幻燈日記帳

認める・認めない

瞬間の頂上

13日

野音ムーンライダーズのライヴ。リハーサルが終わってくたくたになって帰宅して、復習もできずテレビ見ながら寝落ちする日々を抜け、とても充実感を感じた。「黒いシェパード」の冒頭は最初、原曲と同じようにメロディと同じに歌っていたのだけど、優介から「オクターヴ上のほうがきっといいっすよ」と助言をもらってそのようにしたことを書き残しておこう。「くれない埠頭」で歌った部分は今まで歌ってきたどのライヴよりも気持ちよく歌えた気がする。不思議な気分だ。

ライヴが終わってしばらくすると矢部浩志さんと遭遇。思わず抱きつく。しばらくしてそこに優介も合流。見つけるなり抱きついててそれもよかった。

 

14日

オッドタクシーの映画版の試写を観に行く。竹芝をなめてた。駐車場が10分300円とかそういうレヴェルの場所だった。商業施設になんとか停める。映画はものすごく引き込まれた。アニメでの一話見終わったごとにある「さっ、次回(来週)どうなるんだろ」の感覚もいいんだけど、こうやって2時間で駆け抜けられるとたまらなかった。

試写を終わり、竹芝だったので海が近かったのでぼんやりと近づいていく。夕暮れせまる海を見ながら昨日のライヴを思い出す。慶一さんがBS朝日でのインタヴュー動画で野音の編成はどうなりますか?と訊かれて「今の6人、そして澤部くんと優介くんというのは揺るがない」と言ってくださっていたのを見たことを思い出して、改めて人生ってすごいな、と考えた。ベンチはいくつかあったのだけど、なにかを見せるためのベンチであって、理由もなくあるようなベンチではなかった。私は今、ここを理由もなく漂っているだけなのに、レインボーブリッジを見るために設置されたベンチに座るわけにはいかないのだ。夕暮れでもないし、埠頭と言えるほど埠頭でもないけど、しみる。「このまま小田急線に乗って本厚木で降りなければ小田原の海で24時間砂を食べていることだって可能なんだ」と泣いていた18歳の自分が今の自分を見たらなんて言うだろう。そうしてベンチには座らず、欄干にもたれる。

 

 

15日

シティポップレイディオの収録。最初はシティポップという言葉に戸惑っていたけど、個人的にはやっぱり楽しい。学生の頃の牧村さんの授業を受けていた頃を思い出す。「不思議なんだよ。人の前に立つとそれまでまとまっていなかったことや考えたこともなかったことが突然話せたりするんだ」とベローチェでお茶をしながら牧村さんは言っていたけど、ここ数年ラジオで話すようになってからそれを実感していたのだが、初回の放送で「killer tune kills meで韓国語のラップが入る、ということは海外で評価があがるシティポップのある意味でのオリエンタルさみたいなものの追体験」みたいなことを言ったのも突然思いついて話したことだった。今回の収録でもそれに近いことがあって、やっぱり楽しい。ナイポレと切り口が全く違うのもいいのだろう。半蔵門でランチ。パワーウインドウぶっ壊れてディーラーに見てもらう。部品の交換で5万円の出費が確定。22年も乗っているこのワゴンRに涙が出そうになった。「アレとソレのギャラってどうなりそうですかね……車買い換える日が近い気がして……」とLINEしたらタッツと社長からありとあらゆる中古車情報が送られてきて笑った。「男ってホントばか」みたいな気持ちになれた。

 

16日

うっかり一日ゲームしてしまった。志はとても高く、部屋の掃除をしようとしていたはずなのに、すっかり日は暮れ、深夜には地震が来て、エレピの上が崩壊してしまった。明日こそがんばる。