幻燈日記帳

認める・認めない

おマンボ伯爵のご帰還

夜、寒くて長袖を着て眠った。

 

締切と締切の境目で板挟みになっている。今度録る曲の歌詞を考えなくちゃいけないのに打ち合わせたばかりの来週締切の曲のコンセプトが頭をぐるぐる回りだし、どうにもならない。久しぶりに文学に飛び込まなければ、と掃除をしていたら出てきたボリス・ヴィアンの「北京の秋」を開いてみると2017年のAマッソのライヴのチケットの半券が相当序盤のページに挟まれていた。確か2017年の当時にどこかの古本屋で買ってパラパラと読んでそのままになっていたのだ。ボリス・ヴィアンは高校生の頃に金剛地武志さんに薦められて「醜い奴らは皆殺し」や「日々の泡」「心臓抜き」とかを読んで、そのどれもがぶっちぎりでいかれてて、でも繊細でめちゃくちゃ影響を受けたのだが、いろんな本を読んだり、歳を重ねていくうちにあまり小説を読むのが得意ではない、ということがわかってしまって、次第に読まなくなってしまっていった。そうして気がつくと彼が遺した著作の半分も読まないうちに大人になっていて、なにがどうしてこうなった、と口でいうだけいってみるのだ。

 

佐久間さんと優介とApexをしてて漫画の話になり、萩尾望都さんの漫画をいくつか読んだ佐久間さんに高野文子さんの漫画を勧める流れになり、優介とふたりで「おともだちが〜」とか「絶対安全剃刀は〜」とか「いや、やっぱり棒がいっぽんが〜」とか言っていたら通話しながらその場で3冊全部買っていて、なんだかうれしくて、ちょっとおかしくて。「明日届きますね」と言うのを聞いて明け方の部屋で笑った。

 

作詞のあれこれ、作曲のあれこれに疲れたらナイポレのための選曲を進める。次の放送はああいう感じだから、こういうのをかけたらいいんじゃないか、でもこれはいつかあのテーマでやるときに取っておこう、とか、考えを巡らせる。結局どの作業も楽しいのだからつくづく天職なのかもしれない。

 

2年ぐらい前に枡田さんがRTして知った山素さんの漫画がモーニングの月例賞を獲ったとのことで読めるようになっていて読んだのだけど、最高だった。地に足のついた飛躍というのか、飛躍しながらも地に足がついている、とでもいうべきなのか、とにかくそうした状態というのは美しくて、心の奥にガッと染み入り、ありもしない私のあの頃が扉絵のそれと重なる。

 

時間跳躍式完全無劣化転送装置 - 山素 / 【読み切り】時間跳躍式完全無劣化転送装置 | コミックDAYS