幻燈日記帳

認める・認めない

状況証拠の破綻と構成



土曜日午前着だと思っていた荷物が、
金曜日の午前中に届く。
家にいたら電話がなって、今から荷物届けにいくから、
××円用意しといてー、と言われ、丸腰だった私は、
とてもいい加減な格好で家を出て、
駅前のコンビニATMで2度にわけて現金をおろす。
するとどうだ、銀行の残高は3ケタになってしまった。
ここ数日、グッズの制作費の支払いがドンッ、ドンッと乗っかってしまい、
ギリギリの貯金があって本当によかったと思っていたらコレだ。
荷物はTシャツ。現物はびっくりするほどいい出来で、
少し思い上がったりもしたくなる。
テンションは高いんだがどこかぼんやりした気持ちで昼を過ごした。
夜は久しぶりにスカート4人体制での練習。
優介はすこぶる体調悪そうだったけど、プレイはやっぱり素敵でした。
佐久間さん、清水君も調子良く、円満にリハーサルは終了。
翌々日に控えたインディーファンクラブに対して自然と気持ちが高まっていく。
遅い時間までレコードを選び、翌日の「しあわせになろうよ」に備えた。


土曜日
早めの時間に起きて本日のハードスケジュールを考え直すと、
やはり飯は食わねばならない、とごはんを食べるも、
からだがまだ起きていないようでまったく箸が進まなかった。
無理矢理にでもシャワーを浴び、目を覚ます。
追加でレコードを何枚か段ボールに投入して家を出た。
昼前の青梅街道はとても穏やかだった。
吉祥寺で電車に乗り換え、代々木八幡を目指す。TJNYのリハーサル。
30分ほど遅れてスタジオに着いたと思う。
ちょっとイマイチ思い出せない。
もちろんと唐木さん不在で最終リハーサルを進めていたら、
ある曲でギターとギターとオルガンでぶつかりまくってるのを発見。
でもベースもピアノも入ると気にならなくなる。
これって一体なんなんだろう。とても不思議だ。
ロビーで話し込んでいたら電話が来て、
待ち合わせをしていたのをすっかり忘れてしまっていた。
急いで恵比寿に向かい、ひとつ打ちあわせ。
最近の活動やこれからどうすりゃいいんだよーという愚痴を聴いてもらう。
そこからLIQUID ROOMの2Fにあるカフェに移動。
嫁入りランド(最高)とPR0P0SE(最高)のパーティでDJしました。
オシャレで小粋なナンバー集めていったんですが、
1時間なのでやっぱり歌謡曲もいくつか持っていこう、
と思って抱きしめてTONIGHTかなんかかけたらVJのスケブリさんが、
素晴らしい映像(ジャニーズ関係)を流し始めたので、
そこからジャニーズを中心に選んでしまった。
その流れでSASの「思い過ごしも恋のうち」とかかけて、
結構アツアツになってしまったのでここらでバラードを一発…
と本来「不良少女」とかかけようと思っていた岡村ちゃんの「DATE」から、
「イケナイコトカイ」をかけたらceroの高城くんがマイクを持ってきて、
何故か熱唱することに。かといってノリノリで歌う僕も僕なんだが。
PR0P0SEも嫁入りランドもすごくカッコよくて、
こりゃ段差のあるところで見たかったな、と思った。
(自分の出番が終わってしまったら疲れてしまって、
物販の席に座り込んでいた時間が多かったため…)
レコードとTシャツの入った段ボールを持った私は、
ぎゅうぎゅうの山手線に詰め込まれ、
さらには乗り換えの中央線でもぎゅうぎゅうのきゅうきゅうにされ、
さすがに暗い気分になってしまった。
風呂に入って翌日のことを考えると目の前が真っ黒くなった。
何故か?
月光密造の夜の簡易フライヤーが明日の午前中に届くからだ。
家を出るのは10時前。
配達が9時からスタートなら希望がある。
でも配達が10時からだったら希望がないので調べないで眠った。
頼むから10時までに届いてくれ!
そう思いながら部屋の灯りを落とした。携帯の時計は3時近くを指していたと思う。


日曜日
執拗に設定されたアラームによって、
P-MODELの「美術館で会った人だろ」のイントロがひたすらループされる。
外では鳥が鳴いていた。時計は8時半。実に順調だ。荷物をまとめよう。
Tシャツの段ボール×2、CDの在庫段ボール×1。カートは2台だ。
なにもなければ人間の腕は2本。多い人でも2本。
目の前の荷物にカートは1台で収まりきらなかった。
それは当然のことだ。だってTシャツ100枚以上持っていくんだもの。
時計の針は9時半を過ぎていき、次第にむしろテンションがあがっていった。
これからこの荷物を11時までにタウンホールに持っていって、
13時頃に家に帰ってフライヤーを受け取り、
15時過ぎにはTJNYが演奏するベースメントバーに着いて、
18時までにはスカートが演奏するFEVERに着かなければならない。
私はこの年のインディーファンクラブを、物販と演奏にすべてをかける。
他のバンドを見ようと思ったらどちらかにボロが出る。
そんな気がして強い気持ちでタクシーを配車してもらう電話をかけた。
タクシー着くまでに頼むからフライヤー届いてくれ!との願いは届かず、
ほどなくして運転手はベルを鳴らした。
タクシーに荷物を積んで吉祥寺を目指してもらう。
配車をすると400円料金に上乗せされるとか、そういうことを知った。
私もこうやって少しずつ大人になっていくのか。
両腕にカート、背中にはギター、肩には鞄の重装備で既に汗だくだ。
井の頭線で恋人と落ち合い、搬入を手伝ってもらった。
タウンホールに入るとTJNYが物販の一番いいところを押さえていた。
その斜め横に我々も陣取り、予定より早く届いたTシャツを販売することができた。
(スカートの新作Tシャツはとてもかわいいのですよ。
http://instagram.com/p/azywiZGD_6/
なるみやさん(http://www.pixiv.net/member.php?id=117981)に描いてもらいました。
通販やりますー。お名前/ご住所/トランペットorアコーディオン/サイズを、
明記していただいてsawabe-records@hotmail.co.jpまでよろしくおねがいします。
価格は2000円/送料350円(二枚以上500円)ですー。)
急遽弾き語りをしたりと、時間はあっという間に過ぎていて、
時計を見たら1時40分とかだった。慌てて同居人に荷物は届いているか確認をして、
(私は今現在、友人たちと一軒家を借りて済んでいるのです。)
タウンホールを出て、吉祥寺へ。
3時までに戻るためには、悠長にバスに乗っていられない。
半ベソで再びタクシーに飛び込んだ。
気のゆるみ to the お財布の緩み、とはうまくいったものだ。
(嫁入りランドの「郊外の憂鬱」という曲のリリックから引用しました)
完全にハイになっていたのか、玄関開けて「ただいまー」と言ったら、
同居人にゲラゲラゲラと笑われた。元気がよすぎたのかもしれない。
封筒を確認、そういえばストーリーCDの段ボールに1枚しか入ったなかったから、
追加でむんずと在庫の段ボールからつかんで鞄にしまった。
そのまま外で待ってもらったタクシーにまた乗り込み、
そのまま吉祥寺で降ろしてもらった。ホーラタクシーのレシートがもう3枚だあ。
(家に着いた時点で一度精算していたので3枚になりました)
急いで電車に乗る。3時には間に合った。
ベースメントバーに向かう途中の階段で知らない人に呼び止められた。
「あ、僕××というバンドのマネージャーをしているものなんですが、
今度××の新譜を作っていて、そのタイトルが○○って言うんですけど、
そのタイトルを言ってもらえないですか?素材として使用したいんです。
クレジットとかも入れられないんですけども…」
と言われて「ええ、ええ、××のマネージャーの方ですか、
お世話になってます。言うだけならお易い御用ですよ」と、
その新譜のタイトルをレコーダーに吹き込んだ。
「で、ですね、悪口を言ってもらえませんか?」
と言われてふと我に帰った。
はて、私はなぜこんなことをしているんだろう。
僕が悪口を言おうと思ったらいくらでも言える。
その××というバンドの悪口だって言える。
でも一口に「悪口」と言われても何を言ったらいいのかわからない。
急にぼくは怖くなった。
お易い御用と引き受けたらとんでもない不愉快がついてまわってきた。
じゃあ今私がここで悪口を言ったとする。
それがそのバンドの新譜に使われる。
僕が何も考えないで言った悪口が半永久的に盤として残ってしまう。
そのバンドのマネージャーの無神経さなのか、
こういうお祭り騒ぎの弊害なのか、
それとも僕が神経質すぎるのか。
いくらクレジットされないからといってこれは恐ろしいことだぞ。
「えーっと、すみません、悪口と急に言われましても、
なかなかおもいつかないものでしてーえーっとそのー」
とうやむやにしてその場を離れた。
着いてみるとTJNYのメンバーは誰もいなかった。
私は先ほどのことを反芻しながら遅い昼食をひとりで寂しく楽屋で平らげ、
いや、でもインターネット上で言う悪口は匿名のものが多いな。
たとえば本気じゃないファッショナブルな悪口だとしても、
匿名で半永久的に残る、という意味ではそのバンドのCDも、
広大なネット上のログもあまり変わらないということなのだろうか。
そんなことを考えながら複雑な気持ちでコンビニ飯を平らげ、
少し時間が経つとメンバーも集まってきた。
インディーファンクラブ合わせでつくったTシャツの特別サイズも支給され、
私は紺色の拳のTシャツに着替え、そのままドラムのセッティングを開始。
演奏までまだ間があったのでトイレとか行ってたら、
すれ違った金子朝一に「誰も僕の描いたTシャツ着てないんですよ!
着てくれよ〜」と懇願(2コ下)されたので渋々誰も着ていなかった、
「牛がゲロ吐いてるTシャツ」と誰かに言われ、
メンバー間では「ゲロ牛」と呼ばれるTシャツに着替えて楽屋に戻った。
ツチカさんと大臣に「紺色似合ってたのにー」と言われたが、
2コ下、あれ3コ下だっけ。忘れちゃったけど、とにかく年下の男に、
「着てくれよ〜」とまで懇願されたら着ない訳にはいかないだろう。
ほどなくして演奏は始まった。
お祭りっぽい雰囲気も後押ししてとてもいい演奏になったと思います。
TJNYの演奏が終わり、再びタウンホールへ。
優介はまだ来ていなかったので彼以外のメンバーと少し話したりして、
(とはいえ主には佐久間さんとチャゲ&飛鳥の話だ)
いい時間になったな、なんて思っていたら外は大雨だよ!
という情報をゲット。さあどうしよう、なんて話をしていたら、
これからFEVERに向かう人多いんじゃないの、って数えたら6人居たので、
6人でタクシー乗ったら相当お得なんじゃないの!
と思って既に雨が上がった茶沢通りでタクシーを拾おうと試みるも、
これがまったく通らないんだ。やっと通った!空車だ!
と思って手を上げたその瞬間に「迎車」という表記に切り替えられてしまった。
渋々あるものは段ボールをかかえ、あるものはパッドを方にかけ、電車に乗り込んだ。
少し遅刻してしまって優介がFEVER一番乗りだった。
うみのての演奏を背後に聴きながらセットリストを紙に書き出したりしたら、
セットチェンジの時間に。
入場規制はかからないけどそれなりの人、結構多くの人が見てくれてうれしかったです。
久しぶりの4人でのスカートはとてもいい演奏になったと思います。
疲れてしまったのでこのあたりで。おやすみなさーい。