幻燈日記帳

認める・認めない

ターン・シャーン・ガディ・ホーデー

名古屋・神戸・大阪とキャンペーンが始まった。FM局を中心に生放送や収録、時にはスタジオライヴをしながら街から街、FM局からFM局へ。どうでもいいけどFM局は大抵最上階にある。今日は名古屋で2本、神戸で1本、大阪で1本。刻一刻と状況が変わっていく、不安定な気持ちの中でそれぞれに向き合う。名古屋で収録したMCの方に「この後は神戸なんです」というと「豚まん!食べてきたら。小さいやつがあってね、それがめちゃくちゃ美味しい」という推薦と、乗り合わせたタクシーの運転手さんが詳しく教えてくれたため、軽く豚まんを食べる。これがとても美味しかった。タクシーの運転手さん曰く「麹から生地を作っていてね、ほんのり甘いんですよ。だから餡はちょっと(塩)辛い」という通り。そこに酢醤油からしを溶かし入れ、ホカホカの肉まんをちょいとつけたり、べったりとつけて楽しんだ。Kiss FMに向かう途中、タクシーの運転手さんが「こんな時間にこんなに人少ないの、20何年とやってますけど初めてですわ。この時間の大丸は混むんですよ。普段の1/4ぐらいじゃないかな」という。仕事の性質上、平日の昼間にうろつくことが多い繁華街も確かに人が少なかった。生放送ではマスタリングのレンジがどうとか、夕方のラジオ聞いている人がわからないような細かい話ばかりしてしまった。少しだけ、反省している。

そのまま大阪へ向かう。街の静けさに近い雰囲気とは裏腹に電車は人が多かった。ポニーキャニオンカクバリズム陣営に加え、スマッシュの方まで来てくれて大所帯での移動になった。FM802にあがるエレベーターで「こんな売れてないバンドに、これだけの人がついてくれるなんて」と感慨深くなった。きっと、こう思ったことが効いてくる未来がくるはずだ。いい意味でも、もしかしたら悪い意味でも。とにかく、今はいい意味だけを真正面から受け取りたい。

FM802に移動してtwitterを見ていたらおさかな券の話題が出ていて、みんなで見て笑ってしまった。怒ることに疲れてしまったのは何週間前だっただろうか。日記に書いておけばよかったな。新しく入ったマネージャーの上野さんに「どんな音楽を聴くの?」と訊いたら新しい音楽を色々教えてくれた。土井コマキさんのプログラムに出演した後、みんなでご飯を食べる。プロモーションを担当してくれているイワブチさんは年に200本映画を見るそうで、去年3本ぐらいしか見れていなかったから、とても羨ましく感じた。ジョジョラビットの話になった時、スカートのリハーサル中になって、優介が「めちゃくちゃ面白かったですよ!先輩に対してネタバレを一つだけするなら最初に「抱きしめたい」のドイツ語版がかかる」という最高のプレゼンを受けても、結局締め切りに追われたりしているうちに近所でかからなくなってしまって諦めていたことを思い出した。やっぱり見たい。イワブチさんから「そういえば最近、プリファブ好きなんでしょ?」と訊かれて「そうなんですよ〜」と返したら、上野さんもたまたまNetflixでやってるドラマ(ノット・オーケー)に"The King of Rock 'n' Roll"が使われていて最近好きで聴いていて、FM802で「どんな音楽聴くの?」と訊いたときにプリファブと言おうとしたそうだけど、伝わらないだろうな、と引っ込めていたそうだ。不思議な偶然もあるもんだ、と嬉しい気持ちになった。

宿にチェックインしてジーンズを脱いでさあどうしたもんか、シャワーを浴びるか、と思ったところで髭剃りを買うのを忘れていたことに気が付いた。ビジネス街のホテルだったため、近くにコンビニがなく、10分ぐらい歩いてコンビニにたどり着いた。知らない街を軽装で歩く背徳感。蛇のおなかのような高速道路を潜ったけれど、不思議とその蛇が大蛇ではなく、自分が小さくなったような気持ちになった。R-1と髭剃りを買ってコンビニを出て、人気の全くない道を歩く。暗くて色もわからないけど大ぶりの花びらが木についていた。自然と話しかけてしまった。そういう夜だった。