幻燈日記帳

認める・認めない

Compact Disc Is Deadだってよ

ツアーが終わって気が抜けた。湯船に浸かっているとぼーっとしてしまうし、今日は久しぶりに12時間眠った。時間が過ぎていく感覚がなくなっていく瞬間が愛おしい。僕の素晴らしい人生ではこうやって多くの時間が過ぎていったのだ。

恋人とその昔からの友人でご飯を食べに行った。久しぶりに心のそこからガラスの仮面の話が出来たのが最高。劇中劇でどれが好き?と問われて結局答えをひとつにできなかった。やっぱり「女海賊ビアンカ」なのだろうか。いや黒沼龍三作品も好きだ。「忘れられた荒野」だろうか。彼女は「通り雨」と答えていて渋くて完璧な回答だ、と思った。その時私は髪を指で弄んだ。

本屋に寄ってミュージック・マガジンをめくってみたら冒頭に"Compact Disc Is Dead"と書かれた広告が載っていた。前野健太さんや王舟、Homecomingsや七尾旅人さんをリリースしているフェリシティーの広告だった。ステンシルシートとラッカースプレーで書かれたその文字よ。そのストリートからはそう見えるのだろうけど、こちらからそちらを見ればあれだけ凝った造りのCDをリリースしたばかりのHomecomingsも七尾旅人さんもいるじゃないか。フェリシティーはなぜあの広告を出したんだろう。問題提起ならわかる。ステンシルシートとラッカースプレーで書かれたのもそういうことだろう。街の目線だろう。でもその先があの広告にあっただろうか。ポップ・ミュージックは音だけでなく、様々な要素を組み上げて作品としての強度を確保したほうがよいのではないだろうか。考えれば考えるほど腹が立って、悲しくなって、仕方ない。でも全ては思い過ごしかもしれない。一気に頭に血がのぼったから何かを見落としたかもしれない。もう一度見てみるために次本屋に行ったらミュージック・マガジンを買おうと思う。