幻燈日記帳

認める・認めない

果樹園ごっこ

13日

マーライオンに呼び出されてPodcastの収録。マーライオンはいつもまめに連絡をくれて、既読スルーをしてもそれでも連絡をくれる。マーライオンとのここ13年ぐらいを思い返してみる。彼が作った音楽どうこうでいうと実は思い入れはほぼない。ラップアルバムを出した時には驚いた。一曲目の最初のリリックが「俺は悪いマーライオン」だったから再生を止めた。でも「ばらアイス」がレコードで出た時は「これが店頭に並んでいるというのは私の人生でもある」という気がしてほぼ発売日に買った。ニューアルバムに入っていた「花屋で待ち合わせ」という曲はそのタイトルと詩は実に奇妙だ。「花屋で待ち合わせ 君に似合う花を買いに行く」となっている。待ち合わせの場所が花屋であり、その待ち合わせた先で君に似合う花を買いに行く、となっている。恋人のために花を買いに行くのに待ち合わせなどするな、花ぐらい一人で買え、という気持ちと、どんなことでも二人でやるのは素敵なことかもしれないね、ということがないまぜになり、あまり感じたことのない気持ちになったのだ。マーライオンPodcast出演しました。

マーライオンのにやにやRadio | Podcast on Spotify

 

17日

僕とジョルジュのリハーサル。レコーディングぶりに演奏するもんだから戸惑うかと思いきや意外とすんなり済んだ。哀しいことにこの哀しい音楽が身体に入ってしまっている。ということか。

04/10(Wed) 鶴岡龍 / トリプルファイヤー / 僕とジョルジュ(スカート・姫乃たま) ×シマダボーイズ / Fullface | SCHEDULE | Shibuya WWW - WWW X

 

19日

ラジオの収録を終え、映画音楽の最終チェックへ。作業が終わってすぐ次の作業だったから感慨に耽る間もなかったからようやくその手のものが押し寄せてきた。

 

21日

深夜、MVの撮影。部屋から1時間もかからないところで撮られたMVはないはずなので、撮影場所が家から比較的近くて気持ちが楽だった。音楽のやり場のない気持ちが映像になっていくようで気分がいい。

 

某日

実家に顔を出す。パンダコパンダ展で宮城に行った際、老犬の介護から解放されてジョジョ狂いのタガが外れた母から「むかでやに行って買い物をして吉良吉影の「ボタン付け代」の領収書をもらってきてくれ」という依頼を受け、もらっていたのを渡しに行ったのだ。借りてた「銀河の死なない子供たち」も返却。LINEでも近況として聞いていたが、最近はジョジョのノベライズから乙一さんにハマり、この数ヶ月で15冊読破し、会田誠さんの絵画に興味津々なんだそうだ。乙一さんが流行っている時にターゲットになっていた世代だったからどうしても手を出しづらい作家になってしまうんだけど「乙一は半径1mの世界だけを描いている。これは何かっていうとレイ・ブラッドベリとかとおんなじなの」と言っていて、なるほどそれなら、とも思うわけだが、多分読むのはだいぶ先になるだろう。

 

29日

キネマ倶楽部にsorayaのライヴを見にいった。山手線が遅れてしまったため、最初の方が少し欠けてしまったが素晴らしいライヴだった。ポップ・ミュージックの妙な手触りの新しい冒険。曲が終わって、メロンソーダを飲んで、冷たさが全身に駆け巡ったあと「レコード」という曲が始まった。人生に何度か訪れる完璧な瞬間だった。キネマ倶楽部では2017年にも完璧な瞬間が訪れたことがあった。カーネーションのライヴだった。矢部浩志さんのドラムが完全にキマっちゃってて、フィルインが入るたびに隣で見ていた優介と目を合わせて感動していたのだ。その日の日記、絶対書いてると思っていたのだけど書いていなくて驚く。あまりに感動した我々は乗り換えの新宿の改札口でハグして別れたことは書き残しておきたい。

 

30日

作曲が捗らず、掃除が捗る。意を決して深夜、スタジオに入り形が整い始めたころにギターの弦が切れた。もう終わりにして部屋に戻った。作りかけの曲は悪くはない、でももっと良くなる。でもどうすれば、何が足りない、と考えていたら頭が起きてしまって、体は疲れているのに眠れなくなってしまった。再ダウンロードしてしまっていたApexに手をかける。気が済むまで負けた頃には夜が明けていた。おれはダメ人間だよ。