幻燈日記帳

認める・認めない

物に対する愛



ときどき自分が信じられないくらい落ち込むときがある。
音楽は憂鬱を運んでくるし、
簡単にあの子にメールを打つこともできない。
僕もいつかは社会に出るということになっている。
大学は履修に失敗して、今学期は28単位分しかとれなかった。
きっとこれから悪いことが続く。
ギターは壊れる。ものはなくす。耳はきこえなくなる。
曲はかけなくなる。文章もかけなくなる。
バイトはクビになる。彼女はできない。
それでもぼくはどうして生きるんだろうか。
それでもきみは平気な顔で音楽がなきゃ、
生きていけないとでもいうんだろうか。
窓の外を女の笑い声がかけていく。
バイクの音。パソコンのファンの音。
猫の鳴き声。レコード。僕の性器。
音楽はとてもじゃないけど聴けないくらい憂鬱だ。
さっきまで聴いていたのに。
頭の中ではずっとなっているんだけど、
それをわざわざ具現化する必要もない。
あたまのなかでなっている音楽はムーンライダーズ
ジャックはビルをみつめて。
僕は何をみつめるんだろうか。
少なくとも死ではないんだぜ。
もっととおくにあるんだぜ。
おとなになるまえにあのことお茶したいぜ。
ともだちからメールが届いたよ。
俺も28単位しかとれなかったって。
もう、あれだ。ふたりでアメリカ行って結婚するしかない。
いや、やっぱり僕は大学にいなくちゃいけないから。