幻燈日記帳

認める・認めない

カメラ=万年筆について 2



佐藤望はどこか取っ付きにくい雰囲気を持った男だった。
なんでこんな人が音楽やってるんだ、と思うくらい顔がいい。
そしてその容姿に見合った服をいつも着ていて、
ボンクラ音大では珍しいタイプのように思えた。
器用にどんな音楽も作ってみせるタイプの人で、
職業作曲家のようで近付き難い雰囲気があった。
佐藤優介とふたりでバンドを組むようになった経緯の詳しいことは知らないが、
その頃は固定のボーカリストも居てMySpaceで曲を発表していた。
クラシックの知識に長けている佐藤望による編曲はアカデミックだが、
ポップのツボを押さえたものでとても感動したことを覚えている。
いつぞやのCDRに収録されていた「Tori」という曲もすごい。
曲はピアノを中心に重く始まり、色彩豊かな木管楽器を経て、
奔放に動き回るのに痛快という感じではなく、
切実な痛みを感じさせるメロディが襲いかかる。
そしてそのメロディに、言葉は悪いかもしれないけれども、
まとわりつくような、というか、絡み付くというか、
とにかくそういうフルートのパートがあって、それがとんでもなく素晴らしい。
ファーストアルバム「クーデター」をリリースして、
「次はシティポップをやりたい」と言っていたけれども、
この感じでもう1枚作ったら誰も追いつけないようなすごいことになるだろう。
僕も墓堀りの一人だという認識はあるのだけれども、
彼らは様々な墓から掘り出したものから全く違う怪物を組み立ててしまったのではないだろうか。
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