幻燈日記帳

認める・認めない

グレートとファッビュラスは沈む船を可視化する



ぼんやりとしている。
ジオラマミュージックフェアコミティアが終わって抜け殻のような日々。
やらなければならないことがすごい速度で私に置いてけぼりを食らわせていく。
部屋の掃除をしないとね。机の上がこんなんじゃどうにもならないよ。
と丸椅子に座っていたら2時間ぐらい経っていた。
なにもしていなかった訳ではないが、レコードをひっくり返したり、
漫画をとっかえひっかえ読んだりしていただけなので、
決して大げさな言い方ではないだろう。
ギターを持つ。曲の断片がちょっとずつ浮かび上がっては消えそうになるので、
それから目を離さないためにボイスメモの録音のスイッチをつけた。
最近のつくった曲で「サイダーの庭」「すみか」「はなればなれ」で、
完全に燃え尽きたか、と思っていたけどまだ完成させたい曲が浮かびあがった。
さっき挙げた3曲は『エス・オー・エス』の頃の自分に聴かせたら、
「えっ、なんでそんな軟派な曲つくってんの」とか言われそうだな。
出かける支度をする。外はまだ雨。
ギターをケースにしまい、必要最低限の荷物でひとり家を出た。
読みかけの文庫はまた部屋に忘れてしまったので音楽を聴いた。
しかし、最近なにを聴くのが正解なのか自分でも解らない時期に来ている。
部屋に居る時はYancy KorossyやMaurice Vanderなどの、
アノトリオものばかり聴いていて、
いよいよ自分の趣味がわからなくなっているのだが、
移動となると話は別だ。雨の電車でキョロシーのアヴァンなソロだったり、
意外と人情味溢れるソロを聴いても果たしてそこになにが浮かび上がるだろうか。
情景と条件は常に隣り合わせで鎌のようなものをもって私を狙っている気がしてる。
電車を乗り継ぎ、迷いそうになりながらライヴハウスに着いた。
少し遅刻してしまった。リハーサルは一番手だったので、
早めについたら長くリハーサルできるかな、と思っていたのだけれども、
スピーカーのチューニングが終わった頃にはリハーサルの開始時間を20分近く過ぎていた。
あまりにもずっとチューニングやっているので、
PAの方がこいつらろくな挨拶もしてこねえな、と怒っているのかな、
と心配になったがそうではなかったので安心した。
新曲や久しぶりの曲を合せてリハーサルを終える。
私はその足でナチュラルローソンに向かい、上品そうなパスタを買い、
楽屋でぺろりとたいらげたのだった。
昆虫キッズのリハーサルが終わり、みんなでどこかで時間を潰そうという話になり、
漂流した先が天下一品だった。さっきのパスタ!さっきのパースーター!
本番も近づき1バンド目を見る。タイトな演奏が印象的だった。
我々スカートはおばけのピアノではじまり、ガールに着地した。
途中新曲などをうまくはさみ、全体的にいい演奏だったと思う。
昆虫キッズのライヴを壁にもたれかかってみていたら、
キックがむちゃくちゃ出てて佐久間さんがバスドラムを踏む度に、
背中がぼう、ぼうと揺れるのが楽しかった。
水中、それは苦しいは高校生の頃からリスナーで、
ついに対バン、という感じがして感慨深かった。
"復活ののろし"というライヴ盤を友人に貸してもらった時の衝撃、
"顔にやさしく"での「サンダーレイプ」の衝撃は、やはり忘れられない。
疾走感溢れるコードがさらに印象的になっていて、
叙情性すら感じさせる曲が増えていて、でっかいクエスチョンマークを浮かべつつ、
目の前にある快楽に私は身を委ねるだけだった…
着替えを忘れたことに気がつくまでそう時間はかからなかった。
なるほど、荷物がそれほど重くなかった理由はそれだったのか。
部屋に帰ると洗濯すべき衣類をぶち込む段ボールが一杯になっていた。
それもそのはず。ジオラマミュージックフェアで私は4着の着替えを持ち、
そしてそれをすべて消化した。ところがそれから数日の呪いのようなぼんやりで、
わたしは目を背けてしまっていた。明日こそ、明日こそ。
オーダーを受けてる数のCDRを焼き切り、洗濯をするんだ。
ところで家に帰ったとき、
ソファに座って自分の足を見ると皮剥き放題な感じにべろんべろんになってて、
ヒャッハー!といいながらべろべろ剥いたのが楽しかったです!オッス!