幻燈日記帳

認める・認めない

Tudo Joia

深夜にリハーサルスタジオを借りて頼まれた曲の作業に取り掛かっていた。迫りくる締め切り、そして自分のレコーディングに板挟みになりながら苦悩がメロディに宿る、そんな大人になると思っていなかったから、曲の出来不出来は一旦おいておいて、ふーん、なんて言ってみたりするのだ。そう、成果はあがらなかったのだ。自転車で自宅に帰り、風呂につかってから眠った。

目を覚まして30分も経たないうちにインスタントラーメンを胃袋にぶち込み、レコーディングに向かった。懲りずにプリファブを聴いていたら舐めたてののど飴を飲み込んでしまった。子供の頃でさえ、そんなことなかった気がして気が動転した。ひっかかるような違和感が続き、飲み物も持っていなく、用賀に向かう環八沿いにはまったくコンビニがなかった。そういえば曲がるところ間違えたときにコンビニがあったな、と思い出して、そこまでの辛抱だ、とハンドルを握るが脂汗が出てきていた。ようやくコンビニに着いて飲み物を手にとってレジに並んでいる途中、突然つかえていた違和感がなくなった。よかったんだけど、よかったんだけどね。

今日は前回取りこぼしてしまったものを補填するためのレコーディング。アコースティック・ギターのダビング。まず「駆ける」にアコギを入れて、他の旧曲にもアコギを入れていった。とてもいい仕上がり。頭の中の存在しないリスナーから「初期の作品はあの音質だからいいんだろ」というお便りが来たこともあったが「気持ちもわかるけどいいから聴けって」と胸を張って言えるものになりそうだよ。「楽器の音がクリアになることであんたが目指した森を上から見るような音楽じゃなくなるじゃないか」と返事が来たら「楽器の音がクリアになったぐらいで森が森でなくなるわけはないのよ」と教えてあげよう。

レコーディングが早く終わったので車とばしてひっさしぶりにココ池に顔を出す。たまりにたまった取り置きを買い、何枚か気になるCDを買った。"Orlandivo"というアルバムをジャケ買いしたのだけど、これがJoao Donatoアレンジによるレコードでシビれる大名盤だった。