幻燈日記帳

認める・認めない

ゆれゆ

某日

 

MVの衣装合わせで事務所に向かう。いつまで経っても慣れない。けど、こんなサイズの可愛い服がこんなにこの世にあるなんて、って思えるだけでどれだけ救われることか。そしてそのとき着ている服の値段をきいてまたこの世を恨むのョ。衣装合わせが早く終わった。社長は「次の現場、XXでしょ。だったらそこの街でマッサージ受けるとかもいいけど、ぼくだったら行っちゃうね、ユニオン」という言葉を聞いて、つい先日のタワレコで爆買いしてしまった過去をさびしい手のひらに写してみる。とにかく渋谷へ向かった。明後日収録の本番があるのにギターの付属品が入ったケースを預けてしまったので替え弦がないとちゃんと気づけたのでイシバシ楽器へ向かう。このビルの1階にはその時代その時代のスイーツ店が出ては入ってを繰り返していた時期があるんだけど結局クレープ屋が入ってそれで安定しているのを見て、今の日本に重ねたりもする。店のなかをかるく見渡す。ライヴで使っているキーボードをもっとグレードアップできないか、とかいろいろ見渡すがスカートがもっと売れてから考えることかもしれない、だなんて笑ってしまった。

そうして私はユニオンに向かってしまう!だがビルはもぬけの殻!そういえば移転したんだった、と移動。階段を降りて店に入り、知らない店なのに雰囲気は超ユニオンだったから脳が軽くパニックを起こす。はじめての店だったからじっくり見たかったんだけど、渋谷は駐車場代が高いからはやめに切り上げざるを得なく、新入荷をかるくなめるだけにしてしまった。しかしミレニウムの「ビギン」81年の日本盤とキャロル・ロールの91年作のアナログ盤があったので購入。どちらも2000円ぐらい。「ビギン」は当時スタッフをやっていたイヴェントの主催者のあきとさんに勧めてもらったソフトロックの1枚で、Preludeを聴いたときの衝撃は本当に忘れられない。そしてPreludeの衝撃が強すぎて大学入るぐらいまでアルバムを全体像で把握しきれなかったアルバムでもある。昔、1500円ぐらいの輸入盤新品のアナログがよく売られていて、この値段ならいつでもいいや〜とか後回しにしてたら10年ぐらい経ってたし、その頃にはもう手に入らなくなってたからこうやって手に入ったのが本当に嬉しい。社長にも感謝。

別件で動いている仕事を1件こなして家路につく。世間がビートルズの話ばかりしているのでついビートルズを聴いてしまう。シャッフルにしてたら"There's A Place"がかかってシビれる。昔きいたときはこんなにいい曲だなんて思ってなかったからドキドキしちゃった。

There's A Place - Remastered 2009 - song by The Beatles | Spotify

 

家に帰って弦を張り替えながら録画していたテレビを見る。明日が入りが何時だから、と時間を逆算して絶対8時間眠るんだ、という気概のもと、仕事とapexの両立を夢見ながらついつい「ビギン」に針をおろす。これだよ、これ、というはじめて聴いたときと同じ感動が襲ってくる。大いなる感動!昔は1曲目が良すぎて3曲目ぐらいで止めちゃってもう一回あの1曲目聴かせてくれよ!ってやってたけど、さすがにおとなになったのか最初から最後まで静かに興奮しながら聴けた。事実上のラストナンバー、"There Is Nothing More To Say"なんて大名曲、Spotifyで1000万回とか再生されるっしょ、とか勝手に思っていたけど約13万回再生でやはりこの世は間違っている、と改めて認識をする。

There Is Nothing More to Say - song by The Millennium | Spotify