幻燈日記帳

認める・認めない

ぱん・ぱか・ぱん

2月20日

ラジオの収録を終え、銀座で手土産を買う。今日はダウ90000のライヴと優介のライヴがあるのだ。なにかいい感じの手土産を、お菓子を買ってから六本木に向かう。ライヴはチュートリアルさんとの合同ライヴ。個人的にお笑いを好きになったのは遅かったからチュートリアルさんのネタは多く見ていなかったのだけど、わずかに見ただけの私でも強烈にチュートリアルだとわかる記名性がネタの随所にありゾッとするぐらいに面白かった。楽屋に挨拶に行っても結局「最高だったよ〜〜〜」としか言えないことへのもどかしさも抱えているがそうとしか言えないその気持ちも大切にはしたい。が、もうちょっと言葉にできるようにもなりたい。

夜は佐藤優介のライヴを目撃。めちゃくちゃカッコよかった。「このまま打ち上げとかしないでレコーディング・スタジオ入った方がいいよ」と訳わからないことを口走るぐらいよかった。佐久間さんがノイズ担当でいろいろ出していたんだけどその中で加工されまくってなんだかわからないけどかつて人の声だった何かが聞こえてきた瞬間、ゾっとした。後で聞いたら過去に私も参加した「友蔵」でも使用したたけしのヴォイス・サンプルだってさ!

 

21日

歌の録音。私はハモりに回り、ゲストに来てもらってメロディをがっつり歌ってもらった。ぼんやりとしていた輪郭がはっきりとして、そういう表情にもなるんだ、と驚く。軽い打ち上げも盛り上がってうれしい。翌日そのままミックス。いい仕上がり。

 

24日

ムーンライダーズのイヴェントに参加する。ファンクラブイヴェントでミニライヴ。お客さんもぎゅうぎゅうだったからピアノに背中がつく立ち位置だった。慶一さんがピアノを弾くたびに音の振動が背中にぶつかってくる。その感覚たるや!「大寒町」は宗像さんがアップされてるのでお好きな方は観た方がいい。

https://twitter.com/munekata/status/1761330727659168141/video/1

慶一さんがビートニクスのポスターにサインを入れててその時に自分のサインの下に「with Y.T.」といれてて泣きそうになり、サニーデイ・サービスの詩を思い出す。「君がいないことは君がいることだなぁ」。私がそう思えるのはきっとずいぶん先だろうし、もしかしたら来ないかもしれない。来なかったらその歌を一生胸に抱いていくだけだ。

 

26日

ふらっと入った家系ラーメン屋の米が人生ワーストを更新。あまりにも辛い。すべてのやる気が削がれる。

 

某日

同業のInstagramを見ながら暗い気持ちになる。その人はイスラエルパレスチナを巡る問題について細かく追っていて、普段から見ていて考え方の参考にもしていた。どういうことが起きているのか知ると心が砕けそうになってしまうから見ないようにして自分を守ってしまっている私にとっては不意打ちで浴びせられない限り遮断してしまっていたことだから知るきっかけのひとつになっていた。しかしある日「失望している、どうして同業の人たちは声をあげないんだ」と書いているのを見て、「それは私の心がさまざまな古傷や生傷からもうズタボロになっていて、これ以上ヒビが入ったら日々の暮らしや仕事ができなくなるからなんだよ」と返信することもできず、ただただ悶々とする毎日をしばらく送った。これだけじゃなく、別のぐんにゃりすることもあって実際数日の間はろくに制作もこなせず部屋を掃除するだけの1週間になった。

 

3月4日

田渕ひさ子さんとのツーマンのコメンタリー収録。赤坂のスタジオに向かったのだがメールをよく見ていなかったから「ああ、この名前のスタジオだったな。何階だろう」と集合ポストを見てみると5階と書かれていたので階段でのぼったが誰も来ている様子はなかった。階段に腰をおろし暮れかける街を見る。10分ぐらい経っても誰も来ないのでおかしいな、と思っていたらスタジオは1階だった。遅刻していた。改めてこの日のライヴを観たけど、ドキュメンタリーとしていい仕上がりだった気がします。絶対観てほしい。

Great Hunting Night Vol. 79|eContent・イーコンテンツ

 

6日

宗像さんが書いた慶一さんの本の出版イヴェントに出席。優介から「こないだ差し入れでくれたお菓子めちゃくちゃおいしかったんですけど。なんていうお店なの?」と言われ無性に嬉しくなっちゃった。

 

7日

マスタリングに向かう。今回も小鐡さんにお願いする。仕上がりはやはりバッチリ。「君はきっとずっと知らない」と「波のない夏 feat. adieu」の2曲をマスタリングしてもらったんだけど、これらの曲まじで大好き。早く聴いてもらいたい。

 

9日

街裏ぴんく氏R1優勝。これほどめでたいことはない。妻と泣いて喜ぶ。

 

10日

おしゃれロックでDJ。私の心の師であるうすやま氏もブッキングされていてアガった。うすやま氏と岸野さんと並んで話す。直接的/間接的に人生をめちゃくちゃにしていただいたふたりだ。そのふたりを前にぼんやり話しながら、街裏ぴんく氏が優勝したこの世界でなら、私はもっとやれるのではないか?と考えが渦巻いていく。POP YOURSで打ちのめされたあの日のような気分にだんだんとなっていた。

この日はシークレットゲストに林以樂さんが決定していて、岸野さんの粋な計らいにより一緒に演奏することになった。演奏する曲が届いたのは前日、譜面も歌本スタイルのものだけなのに決まり事が多くてなかなかにキョーレツだったがとても楽しかった。川本さんとやる時みたいな無茶ブリから発火していくあの感じがあった。

 

12日

奇妙礼太郎さんとのライヴ。リハが巻いたのでタワレコで買い物をする。クーポンあるかな、と確認しようとしたら「オンラインのオーダーならポイント20%還元」と買いてあり、手に持っていたレコードを棚に戻し、その場でオンラインのオーダーを済ませた。もちろん罪悪感があまりにまとわりつくため、CDやレコードを少し買ってライヴハウスに戻った。ここに入荷されたレコードを手に取って棚に戻した私のこと。私が棚に戻したレコードのこと。あらゆることがぐるぐると巡っていく。消費者としての最善の選択が人間として美しくない気がしてしまう。この乖離は一体なんなんだ。

この日はお客さんもたくさん入って嬉しい。2部構成のライヴとのことだったので、エレキとアコギのどちらも持って行った。特殊なライヴのため、曲順を決めた。一箇所どうにもハマらない場所がありマネージャーA氏に意見を求めると「3と33」をやるのはどうかと薦められる。もともと決めていた曲にするか、そちらにするかギリギリまで迷ったが結局「3と33」を演奏した。演奏中は自分に入り込むような曲すぎて失敗したかも、と思ったが終演後声をかけられるとこの曲のタイトルが出てきて少し安堵する。奇妙さんのステージも軽妙でかっこよかった。自分ももっとカヴァーを身軽にやれたらいいな。

 

13日

マーライオンPodcastにゲスト出演。マーライオンは私に持っていない力を持っている。それはマメに連絡するという人間力だ。

 

某日

朝起きて2時間ぐらいやってしまうApexをSwitchからアンインストールした。やっと決断できた。しかしこの強烈な依存からどう抜ければいい?とPS4を起動してパワプロのサクセススペシャルをやろうとしたら昨年末でサーヴィス終了していたことがわかった。痛みをもってして痛みを得たような気分だ。

 

某日

「そもそも音楽家がいなければ音楽評論家は存在しません」という書き出しの記事を読んだ。とにかく不愉快だった。FBで和久井光司さんが「ビートルズのオリジナル・モノ持ってないやつは語る資格なし」とおっしゃっていた。とにかく不愉快だった。