幻燈日記帳

認める・認めない

アンテナ会の夢

部屋の掃除をしていて、新しくフェンダー買って以来部屋の本棚の前に立て掛けておいたリッケンを少し動かそうと手に持ったら知らない間にネックがものすごく黄ばんでいた。何ヶ月も触っていなかったからなのか、もともとそうだったかもしれないけれども、とにかくこれが本当にショックで、なんて取り返しのつかないことをしてしまったんだ、どこでこうなってしまったんだ、少しでも触っていたらここまで黄ばんでなかったのかな、と何度も自分に問い詰める。ネックに見覚えのない打痕もひとつ増えていて更に嘆き、悲しむ。そして、その嘆きも、悲しみも、どこか上っ面なのを感じて余計にダメージを食らった。誰からのダメージで、誰に食らわされたダメージなのか、イメージが頭の中で離散して戻ってこない。せめてこんな夏じゃなかったら。

 

仕事がなかなか進まず、行ったり来たりする。気分や環境だけではどうにもならず録画していたテレビをいくつか見て、おおいに笑い、気を紛らわせることができた。芸人ポーカーでの麒麟川島さん、異常に調子が良くてなにか言うたびに笑いながらぐっときてしまった。

 

冷蔵庫のもろもろが底をつきかけているので夕方にスーパーに出かける。8月の真ん中なんでこんな感じだったかな、と傾きかけた街を眺めながら買い出し。生鮮食料品、ティッシュの買い置きなど、もろもろ済ませて店の外に出るとすっかり夜になっていた。早くこんな夏終わってくれ。

 

素晴らしい秋の予感だけ傍らに置き、窓を開けてジャズのレコードばかりを聴く。Maurice Vanderの"Du cote de chez swing"というアルバムを久しぶりに聞いて胸が高鳴る。その熱のまま、Maurice Vanderの未聴のレコードはなにかないか、とタワーで検索をかけたら「サラヴァ・ジャズ」というコンピレーションが再発されていた、と知る。そもそも存在知らなかったから存在していた、と知る。タワーの解説だと、詳細は書かれていなく、おそらくモーリスは「ムーン・リヴァー」だけの参加と思われるけど、ジャケも最高だったのでそのままよく調べもせずにカートに入りっぱなしだったAaron Frazerの7インチと一緒に購入してしまった。解説を含めてとても楽しみ。

 

Champion Jack Dupree/サラヴァ・ジャズ

 

なあ私のリッケンよ、どうしたら機嫌がなおってくれるんだ、とサウンドハウスで新しい弦を何セットか注文をする。

TAIGAINISEEYO

作詞のために部屋を片付ける。自分でも驚くのだけど、やはり汚い机は創作に向かない傾向があると認めざるを得ない。以前のシェアハウスはどんなに部屋が汚くても居間に戻ると何もない机があって、夜な夜な作詞をすることが出来た。机の汚さから紙で書くのをやめてみよう、といろいろ試してみたけど、机の上はきれいであることに越したことはないらしい。ろいろ机の周りに散らばりまくった漫画CDの類を整理していく。その中で手放す本を段ボールに詰めていく。かつて駿河屋に送ろう、と思って作っていた段ボールが3箱あったのだが、どれもデカイ段ボールに思いつくままに突っ込んでいたから持ち運びたくない重さの段ボールが3箱。それはもう部屋の隅に追いやるしかなくなるわけだ。(集荷をすればいいのに、頼む申し訳なさから)もっと手で運べそうな重さにできそうな段ボールに詰め替えていき、いくつかの漫画に対して裁判をかけていく。今の部屋ははじめて自分だけで借りた部屋だし、家賃もすごく安くて本当に助かっているけど、引っ越せるぐらい稼げるようになりたい。このような先を見通せない日々のなか、羅針盤もランタンもあったもんじゃない。

 

机の掃除はだいたい終わり、集中力の高まりを感じるかと言われれば、決してそうではない。不思議なものだ。

椅子があるから座りたくなるんか

実際にケツに火がついた状態とはいえ気持ちがシャキっとするまでに時間がかかるようになってしまったようでここ数日はふんにゃりとして毎日を過ごしている。主に掃除をして来たるべきときに備えているが、来たるべきときとはなんのことだったのか忘れてしまったようだが、それさえもおぼろげだ。

 

換気扇が無事に取り変わった。いつ冷蔵庫の茄子が朽ちてしまうのか、と思っていたけどなんとか間に合ったようだ。火をつけていい暮らし。空気が入れ替わる暮らし。

 

明日は雨がひどい、というので久しぶりに生鮮食料品を買い求めにスーパーへでかけた。ゴミ出し以外での外出も久しぶりな気がする。肉、野菜、少しの冷凍食品を買い込む。テレビを付けるとニュースで大雨の情報が繰り返し流れていく。

 

佐久間さんが話題に出していた「奈良へ」を読んだ。なんとも珍奇、複雑怪奇とはこういうことなのか、と読み進んでなんとも言えない読後感を過ごしていたのだが、町田康さんの解説を読み、もう一度読んでみることにした。

 

マキタスポーツさんがTwitterで自身の公演が成功したことに「ちゃんとやれば出来る!」って喜んでらっしゃって自分のことのように嬉しくなる反面、ちゃんとやったのに出来なかった(自分が出演する予定だったのも含めて)公演のいくつもが頭のなかをめぐる。

SGF

本格的な部屋の掃除がようやく始まる。床に散らばった衣類、段ボール、片方しか見つからない靴下、洗濯物のすべてをうっちゃっていたらあっという間に夜が来て今夜も適当な炊き込みご飯を作った。野菜が食いたい。きのこしか食ってない。

 

急に仕事がポンポン入りだしてしかもどれも締め切りがヤバい。この1年半に及んだスナフキン暮らしのツケが回ってきやがった。払い終えることができるのか!だが不思議と焦りは今はそんなにない。なんだか楽しくなってきちゃった。うふふ。

 

 

 

サーフィン人生

昼起きて恒例のチキンラーメンを食べる。もはや湯そそいで1分ぐらいでバリバリ言わせながら食べることに快楽を見出してしまった。換気扇のゴキゲンを伺うも、回りだしたが止まった。異音も立てた。全部のせである。部屋の掃除をしたり、Apexやったりしながらラジオをいくつか聴く。佐久間さんのラジオをきいて、ランジャタイのラジオをきいて、さあ次はAマッソのラジオを…と思ったがこれ聴きだしたら2時間40分かかるんだ、と思い立ち、メンバーに共有する譜面を書く。「遠い春」以降の僕はいい曲だけど地味な曲しか書いていない気がする。今回もそんな曲だ。譜面を書き、遠隔プリプロのデータを作って送信。仕事の充実感を感じるにしては足りないぐらいだがこれぐらいで満足することだって大切なのだ。ラジオを聴きながら部屋の掃除とApexを繰り返し、夕飯には生姜をたらふくいれたなぞ炊き込みご飯を仕込んで一日が終わった。夏休み人生かスナフキン暮らしかはたまたサーフィン人生か。

気絶するほど鯖ましい

気まぐれに動いたり止まったり異音をたてたりする換気扇に対して荒れすぎた部屋、迫りくる締め切り、あらゆる天秤に一度全て載せた結果、大家に連絡するのは水曜日に部屋の掃除が終わっていたらにしよう、と決めた。その結果、冷凍食品と炊飯器でどうにかなる料理だけのチョイスの毎日が過ぎる。その結果ほぼ毎日のように朝はチキンラーメン、夜は炊き込みご飯を食べることになってしまった。目が覚めると一応換気扇のゴキゲンを伺う。最近は回るけど異音が立つパターンが増えてきた。

 

珍妙な取材に向かうために部屋を出ると真夏。でも数年前の地獄のような暑さではなかった気がする。街はカンカン照りで大嫌いな夏を体の右側でおもいっきり浴びる(右ハンドルなので)。靖国通りを走っていると「PCR検査 3000円」という看板が目に入って、看板が近くになっていくにつれてまるでラーメン屋のような行列が出来ていてぎょっとする。15分遅刻して神保町についた。

 

取材が終わり、少しだけ街を歩く。2度目のワクチンの接種から無事2週間経ったが出歩ける気分じゃないな、とも思いながらも三省堂に入ると気分が高揚する。ヒコロヒーさんのエッセイと、前に本屋行ったときに見つけられなかった(11巻から表紙のテイストが変わっていたことを忘れていた)あそびあそばせの12巻、そしてこないだ優介と佐久間さんとでApexやったときに佐久間さんが萩尾望都さんの漫画を読んだことないのに読んで面白かった、と言っていた萩尾望都さんの大泉サロン時代の話を書いた「一度だけの大泉の話」も買った。佐久間さんは本を一気に読み終えたあと「ポーの一族」と「トーマの心臓」も買い足したそうだ。ふふふ。

 

せっかく来たのだから…とエチオピアでカレーのルーだけ買って帰り、部屋に帰り買ってきたものをアルコールで拭き、即シャワーを浴び、米をたいた。豆カレーにはあらゆるものが詰まっている。おれに残されたいくつかある希望のひとつだよ。最近は「今日は辛さ20倍にしたけど30倍でもいける気がする」を行ったり来たりして、今日はその「行ったり」で20倍にした。

 

なんか燃えないな〜とか思っていたのになんとなくApexを始めて正気に戻ったら3時間近く経ってしまっていた。慌てて電源を切り、PCに向かい作業をする。遠隔プリプロは現在なおみちさんのベースの確認がほぼ完了、あとは優介の鍵盤をいれるのみになった。詩の修正が入り、あらためて資料を洗い直す必要が出てきたこと以外はすべて順調だ。その後はナイポレの選曲。次の放送も変に濃いけどその次の放送はもっと濃くするために並びと選曲をめちゃくちゃ考える。最近のムードなのかわからないけどゆったりした曲ばかりになっていて、まあそれはそれでいいのだけど、もうちょっとメリハリあるプログラムに出来たらいいな、と思い、更に追い込んでいく。そうしてなんとなく右腕を見たら日焼けした腕の皮が剥けていて、こんな夏ありかよ、と壁に頭を打ち付けたくなる。

珍妙な仕事。ワクチン接種ぶりに橋本さんにあったし、ティーンエイジ・ファンクラブの取材ぶり?に松永さんにも会えた。雑談できた時間はそれほどなかったからか、家に帰ってあの話すればよかった、この話できたらよかったな、とか思い返す。

 

いやになってもう随分経つのにそれでもまだ「もういやんなっちゃったよ」と口に出して言ってしまう。地獄のような気分の底がまだ見えない。身近なコンサートがいくつも延期や中止になった。この決断には2種類ある。感染状況を顧みての延期や中止。そして演者に感染者が出てしまったための延期や中止。心身のあらゆる面から希望をもってコンサートを組んで、あらゆる対策を取り、当日を迎えよう、と努力してもどうにもならない時が来ていて、もうそれは、本当にどうするべきだったのかな、という答えがでないことしか頭を巡らない。そうしてまた「もういやんなっちゃったよ」と言うのだ。