幻燈日記帳

認める・認めない

ターンがスペシャル

6日

ずっと導入を検討していた食器棚がついに納品。我が家に収納革命が起こる。妻だと無理して取らなければならなかったアパート備え付けの収納にしまっていた普段遣いの食器を少しずつ入れていき、それまでダンボールに収められていた行き場のない食器が見事にアパート備え付けの収納に収められていった。食器棚は高いものではないのだけど、木の香りがして、そこだけ新築のような香りがする。

週末が福岡・長崎でのライヴだったため、いつも毎週録音していたナイポレはものすごく久しぶりに2本録り敢行。

 

7日

シティポップレイディオの収録。翌週末に控えた生放送についての作戦会議も濃かった。気が引き締まった。

友人を訪ねて機材の受け渡し。つい雑談に花が咲いてしまう。しかしその花、食虫植物だったんです……(下世話な会話も多かったことの比喩) 昼飯を食うつもりでいたのだがすっかり夕方になってしまった。友人に近くのとんかつ屋に行こうと思っているんだ、と告げると、まだ開店前。近くのとんかつ屋を紹介してもらったのだけど、そちらは定休日。でももう一軒のおすすめのとんかつ屋を教えてもらってなんてとんかつだらけの街なんだ、と感動した。

 

8日

昼間一本取材。多分記事にならない雑談の部分が大いに盛り上がる。その後夜に控えたインスタライヴまで時間があるので京王百貨店の九州展でいくつか買い物をした。インスタライヴは200人いくかいかないか、と思っていたが300人ぐらい見てくれてとても嬉しかった。もうちょっとライヴのチケット売上伸ばしたいんじゃ。

 

9日

定期検診。採血。今回も珍しく一発で採血が完了した。結果はともかく痩せよう、と医師と話す。とにかく歩いてみたらどうだ、という。膝の負担を考えて、プールに行ったり自転車に乗ったりしたのだが、まあいいよ、とにかく歩ける時は歩いてみよう、という話に落ち着いた。部屋に戻り、作業してからRRRを見に行った。立川ではインターヴァルを設けた上映をやっているのだ。前回見た時に、とんでもないスピード感で前半が終わって、インターヴァルとは画面にでるものの、そのまま後編が始まってしまったもんだから、後半の冒頭の部分がちょっと物足りなく感じたりもしていたのだけど、インターヴァル取ることによって後半の冒頭もめちゃくちゃ頭に入ってくる。休憩込みの作品かもしれない、と痛感。A面、B面の感覚だ。

 

10日

福岡へ向かう。翌日に控えたライヴのために前乗りしてアルバムの追加プロモーション。ポニーキャニオンの2人と空港で待ち合わせ、座席に着く。安田くんに「もし少しでもいびきがうるさかったら殺してください」と頼む。生きて福岡に着くことが出来た。福岡担当のポニーの高橋さんも合流し、ラジオの生放送を1本終え、ギリギリの時間になってしまったが、みんなでハイダルに行きたい、と電話したら、ハイダルさんは歓迎してくれた。インスタにあがっていた新メニュー、ゴルブナとポロタのセット。ゴルブナはとろみのついた牛肉のカレー、ポロタはチーズのナン、とのことだった。店主のハイダルさんは翌日、バングラデシュの病院の打ち合わせがあるため、帰郷しなければならなかったそうで、タイミングもよかったようだ。嬉しい。そして実においしい。いつきても感動する。CROSS FMの収録が終わったあと、それぞれに別れてレコード屋を目指した。春が来そうな福岡を歩く。ティーンエイジ・ドリーム・レコードに行くのは4,5年振りだろうか。前回来た時はNRBQのデッドストックが買えた。今回は何が買えるだろうか、と店内を見ていくと、The Nazzのアンソロジーのデッドストックがあった。中古で売っててもめちゃくちゃ高いものではないと思うけどなんだか嬉しくなって購入してしまった。

 

11日

起きてレコード屋に向かう。グルーヴィンを見て13時から田口商店を見る、という完璧な流れの予定。グルーヴィンではジョアン・ドナートの2001年作などを買う。後で家できいたのだけどこれが傑作。まだ2曲目だけどそう言いたくなる。

Ê Lalá Lay-Ê - Album by João Donato | Spotify

グルーヴィンから田口商店へ向かったのだが全然開かず諦める。取材(と昼食)のために西新に向かう。初めての街。小洒落た店と古い店が混在としていて昔の下北沢みたいだった。せっかく行くのなら、とついでの目当てにしていたレコード屋はもうやっていなかった。同じ住所の古本屋の人に訪ねてみると随分前に閉店していたそうで、それでもGoogleMapには情報が残ってしまっているのだそう。昼食のタローノカレーは普段はFM局で働く主人が土曜日限定で出しているお店。ポタージュがめちゃくちゃ美味しかった。香りの強い野菜が多く使われていて最高。

松浦アジフライパークというイヴェントに出演、取材が伸びてしまってユザーンさんのライヴは観れなかった。自分の出番はなかなかうまく行って嬉しい。特に突然に決まったユザーンさんとのセッションした「静かな夜がいい」は言葉が飛んでいく感覚があった。もし、これで歌詞がもっと開けた言葉だったらどうなっていたんだろうか。最近は弱っているので自分の創作に対してifを投げかけてしまうことが増えた。

終演後、アジフライをいただく。魚介が苦手な私はアジフライも今まで何度もチャレンジして食べられないことが多かったのだけど、ときどきあの独特の臭みが顔を出し、私を追い越しそうになったのだが、結果的には生まれてはじめておいしく食べることが出来た。会場には松浦の名物もいくつかあって、その中に「やきりんご」というお菓子があった。昔からあって変わらないお菓子なのだという。パッケージのあまりの可愛さに購入。食べてみたらいわゆるブッセのような仕上がりでひとつもやきりんご要素がなかった。だが、そこが可愛い。

終演後、あまりお腹が空いていなかった我々は、2時間後に晩御飯の予定を入れた。ポニーキャニオン一行はホテルに向かうというので井上さんに楽器を預け、昼間あまりいけなかったレコード屋を回ることにした。ボーダーラインレコードには定期的に地方のレコード屋が間借りするコーナーがあって、行った時は岡山のレコード屋というお店が入っていた。グリーンハウスの店名が変わったのだそう。そこでOh! Penelopeのプロモ盤を見つけてしまった。高額盤だった。1時間近く店内をぐるぐるして、どうしよう、どうするべきか、と考えを巡らせ、結果買ってしまった。嬉しい気持ちと罪悪感が同時に押し寄せ、他のレコード屋には寄らず、夕食の店まで歩くことにした。嬉しい気持ちと罪悪感がせめぎ合った結果、どうなってしまったかはもう思い出せない。

 

12日

安田くんの運転で波佐見町を目指す。道中、絶メシロードでも訪れていたさんゆうしという店が通り道と言えば通り道だったので寄ってもらい昼食を摂った。たろめんは一度は途絶えたソウルフードだそうで、シックな見た目の割にはパンチがきいていて素晴らしい昼食になった。会場であるHIROPPAに着いた頃には雨が降り出した。長崎でライヴが決まったよ、と言われたときは「えっ、人来るのかな」なんて思ったけど、結構人が集まってくれていた。本当に嬉しい。終わってお皿を買ったり、プリンを食べたりする。なんてことないかもしれないけれど、演奏が終わってからもしみじみ良い時間になった。天候にこそ恵まれなかったけれど、小玉ユキさんの「青の花 器の森」の舞台にもなった町だ、どうしたってテンションはあがる。東京に戻ったらまた最初から読み返そう。

お世話になったゲストハウスの玄関に怖いポスターが飾ってあって妻にその写真を撮って送ったら「MF Doomじゃねえか」と返信が来た。ヒップホップリテラシーのなさが浮き彫りになってしまった。

 

13日

帰りの空港で食べたラーメンがあまりに口合わなくひどく悲しい気持ちになる。