幻燈日記帳

認める・認めない

ねそべるひとびと

ル・ポールのドラァグ・レース、シーズン13をすべて見終わった。毎回最高だけど今回やっぱりすごい。ネタバレにならない程度に好きなシーンを書くと、振り付けを決めるシーンでベテランの出場者が振付師でありながらそのことは敢えてその場では言わず、若者たちが意見を出し合っていくのを少し引いて見ていたところを、若者たちの意見が絡み合ってしまって解けなくなりそうになった途端、そのベテランの出場者がピシャっと前に出て役割を決めていくところがあるんですが、そこがちょー素敵。

 

取り置きしていたレコードを買いに吉祥寺に出た。ココ吉では柴田さんのアルバムを購入。他にもB.J.トーマスのアルバム、ビリー・ニコルスとケニー・アルトマンとジョン・リンドのバンド、ホワイト・ホースや、実家の母に貸したかあげたかしてそのまんまのスタイリスティックスのシングルズなども購入。ユニオンではヴァン・ダイク・パークスとヴェロニカ・ヴァレリオの10インチを引き取ってきた。ちょっと運動でも、とルーエに行って靴下ぬぎ子先生の新刊や森さんのデザインがバチバチに決まった赤井さしみ先生の本やフィッシュマンズ特集のエレキングなどを買って、貢茶でタピオカミルクティー買って帰る。居間のソファに座って柏原謙さんのインタヴュー読んで震え上がるパーフェクトな休日でした。

 

仕事のある選択肢で悩んでいた(とってもポジティヴな意味です)ことがあって、それを先方に悩んでいるんです、相談乗ってください、という内容のメールを打っていたらいくつかあった選択肢の中のひとつが自分の目の前であれよあれよと光りだして解決されていって驚いた。めっちゃ変なやる気出た。面白い…がんばる…

ダンダン・ダダン・ダー

ル・ポールのドラァグ・レースのシーズン13が急に配信されたから我が家はてんやわんや。録画を消費できないから消せるものもなくHDDの容量がついに0になっているが構わない。それぐらい今回すげー。

ナイポレの選曲のために最近買ったレコードやCDをあらっていく。映画を見に行った時に渋谷のタワレコにあるパイドで買ったインスタント・シトロンのアナログに針をおろす。どちらもかつてアナログでリリースされたことのある作品だから、人によっては後回しでいいか〜と思う人もいるかもしれないけどものとしての愛おしさがエグい。「チアフル・モンスター」にはインナーがチラシをいれると3枚入っていて、SUMMER TIME IN THE PLACEの裏ジャケに使われていた写真をあしらったインナーになっていて「あ〜〜〜この感じ〜〜〜〜」となったので好きな人は全員買ったほうがいいやつ〜〜〜〜

aipotu

映画を2本見てきた。1本目はアレサ・フランクリンの「アメージング・グレイス」。アレサを聴き始めたのは本当に遅く、ついこないだだ。亡くなったあとに優介がお悔やみと好きな曲だ、と"Day Dreaming"を紹介していて衝撃を受け、その後、ようやくたった2枚のアルバムを聴くに至り、そうして今回の映画の公開というわけだ。最初はポップ・シンガーとしてしかまだアレサのことを見れていない自分がいることと、信仰がないこと、そして以前の日記で書いたが「アメージング・グレイス」はトラウマがあった(ヌレ・テニ・アワ - 幻燈日記帳)ことから楽しめるか不安だったのだが、信仰がないことをはじめて悔やむほどに力に溢れていて涙が出た。初日が終わったあとの客出しで演奏されるセッションがめちゃくちゃ来た。

2本目はデヴィッド・バーンの「アメリカン・ユートピア」。全員見ろ。以上。で済ませたいがそうはいかない。以下ネタバレだ。映画を観てない人は日記はここでおしまい。全員見ましょう。以上。

 

何度も泣いてしまった。最初は「This Must Be The Place」でバンドメンバーが前に進む中、バーンだけがステージを後ろに向かって進んでいくシーン。大きな影。あんなにかっこいいなんて。シビれちらして泣いてしまった。泣いてしまった箇所はいくつかあったけどもうあと2箇所挙げる。2回目は「Born Under Punches」で大きくバスドラムが鳴り、それがだんだんと「Born Under Punches」になっていくあの瞬間。これはもう音楽を体感するという喜びに打ち震えて泣いた。3回目が「Hell You Talmbout」。人種的暴力(自分にとって適切な言葉が思いつかないから岡村詩野さんがTURNに書いたレヴューから引用しました。映画『アメリカン・ユートピア』より良い社会のためのチアフルな肉体と知性 | TURN)により不当に殺されていった人たちの名前を叫んでいき、ライヴだった画面が突然にライヴではなくなる。人種の問題は私にはあまりにも遠い問題すぎて、どう思うことができるんだろう、と画面を見ていく。そうして音楽は続く。気がつくと涙が溢れている。だが整理がつかない。怒りなのか、悔しさなのか、悲しさなのか、自分でも判断がつかない。広い意味で、これが感動か、これがmoveなのか、とシャツのボタンを外し、内側で涙を拭った。超ライヴで超映画。マジ最高だった。

Ridin' Till I Die

アンコールが終わって幕がしまったあと、ステージ上は多分みんな興奮していた。やりきった。終わって優介と「2時間ってこんなにあっという間に過ぎちゃうんだね」なんて話して、楽屋に戻る。慶一さんのがリハーサルが始まる前の挨拶で「みなさんはこれから一週間ムーンライダーズのメンバーです」と言ってくださったこともあってか、ライヴが終わってもまだムーンライダーズのメンバーのような気がするのだ。帰りの車では「この編成だったらあの曲もやったらかっこいいだろうな」、なんてことを考えたりもした。

4月から6月にかけてやる予定だったライヴはミュージカルも含めてすべて中止になってしまったから本当にやれてよかった。スカートはライヴバンドとしては感染症に負けてしまったけどその後ろ暗さを吹き飛ばす強烈なライヴになった。最高だった。45周年をむかえてこうやって一緒に演奏できるなんて2007年の年末にクアトロで見たときは考えもしなかった。あの日のライヴ、1曲目は「さよならは夜明けの夢に」だったな、なんて思い出す。10代の頃に出会った勝手に私が師と仰ぐ金剛地武志さん、豊田道倫さん、うすやまさんの3人はライダーズを通過していて、もうその時点で奇妙過ぎる縁があるんだけど、その3人がライダーズを好きだと知ったのは好きになってだいぶ経ってからだったような気がする。豊田さんのシアターpooにライヴを見に行く前にタワレコで"Don't Trust Over Thirty"の紙ジャケットを買ってから行ったら鈴木博文さんが見に来てらしてそのままサインを貰ったこともあった。あれからどれだけの時間が過ぎたでしょうか。

 

(リハから本番の日記を書いていたのだけどネタバレしまくりなので7/2からはじまる配信のあとに載せてよさそうだったら載せます)

間違い探しはもう終わりだ

相変わらずのギター持つ、曲の断片できる、集中力切れる、ボイスメモチェックしながらApexやる日々。いい断片にいい断片を足したらいいものにかな〜と思ったんだけど、いざ足してみるといまいちいいのかどうかがわからない。

 

目覚ましがなる前に目が覚めた。

 

TOKYO FMで収録のため、久しぶりに都心へ出る。青梅街道をひたすら東へ向かい、到着し、担当がいなく、電話したところ、1時間早く着いたと気づいたのだった。車を神保町の方にやり、パーキングメーターに300円をぶっこみ15分だけユニオンを見た。学生の頃、レンタルして繰り返し聴いた「タモリ」を買った。

 

久しぶりに都心にいるな〜と思ってはいたけど、さっきスケジュール帳みて愕然とした。前回都心へでたのもどうやら4月末のTOKYO FMだったようだ。ちょっと前まで舞台の稽古で毎日のように外に出ていたけどあれよあれよと引きこもりが戻ってきて、ある段階でいくつかを諦め、幾分か晴れやかな気持ちで過ごせている今よ。

 

楽しい収録が終わり(6/6,13放送の"Terminal Melody"に出演です。CHAGE and ASKAさん、ASKAさんの楽曲について語っております。それはそれはキモ・オタ・キャッスル大爆発っつー感じでした)、タワーレコードでCD、レコードをどかっと買う。ミツメの新譜と言っても過言ではないあいみょんさんの新譜、諭吉佳作/menさんのCD2枚、Teenage Fanclubの新譜、アメリカン・ユートピアのサントラ、そしていつか買おうと思っていたポーギーとベスをいまだ!ここだ!えいや!と買った。物欲に火が付き、セレブ気分で伊勢丹で晩ごはん買って、吉祥寺からも新宿からも失われてしまったタピオカ屋、一芳の新大久保店によって帰宅。満たされた。機材を新調しなきゃいけなかったりするんだけど、それらの道筋を明らかにする前夜、私は誠実かつ雑に賃金を抱いた。

自転車に重りを乗せて

仕事の対価が入金された。還付金も入った。還付金はだいたい税金の支払いに消えるから気持ちの中ではノーカンだ。印税の入金額もいくつかわかった。そうすると、気持ちが大きくなる。ギターを持ってあ〜でもないこ〜でもないとやって30分粘ってなにもでなかったらApexという日々を抜け、久しぶりにココナッツディスクに行ってきた。矢島さんと近況を少し話してレコードを何枚か買う。(矢島さんのおすすめはどれも最高だった。近々NICE POP RADIOで紹介します。)その中の一枚にサニーデイ・サービスの「birth of a kiss」があった。部屋に帰るとき、階段を登ろうとしたとき、突然「FUTURE KISS」とつながっていたのか、と気づいて不思議な気持ちになった。今、それを聴いている。エレキギターの余韻の中で鈍く美しく光るその歪みがあまりにも眩しい。

 

open.spotify.com

私が夢からさめたら

仕事の作曲につかれてリハビリのつもりで別の曲を作り始めたら楽しくなってしまった。(楽しくなってきたついでに「菫画報」を読み返したりしていた。)佐々木敦さんに誘っていただいた文学ムック「ことばと」に書き下ろした「私が夢からさめたら」という歌詞にメロディを乗せようと思ったのだ。そもそもこの「私が夢からさめたら」、お話を頂いたときはもっと先の見えないスランプ中で、そのことを相談した結果、「間に合ったら送ります……」という超消極的な形で返信をしていた。何度か催促されて、もう無理だな、感じて、そのことをメールに打とうとしたとき、急に気持ちが変わってばーっと書いたものだった。少しずつ形づいていって、ここはこうじゃないんだけどな、と何度も歌って体が納得する形に落とし込んでいく。このコード進行じゃ「おれたちはしないよ」と同じじゃん、とか、書いた言葉を全部すくい上げることができなくて、詩先で曲を書く筋肉も衰えているんだろうな、とおもう反面、感覚的にはついに戻ってきた感じがする。まだまだリハビリ中だけど、動くようになったのだから、今はこれでいい。とにかく長い一年だった。でも、集中力だけはまだまだ戻ってこなくて、もうだめだな、と思ったらApexやりながらボイスメモを確認する、という日々。そんな日が3日ぐらい続いてようやく完成。2分45秒の簡素なデモを録音して、スタッフ、メンバーに送信。