幻燈日記帳

認める・認めない

ゆれゆ

某日

 

MVの衣装合わせで事務所に向かう。いつまで経っても慣れない。けど、こんなサイズの可愛い服がこんなにこの世にあるなんて、って思えるだけでどれだけ救われることか。そしてそのとき着ている服の値段をきいてまたこの世を恨むのョ。衣装合わせが早く終わった。社長は「次の現場、XXでしょ。だったらそこの街でマッサージ受けるとかもいいけど、ぼくだったら行っちゃうね、ユニオン」という言葉を聞いて、つい先日のタワレコで爆買いしてしまった過去をさびしい手のひらに写してみる。とにかく渋谷へ向かった。明後日収録の本番があるのにギターの付属品が入ったケースを預けてしまったので替え弦がないとちゃんと気づけたのでイシバシ楽器へ向かう。このビルの1階にはその時代その時代のスイーツ店が出ては入ってを繰り返していた時期があるんだけど結局クレープ屋が入ってそれで安定しているのを見て、今の日本に重ねたりもする。店のなかをかるく見渡す。ライヴで使っているキーボードをもっとグレードアップできないか、とかいろいろ見渡すがスカートがもっと売れてから考えることかもしれない、だなんて笑ってしまった。

そうして私はユニオンに向かってしまう!だがビルはもぬけの殻!そういえば移転したんだった、と移動。階段を降りて店に入り、知らない店なのに雰囲気は超ユニオンだったから脳が軽くパニックを起こす。はじめての店だったからじっくり見たかったんだけど、渋谷は駐車場代が高いからはやめに切り上げざるを得なく、新入荷をかるくなめるだけにしてしまった。しかしミレニウムの「ビギン」81年の日本盤とキャロル・ロールの91年作のアナログ盤があったので購入。どちらも2000円ぐらい。「ビギン」は当時スタッフをやっていたイヴェントの主催者のあきとさんに勧めてもらったソフトロックの1枚で、Preludeを聴いたときの衝撃は本当に忘れられない。そしてPreludeの衝撃が強すぎて大学入るぐらいまでアルバムを全体像で把握しきれなかったアルバムでもある。昔、1500円ぐらいの輸入盤新品のアナログがよく売られていて、この値段ならいつでもいいや〜とか後回しにしてたら10年ぐらい経ってたし、その頃にはもう手に入らなくなってたからこうやって手に入ったのが本当に嬉しい。社長にも感謝。

別件で動いている仕事を1件こなして家路につく。世間がビートルズの話ばかりしているのでついビートルズを聴いてしまう。シャッフルにしてたら"There's A Place"がかかってシビれる。昔きいたときはこんなにいい曲だなんて思ってなかったからドキドキしちゃった。

There's A Place - Remastered 2009 - song by The Beatles | Spotify

 

家に帰って弦を張り替えながら録画していたテレビを見る。明日が入りが何時だから、と時間を逆算して絶対8時間眠るんだ、という気概のもと、仕事とapexの両立を夢見ながらついつい「ビギン」に針をおろす。これだよ、これ、というはじめて聴いたときと同じ感動が襲ってくる。大いなる感動!昔は1曲目が良すぎて3曲目ぐらいで止めちゃってもう一回あの1曲目聴かせてくれよ!ってやってたけど、さすがにおとなになったのか最初から最後まで静かに興奮しながら聴けた。事実上のラストナンバー、"There Is Nothing More To Say"なんて大名曲、Spotifyで1000万回とか再生されるっしょ、とか勝手に思っていたけど約13万回再生でやはりこの世は間違っている、と改めて認識をする。

There Is Nothing More to Say - song by The Millennium | Spotify

サンキ・ュー

某日

 

街裏ぴんくさんの独演会に行く。何度見ても知らない角度の話が永遠に続く。頭の中を覗いてみたい、という常套句があるけれども、ぴんくさんの頭のなかを覗いてみたいよ。関係ないけどパンドラの箱ってあらゆる悪いものが出て、最後に希望が残る、って美談ぶってるけど、悪いものが出たということは希望ぐらいでは帳消しにならなくない? 帰りに渋谷の街を歩く。シブヤツタヤの地下1階のコミックフロアに寄った。コロナ禍以降多分寄るのははじめてなんだけど、あまりの変わりようにめまいがした。寄り付かなくなってしまったぼくが一体どんな文句が言えるんだ、というのはわかっているのだけどこころはぐんにゃりとする。おきらくボーイ先生の「オガペペ」を手にとってレジに並ぼうとしたら、成年漫画のコーナーが1/4ぐらいに縮小されているのに気がついた。店舗別の特典とか気にしなくなってからはここでさくっと買えるのがありがたかったのに。これから先、いつかの日常が戻ってきてもシブツタの地下は戻らない。

 

某日

 

仕事で渋谷へ行き、帰りに渋谷の街を歩く。お惣菜を探し求めて東急本店に向かうもすでに閉店。かつてエロ本屋があった通りをわざと通って駅チカの東急へ。少しだけ買ってなんかアガらなくて西武百貨店の諸国銘菓だけ流す。美味しそうなようかんがあったのだけどお酒の入っているやつでぼくよりもアルコールがだめな妻とシェアして食べることもできない、と思ったのだが妻から「(どうぶつの森の世界は)サンクスギビングデイだからなんでも買えばいいじゃん」というので買うことにした。西武百貨店の諸国銘菓が東京でいちばん好きな場所かもしれない。古いデパートの地下。階段降りたらすぐのパラダイスだ。

 

カーネーションの新譜が欲しくてタワーレコードに向かう。6階にいけばどうにかなるかな、とエスカレーターをのぼっていくと、パイドのコーナーに置いてあったので6階だけで事足りた。他にもアナログ出るから待とう、とおもっていたはずなのに実際店頭で見たら手を出さずにはいられなかったブライアン・ウィルソンのピアノ盤、グソクムズの7インチなどを購入。グソクムズの7インチが990円で泣いた。世界はまだ美しいのかもしれない。

 

某日

 

ダウ90000の寄席を見に行った。仕事が入っていたので見に行けなかった「あの娘の自転車」でやっていたという噂のバーカウンターのネタも見れた。本当にすごい構成で、加賀さんが外に出て「さいこーーー!」っていうのもうなずける内容だった。ママタルト、かが屋ラブレターズ、ダウ90000という流れが実に最高。

 

某日

 

仕事の帰り道、伊勢丹に寄る。6年前に急性扁桃炎で入院して以来、伊勢丹で売ってる1番高いマヌカハニーを買うことにしている。1年ぐらい前に買ったのがなくなってしまったからそれを買った。14900円。まじかよ。正気じゃない。でもいい。これはおまじないなのだから。今年の夏、伊勢丹のアプリを入れるだけ入れてこっそりポイントをためていたのだけど今日、そのポイントは30万円以上買い物してないと特に意味ないと知って膝から崩れ落ちる。おれのセレブライフは遠い。

 

そのままタワーレコードに向かった。先日の渋谷で無果汁団の新譜を買いそびれていたのだ。エレベーターでCLOSEと表示されている7階と8階に念を送り9階で降りる。4フロアが2フロアになったもんだから結構なカオスになっていて少し混乱した。さすがにスカートの面陳はなくなっていたけど過去タイトルすべて置いてあってうれしい。本当に嬉しい。無果汁団の新譜を無事購入し、ついでに上の階も……と見に行くとそうだった、世はレコードの日だった。かえぽの7インチとLOVE JETSの7インチ、ハッピーズ、ダイアナ・ロスの新譜などを購入。会計をしているときにふと店の奥の方を見てみるとかつて新宿の街を見渡せたおおきな、おおきな窓が塞がれているのが見えて、そうか、ここは新宿のタワーレコードの10階だったんだ、かつてのニューエイジの試聴機があったときよりもいい景色が見れたあのタワーレコードの10階だったんだよ、ということを思い出してこころがぐしゃぐしゃになった。TOWER VINYLができてお店をみたときのうれしい気持ちを忘れないように生きていこう、そう唱えた。泣きそうな気持ちで会計を済ます。店内ではoasisのライヴ盤が流れている。どういう気持ちでエレベーターのボタンを押せばいい?考えあぐねいていると駐車券にスタンプを押してもらうのを忘れていたと気がついた。安心ともつかない妙な気持ちで店内に戻って店員さんに駐車券のスタンプを押してもらったら声をかけられる。うれしい気持ちとかなしい気持ちがないまぜになっちゃってぼくからも「改装してはじめてきたんですよ……なんというか、ちょっとさみしいですね……」と弱音を吐いたら「でも!CDの在庫数は前と変わっていないんですよ」と教えてくれて少しだけ気が楽になった。車に乗り込み、買ったばかりのダイアナ・ロスの新譜を聴きながら家に帰った。ぐしゃぐしゃのこころに染みまくった。

 

Thank You - song by Diana Ross | Spotify

だいぶ遠い都市

某日

 

池袋のIMAXのさらにすごいやつでDUNEを観る。ところがはじまって1時間も経たないうちに音響すごすぎて具合悪くなってしまった。最初に具合悪くなったのは虫みたいな偵察機が飛んでるシーン。階段を斜めから撮る戦闘のシーンで完全にだめになってしまった。映画館を出ようとも考えたのだけど、息も絶え絶えたまたま持っていた耳栓をつけたとき、ものすごく手が震えていたのでこの調子じゃとてもじゃないけど立ち上がれない、と判断して30分ぐらい目をつぶっていた。どうしてDUNEを見ようか、と思ったか、というと佐久間さんと優介が楽しそうに話していたからだった。佐久間さんは普通の2Dでみて、優介は僕が観に来ている池袋の映画館に観に来たのだそう。規格が違うらしくスクリーンがとても広いそうだ。だからシーンによっては上とか下とか切らないといけないんじゃないかな、と優介が言ったあとに佐久間さんが「あのオヤジが上にあがるシーンどうなっちゃうの?上のバッティングセンター(この映画館の上にはバッティングセンターがある)に行っちゃうの?」と言っていたのが本当におかしくて観に行くことにしたのだった。ああ、よこしまな気持ちで映画館に来たばちがあたった。あまりに長い時間が流れ、上映が終わり、しばらく立ち上がれず、シャツのボタンをあけたり、上映前のはしゃいだ気持ちで買った爽健美茶のLサイズを必死に吸ったりした後、ようやく動き出せた。映画館の下にあるレストラン街みたいなところでカフェに入ろうとしたら店内BGMの音がでかすぎて踵を返す。火鍋でおなじみの小肥羊がカフェメニューもあるというのでそこに飛びつき、あたたかいジャスミン茶で少しずつ復調。そりゃあんまりだ、と遅くまで開いているジュンク堂で本を数冊買って帰った。

 

某日

 

すっかり夜になった頃、取り置き期限が明日にせまったレコードを取りに自転車で吉祥寺のユニオンに向かう。その前にアトレの1階のお惣菜コーナーを巡り、安くなった惣菜をあれやこれやと購入。期間限定で入れ替わるコーナーにいきなりだんごのお店、くま純が来ていて、なんとなくいきなり団子と芋餅というのを買ってみた。ははーん、ソーセージも買っちゃおうかな、とか余裕でいたはずなのにPARCOに向かうとすでに20時を越えて閉店時間になっていた。21時ぐらいまで開いていると勝手に思っていたからショックだった。そうか、私も勝手にコロナ後の世界にいるつもりだったのかもしれない。少し気を引き締めなおそう、と心に誓い、アトレに戻って揚げ物を追加したのだった。

 

某日

 

車検のため、ひとり実家に向かう。兄は有給消化の旅行で居ないそうで、両親と実家に居た頃はよく行っていた中華料理屋で昼食を摂る。両親に結婚の報告をした。静かな平日の昼間である。車をいつも見てもらっているところに預け、吉祥寺に向かいたい、と言うと父親が吉祥寺までの直通のバスが出ている成増まで送ってくれた。「3時前だっていうのに陽が傾くのが早いねえ」と言う。Google Mapで成増→吉祥寺で検索すると電車で行った方が全然早いそうだが関係ないのだ。高校生の頃にココナッツディスクに向かうとき、このバスに乗ったし、実家を出てみんなでシェアハウスした街を通るバスに乗る。暮れていく街を眺める。ときどき人が乗るけど決して混んではいない。車窓に外に街が映り、その窓に反対側の景色が映り込んでいる。ああ、夕暮れがくる。気がつくと眠ってしまっていて、目が覚めた頃にはすっかりそれらしい街になっていた。バスで吉祥寺についてユニオンに向かう。店頭でかかっていた音楽が最高で「ぎゃー」となりNOW PLAYINGのコーナー見てみたらそれがエルヴィス・コステロだと知る。そうか、これが、エルヴィス・コステロなのか。取り置きしていたものも受け取り、かかっていたコステロのCDも買った。ユニオンを出るとすっかり夜。アトレに向かっていきなり団子を追加で購入。あまりにおいしいので冷凍してでも保存しておこう、と決めたのだ。お店の人に「たくさん買っていただいてありがとうございます~」と言われてしまった。塚田水産でおでんの種も買って、そのときの俺は完璧だった。

ダムならば花

某日

2日連続で真夜中のサイクリング中に職質を喰らう。ジャージ短パンという姿が悪かったのだろう、と反省し、ジャージジーンズという出で立ちに変化。すり減っていくジーンズの断末魔を聞きながら走った。

 

某日

リキッドルームでのワンマンが発表された。スカートで最初の企画を江古田のプログレ喫茶で打ってから13年。高校の頃、ゆらゆら帝国とかの話ができた数少ない同級生の武瑠くんがやってるバンド、SuGがリキッドでワンマンやってるって知ってから13年でもあるのです。いつかはリキッドでワンマンやりたいな、とそのときに思ったのだけど、現実は丁度いいところに壁をつくり、周りのバンドがどんどんリキッドでワンマンしていく後ろ姿をみつめてきました。10年やって結局ヒット曲はなし。いろんなライヴやってきて、どのライヴも思い入れがあるものだけど、こればっかりは観に来てくれ〜と言わせてほしい。先行受付中です。

 

スカートのチケット情報(東京都) - イープラス

 

某日

夕方、久しぶりにロイヤルホストに行ってノートを広げる。12/5に決まったワンマンライヴのセットリストを考えるためだ。ヤリイカフリットとドリンクバーを華麗に決めて、自分なりのコンセプト、こう見せたい、あの曲やりたい、とかを思い浮かべ、あーでもない、こーでもない、とノートに書き込んでいく。あの曲からこの曲に行きたいけどそうするとここでこういうパーツが足りない、カポある曲だから次もカポの曲にしたい、できれば1カポ、ぶつぶつ……、集中力が完全に切れ、パフェを食べたりしながら、なんとか自分の中で一本のものにして一旦スタッフに送信。

 

某日

街裏ぴんくさんの配信を見逃してしまったことに気がついて我が身を振り返る。その過程でなぜか「エス・オー・エス」作ってるときの制作メモが目に入って読みだしたら「いままで作った曲をちゃんと録音して、レコードを作るんだ、と息巻いていたはずなのだが、気がついたらすでにあれほど暑かったはずの夏はあけていた。」と書いてあって膝から崩れ落ちた。俺は何も変わっていなかった。俺はなんにも変わっちゃいなかった。昔の私は創作意欲に満ち溢れていて、書いても書いても曲が湧いてくるような気がしていて、今の自分に少し後ろ暗い気持ちでいたのだけど、全くそんなことはなかった。ぴんくさんの配信は見逃してしまったが大切なことを知れた。みなさんにも大切なことを知ってもらいたいのでこの世のすべてが詰まっている動画を紹介します。

【ヤバヤバ先生のヤバ授業】『理科』 - YouTube

 

ついでに「エス・オー・エス」の制作メモはこちら。

エス・オー・エスの録音に関するあれこれ - 幻燈日記帳

 

 

あみ進化

某日

リハーサルに入る。ぼっろぼろ。「駆ける」の2Aとか全く覚えてなかった。自分で仕掛けた罠にかかって身動きが取れなくなるみっともなさ。リハーサルの急遽の追加を決定。本番は待ってくれない。

 

某日

恋人がM1の2回戦を見に行くというので車で浅草まで送っていく。おにぎり屋でおにぎりを食べていると調子のいい店員さんが「ふふ、完全に見た目で判断しちゃうんですけど次はどこのお店に行くんですか?」と笑いながら言ってくれた。「もうそういうのはやめにしないか」と口からでかけて、いやいや、ファニーなご挨拶じゃないか、悪気がないのはわかっているんだ、とその言葉を飲み込んで「いや、どこもよるつもりはないですよ」と笑いながら言って店を出た。恋人は5656会館へ、私は車に再び乗り込んだ。この日、私はそのまま東都レコードとか普段あまりいけないレコ屋に行こうと思ったのだ。ところがその日はとうとレコードは休業日。走り出した車は行く宛をなくし、すかっとしない気持ちだけが積もっていく。路肩に車を止めて、どこに行こうか考え、とりあえず御茶ノ水界隈のユニオンでも行こうかな、と車を走らせた。レコード屋を見るのにパーキング・メーターはうってつけの駐車場だ。1時間と時間を決めれば諦めがつく。幸い、神保町のユニオンの近辺はパーキング・メーターがたくさんあり、あたりをつけていたのだが、すべて埋まってしまっていた。ここで別の場所を選んだらもう今日は一日だめに違いない、そう思えてなんだか諦められず、何十分かぐるぐる回ってやっと車は停めることができた。肝心のユニオンは収穫なし。と言っても不思議と目が滑っただけで、本当はきっといいレコードやCDがいくつかあったはずだ。そうしてジャニス2に向かう。はじめて行った。ジャニスの遺伝子を感じて懐かしい気持ちになる。ソフトロックのコーナーに入れられていたイスラエルのCDが妖気を発していたので購入。1時間近くになっていたので車に戻る。するといつもはひどい行列のまる香の列がだいぶすっきりとしていた。おにぎり屋の人の顔が浮かんで消えた。私は車を1mほど動かし、別のパーキング・メーターに停め直し、数分後には釜玉うどんをすすっていたのだ。この日のかしわ天はまた格別なのであった。おにぎり屋の人に対して少しでも気分が悪くなった自分を呪う。その後、駅前の方に車を動かし、またユニオンへ。パソコン音楽クラブとあらきなおみさんの新譜といくつかの中古品を購入。M1の2回戦、後半はだいぶ席が空いて当日券で入れると連絡があったので5656会館に向かった。そのへんのコインパーキングに停めようかな、と思ったのだけど5656会館の軒先に「駐車場 30分300円」と書かれていたので5656会館に停めることにした。車を停め、受付の方に「車を停めたい」と言うと「17時終わっちゃうんだけど…あ、M-1観に来た方?それならいいよ」と停めさせてくれることになった。後で受付の方に直接お金を払うタイプの駐車場だった。検温、手指消毒を済ませ会場に入る。3ブロックだけ見れた。1時間とちょっと経ったぐらいで5656会館を出て、受付の方に駐車場の精算を頼むと1500円だと言われ、顔色ひとつ変えずに「はい!ちょうど……あります!」と言って5656会館を去る。恋人は「去年は行ってないからわからないけど少なくとも2年前は2回戦が一番楽しかった。プロもアマチュアも関係なく楽しめた感じがあったけれど、今年はプロばかりが強くて」と言っていた。

 

某日

仕事が一区切りした!ので積んでいたCDをリッピングしていく。パソコン音楽クラブの新譜をリッピングする際、「さまざまなアーティスト」にチェックが入っていたのでそれを外し、フィーチャリングのある曲のデータを手打ちでひとつひとつ直していく。たとえば「潜水 / パソコン音楽クラブ & 川辺素」となっていたら「潜水 (Vocal. 川辺素) / パソコン音楽クラブ」に変えていく。そういう孤独で虚しい作業をしていた。今回買っていたのに聴けていなかったCDの1枚にザ・サークルのネオンがあった。90年代の再発をCDで持っていたり、レコードでも持っている。大好きなアルバムだったのだけど、近年のCD化でボーナス・トラックが追加されていると知り、手に入れた。リッピングしたデータを聴きながら解説を読んでいると、大好きな「すてきなダンス」の項に「どこまで本気に取り組んだのか疑問が残る」と書いてあって驚く。シタールが調子っぱずれなことを具体例として挙げていたけど、ここまで丁寧に編曲、ミキシングされているのにそう思う人も居るんだなあ、と結構本気でカルチャー・ショックを受けてしまった。「トゥ・ルームス」も「あっけなく終わってしまうのが残念でならない」と書いてあり、僕はあの短さに惹かれていたから余計にカルチャー・ショック。他にも、松永さんがTwitterに書いていた「海や山の神様たち」なんかも買った。若き日の坂本龍一さんと山下達郎さんが参加した1975年のアルバム。これは昔ズーシミも薦めてくれていた気がするけどどうしてか聴かないで今まで来てしまっていたことを後悔するような最高盤でした。

 

坂本龍一/海や山の神様たち -ここでも今でもない話-

いなゃじいながうょしてっだ

某日

1年2ヶ月ぶりのバンドでのライヴに向けて、体力をつけるために真夜中のサイクリングを再開した。2日目、小雨がぱらついていて、「夏を洗い流す雨」という詩のことを思い出す。ずっと、夏の終わりのスコールのようなものを頭に描いていたけど、これだって夏を洗い流す雨かもしれない。

 

某日

仕事で八王子へ。雨が夏を洗い流すことはなく、早朝寒く、昼が近づくとカンカン照りになってしまった。帰りにグーグルマップに「レコード屋」と入れたら日野に一軒あるらしいから車を走らせ、ついてみたら店は開いていなかった。全国のレコード屋の情報が載っているRecoyaのデータを見てみるともうすでにそのレコード屋は営業していないようだった。無念。ここでおとなしく帰る私ではない、と立川の方へ向かい、珍屋へ。買おうか迷っていて早々に店頭からなくなってしまった「僕の中の少年」のリマスター盤とか、90年代のピエロ・ウミリアーニの再発盤などを買った。

 

某日

部屋で作業。最初はバンドっぽい音像にしようと思って作業をしていたけど、だんだんそうではない、となっていった時にシビアにベースやギターを弾かなければならなくなってしまった。それを何日にも渡って弾いては微調整して、微調整しては弾きなおす。「歌とかギターとかが揺れてるから納得いくテイクが録れないんだよ!」とクオンタイズされたリズムトラックを聴きながら弾いていたのだけど、それでもだめで、最終的にはそれらのトラックに加え、16分でクリック出してベースを弾いていた。いいものができている。

 

某日

街を歩いていたときになんとなく横をふっと見た。そうしたら車が停まっていて、泊まった車の窓に自分が写っている。そうして白髪が増えたな、と思うのだ。

 

訪ねてきた

某日

ドライブ・マイ・カーを観に行く。近所ではどこもかかっていなかったから池袋へ向かった。映画は面白く、ケツが痛くなること以外は時間を忘れさせてくれた。せめて外に出て曇天だったらよかったのだけど、晴天とも曇天ともつかない妙な天気だった。映画を見終わって池袋をすこしうろつく。ああ、俺のP'PARCO、ああ、俺のWE ROAD。

 

某日

散髪。早めに家を出て池袋に向かう。ココナッツディスクの池袋店に取り置きが溜まってしまっていてそれを受け取りに行った。新入荷を見ているとエレック盤のシュガー・ベイブの「ソングス」があった。そりゃもちろん高い。いつかはほしいな〜と思っていたけど、今日がその日かもしれない、なんて冗談のように思ったら胸が高鳴ってきた。ドキドキしてしまう。もし我が家に「ソングス」のオリジナルがあったら?そもそも盤が国内だろうが輸入だろうが関係ない、リイシューでもオリジナルでも聴けりゃあいいんだよ、という人間なので、どうしてこうやって「ソングス」が欲しいのか考えてみたところ、いくつかを思い出す。まず数年前に出た2枚組のリイシューの音が好みじゃなかったこと。確かにいい音。でもすりきり一杯音が入っていて、いや、表面張力のような現代的な音。それに違和感があって、結局学生時代にココナッツで2500円とかで買ったコロンビア盤や30th盤とかを聴いていた。それと、いつか誰かが言っていた「ソングスはオリジナル盤じゃないと」という発言。音楽マニアが行き着くよくある戯言のたぐいだ。「ビートルズはUKのMONO盤以外ビートルズじゃない」とか極端な感性に導かれがちだから敬遠しているのだけど、どうしてもその言葉が頭から離れていなかったのだ。だって誰も「シングルマンはオリジナルじゃないと」とか「一触即発はオリジナルじゃないと」とか言っているのを聴いたことがない。私がそれだけ交友関係が狭い、ということの表れかもしれないけれども、それほどまでに「ソングス」のオリジナル盤には魔力があるのか、と思っていたことを忘れていたのだ。そしてリイシューのアナログが「オリジナルに一番近い」と言っている人もいた。当時、あまりにもこのリイシューの音がわからず、似たような意見の人を探そうとした結果目にした意見だった。それらを経ての今のこの胸の高鳴り。たまたま金と異常な枚数のポイントカードがあったので併用して購入してしまった。嬉しくてココナッツの社長と一緒にいい顔してるぼくの写真はこちら。https://twitter.com/C_C_N_D_IKB/status/1446001803196129280?s=20

原宿に向かい、シゲルさんに髪を切ってもらう。到着するとチャーベさんもいらっしゃった!ミュージシャンにあえる機会が本当に減っていて、とっても寂しかったから本当に嬉しかった。あんまり長い時間話せもしなかったけど、このことを胸に当分暮らしていくんだろうな、ととてもいい気分になった。

 

某日

5つのうちの5つめのデモが出来る。嬉しい。何度も聴き返しちゃう。

 

某日

中野へグレイモヤを観に行く。とにかくすごすぎて頭が落ち着かない。すき家豚丼買って帰って花椒がひたひたになってる油みたいなやつぶちまけて、更には納豆までぶっかけちゃって。そうしないと気が済まないライヴだった。