幻燈日記帳

認める・認めない

地下鉄状

年内、28日までぎっちり入っていたはずの仕事が徐々になくなっていく。ある仕事は先方がコロナにかかってしまったため、ある仕事はひとつ前のやり取りで完結したため。そういうわけであらゆる仕事が少しずつ落ち着いてきて、あまりにも汚すぎる部屋のことを除けば調子はいい。『SONGS』のリリースの間、聴けなかったレコードやCDを聴きながら考え事をしている。松永良平さんに教えてもらったジョン・ブライオンのソロ・アルバムはないちゃいそうになるぐらい最高だった。その勢いで年内積んでいたレコードをいくつも聴いて盤起こしをしていった。ストレスとある程度潤沢な時間が1/6放送のNICE POP RADIOを特別なものにしてくれました。お楽しみに。

 

29日の深夜、モナレコードでうすやまさんのDJパーティ「涙」でDJ。長谷さん、哲人さん、関さんという音楽に愛された人々の選曲を楽しんだ。私のDJもとても楽しかった。大きい音で聴きたい音楽をたくさん聴けた。朝5時の手前、うすやまクラシックでもある「帰れない二人」の「東京上空いらっしゃいませ」ヴァージョンが明け方のモナレコードに響き渡ると眠たいはずのフロアに活気が戻り、多くの人がDJブースに詰めかけた。この景色だ。35にして酒も煙草もコーヒーもたしなめない大人になってしまったけれど、シラフで音楽の効力がねじまがったり、はね飛んだりする瞬間を知ることができた。

 

べろべろに酔った友人が「あのタモリが新しい戦前っていうなんて、モウロクしちまったよ」と言っていて、なるほど、永遠のオルタナティヴ、タモリが今暮らしているなら誰もが感じているはずのことをわざわざ言う、みなまでいうな、粋じゃないね、ということなのだろう、と一度頷いた。別の友人にその話をすると「いや、それをちゃんとテレビで言うのが」と返され、たしかに、と頷いた。

 

去年の年明けにある番組を見て、ずーっとムカついていた。その番組は大好きな芸人をパネラーに迎えたフェイクドキュメンタリーなんだけど、とにかく作りが粗く、ショッキングに見せたいものだけが不必要に浮かび上がる形になっていて、その前後やカメラがそこに在る意味などがなおざりになっていてフェイクドキュメンタリーの中の登場人物にも、それを見てるパネラーにも、彼らを撮っているカメラにすら気持ちが入っていかなく、ただただイラつくばかりだった。そうして友人に会うたび「観た?」と訊いては悪態をついていたのだ。そのテレビ番組を作ったディレクターが、年明けのNHKの特番で「吐き気を催す番組を作りたい」「嫌な気持ちにさせたい」と話されていて、なるほど、と頷いた。