幻燈日記帳

認める・認めない

キネマのよる

11日

札幌入り。昼過ぎに優介・なおみちさん・ローディ秋山さんの4人で先に入る。佐久間さんは深夜入り、ボーイは翌日入り。札幌でライヴをやるのは3年ぶりだ。トワイライトのツアー。あのときはキーボードはにしのちなみさんだったからこの5人で来るのは「遠い春」のときのツアー以来かも。弾き語りで北海道に来たとき、前野健太さんと一緒に行ったジンギスカン屋がおしかったからまた行こうと思ったが空いておらず、毎回行ってしまうラムしゃぶの店にたどり着いてしまった。結局うまい。問題ない。この日はなおみちさんが底なしの胃袋ぶりで魅せた。久しぶりの札幌だから、と夜のすすきのを歩く。もうすっかり気が緩んだ街を見て「怖い」と思うことも減ってきた。若者が歩きながら「おれ"踊ってたら楽しい"の領域超えたわ。ジャンプしたい」と言っていて最高だった。この瞬間のために俺は街に出たのだ。ドン・キホーテでトランプ買ってホテルに帰る。

 

12日

朝起きてにぎりめしでおにぎりを食べる。インスタには3つあげたが、食べ終わった後にもうひとつ追加で注文したから結局4つ食った。会場は札幌芸術の森にある野外ステージ。ホテルから40分ぐらいかかっただろうか。とても天気がいい日だ。楽屋のケータリングに北海道の銘菓がずらりと並んで、それはそれは壮観だった。待ち時間をトランプをしたり、白紙くんのライヴを見たりして過ごす。とにかく環境は最高。天気も最高。ステージの形状と演者の立ち位置からなのか、モニターがよくわからないカオス(モニターがうまく行かず、聞き取れないならそれはそれでやり方があるのだけど、薄皮1枚で音が聞き取れて今まで経験したことのない状況になっていたのだ!)になっていたが、ミドルエイジ、10年選手の意地でねじ伏せ、良好なライヴを展開することができた。とにかくなにもかもが最高なイヴェントだった。

ライヴを終えてあまり時間もなく飛行機でとんぼ返り。そりゃないぜ、と空港にあった松尾ジンギスカンで祝杯をあげた。もっとゆっくり来たいね。

 

14日

京都の磔磔でライヴ。TENDOUJIとのツーマンだ。アップテンポでちょうたのしい彼らのライヴに比べてスカートの寂しさよ。コロナ禍の前は弾き語りのセットリストはほとんど決めず、その時やりたい曲を演奏する、というやり方をしていたのだが、弾き語りの筋力が衰えていたので、最近は弾き語りでもセットリストを決めて臨むことが多かったのだが、先日のクアトロでの手応えも加味して久しぶりにノープランでやることにした。「月の器」とか本当に自分でもやると思ってなかったけどなんか気持ちがよかった。スタンディングの磔磔でライヴができる喜びを噛みしめる。軽い打ち上げを磔磔の中でやる。久しぶりにあったけど仲良くしてくれてまじで嬉しい……

 

15日

ナイポレの収録があるので一泊。チェックアウトの前には目が覚めて、朝食を摂りに出かけたのだが、行きたかった店(うどん屋)がひとつは定休日、もうひとつ(定食屋)は定休日じゃないのに行ってみたら開いてない、もうひとつ(カレー屋)は臨時休業だった。カレー屋に向かっていたタクシーで打ちひしがれる。「運転手さん、ぼかあどこにいけばいいんですかね」すっかり朝食なんていう時間は過ぎていた。「そうですね、ここからなら龍園ですかね。餃子が美味しんですよ。オーダーしてから皮を伸ばすんです。味噌ダレで食べるんですけど、ラー油を垂らしていい塩梅を探るのがいいんですよね。」ほほう、いつか誰かから聞いてGoogleMapにはピンが立っているじゃないか。そのまま連れて行ってもらった。裏通りにひっそりと龍園はあり、店の構えもいわゆる町中華のそれだ。店は10人も入ればいっぱい。メニューは店の中に貼ってあるものだけ。とてもシンプルだ。焼き飯、餃子、天津飯、天津麺とそれらの定食ぐらいだったはず。餃子定食をオーダーし、目の前に出された餃子の可愛さよ。そして先に出された中華スープのうまさよ。餃子は野菜の甘みと薄いはずなのにとんでもない食感の皮のマッチングがすごくたまらない一品だった。食事を終えてα-STATIONに荷物を預けて街に出る。レコード屋を何軒か回ろうと思ったがJoe's Garageもお店が開いていなかった。今日はもうそういう日だ。トボトボとα-STATIONに戻り、収録。2つテーマを設けてひとつは即興的に選ぶ。うまく話せていたかいまでも心配だ。荷物をそのまま預けてレコード屋を見る。移転したあとのHOT LINEにはじめていく。あんなにたくさんのレコードが積んであったのにかなり小さくなっていて驚く。でもいいレコードはあった。JETSETに向かっていたら、JETSETの前に小野さんを発見。そのまま話してお店に向かう。小堺さんとも話せた。店内にはNICE POP RADIOのコーナーがあり、そこにあるデルロイ・ウィルソンのレコードを1枚買った。そこから芙蓉園という中華を目指そうとしたが、定休日だということがわかり、突然やってられなくなる。芙蓉園からほど近いグリル富久屋に行こうと歩いてみると、なんと臨時休業。もう今日はそういう日だ。即座にタクシーを捕まえ、ワンメーターで行けるGion Duck Noodleに向かい、鴨のラーメンを食べて京都の旅が終わった。

 

16日

渋谷クアトロのYouTubeチャンネルで鈴木慶一さんと対談。面白い話がいくつも聴けた。街と音楽について。雑誌のインタビューならあとから直せるけど、うまく言えなかった瞬間があって、あそこがどうなってしまっているか心配。

 

17日

昼間、いわゆる営業、というべきか、クローズドな場所でのライヴを一本。羽田空港の駐車場P1〜4は激混み。急遽腹をくくってP5まで足を伸ばす結果となった。第1ターミナルのなかにあるカフェでのライヴだった。夕方の空港はきれいだった。

部屋に帰り、深夜のライヴの支度をする。ヒトリカンケイさんフェアウェルコンサートに参加。翌日もあるため、ほどほどの時間に帰ってしまったのがもったいないくらい妙なヴァイブスに満ちていた。