幻燈日記帳

認める・認めない

それはただの気分か

15日

リハーサル。去年から15日にリハーサル入る、と決めて、スタジオも取ったつもりでいたのに前日に取っていないことを思い出して慌てて抑える。びっくりした。こんな気の抜けたリハーサル初め。一ヶ月だから久しぶりのというわけでもなかったはずなのに、リハーサルの所作が体から抜け落ちていて、大きい音が鳴っているということに対して体がついてこなくてとにかく疲弊した。年齢のせいだろうか。正月気分が切り替わっていなかったのだろうか。

 

16日

夜、ゲストで出演するラジオの収録だった。21時から23時半、とGoogleカレンダーにかかれていて、そんなに話せるだろうか、と不安だったのだが、実際あっという間だった。自分の半生を振り返る前半、現状をどう考えるかの後半。一種のカウンセリングでもあったような気がした。都合のいいようにフタをしていた記憶もいくつか開いてしまってちぐはぐになってしまった部分があるような気もする。傷つくことによって至るセラピーがあるのかもしれない。社長の車に京都で使う機材を詰め替えて、部屋に戻るために車を走らせた。人気のない夜の街道沿いのガソリンスタンドで給油をしているときに車内ではシャッフルでフィッシュマンズのベスト盤のDisc2に入っている「それはただの気分さ」のデモが流れた。静かな夜、寂しい夜である。どうして今夜、私は夜を歩いていないんだろう。車に乗り込んでもう一度最初から「それはただの気分さ」を聴いた。そのまますぐに家に帰れる気がしなくて、遠回りをすることにした。ハンドルを握りながら、ひとつの諦めが胸に降りてくる。カーブを曲がる。スピードを落とす。信号が青になるのを待つ。少し走って左折のウインカーを出す。