれた。そのまますぐ移動。ざわつく胸を押さえてエレベーターのボタンを押す。心が落ち着くのを待つように店内を見て回った。あのCDもほしい、このレコードもほしい、でもプリファブ・スプラウトの『アンドロメダ・ハイツ』がほしい…となった最高のタイミングでレジに声をかけ、会計を済ませる。今度は楽天カードでの支払いだ!!

2階のアクセサリー館で実家に奉納する細野晴臣さんのサイン入り『はらいそ』を飾るための額を買い、新宿を出た。ここは現金。

部屋に帰り、3日ぐらい炊飯器に入れっぱなしだった白米をどうにかして食えないか、と炒飯にしたりして、実際食って大丈夫だったかどうかわからないまま『ヨルダン:ザ・カムバック』に針をおとす。溝をトーレスする音が聴こえる。音楽が始まる。「ベスト盤で聴いた曲だ」とか思って聴くんだけどとにかく聴こえ方が違う。こんなに寂しい音楽だっただろうか。テープの転写が聴こえた気がしたが、DLコードについていたWAVも聴いてみたら、それはテープの転写ではなく、もとから録音されていた演出だったようだ。"Moon Dog"で音像が急にモノラルになって演奏も少しラフになるところに驚いたり、そうだ、ベスト盤でも聴いていたけど"All The World Loves Lovers"はこんなにいい曲だっただろうか。たった5つの音を鳴らすだけのピアノの音に涙が出たりした。

Prefab Sprout - All the World Loves Lovers - YouTube