幻燈日記帳

認める・認めない

Don't Trust Anyone Over 30



 大学1年生の頃、大学に友達とよべる人、ごはんを一緒に食べれる人、好きなものについて話せる人があまりにもいなくて、片道2時間半かかる中、通学路で僕はiPodをそれにしてしまった。その中でもよく聴いたのはムーンライダーズというバンドの「Don't Trust Over Thirty」というアルバムの「Don't Trust Anyone Over Thirty」という曲だった。本厚木に向かう小田急の車内でこの曲を聴いて何回か泣いた覚えがある。すでに30歳を超えた男達がどうしてそこまで潔く「30歳以上は信じるな」と言えるのか。その20年近く前(アルバムが発売されたのが1986年)に使い古されたスローガン、もしかしたら彼ら自身使って来た言葉を、今度は自分が30歳になった時に、周りの人間にはじめて言える本当の意味で「30歳越えてる人間は信じるな」というのだ。当然、18歳だった僕は打ちのめされた。それから何百回も聴いた。ライブは4回くらい観に行ったけどまだ生では聴けてない。いつか聴くのが楽しみだ。この曲は当然詞が素晴らしいのだけれども、やはり、曲の終盤の鈴木慶一による叫びともとれるし、嗚咽ともとれるし、フェイクともとれる、アレだ。
 昨日、レコーディング終わって、iPodも壊れ、今は友達と呼べる人も多い大学から家に帰る途中、CDウォークマンでこのアルバムを聴いていた。西台の駅で降りてこの曲を聴いていた。今まで何百回も聴いて来た曲だけど、やっぱり最高だ、だなんて思っていた。声には出さないがフェイクも口ずさみながら道をいく。フェイドアウトしていく音の奥の方に照れくさそうな声が小さく聴こえた。慶一さんが「もういちど」と言ったような気がして、急いで巻き戻す。確かに言った。本当に言った。6:21あたり。照れくさそうな慶一さんの顔が見えるようだ!嬉しすぎてライダーズが好きな後輩にメール。本当だ!すごい!と言ってくれた。