幻燈日記帳

スカート・澤部渡のせつないまいにち

練習しよう

夜遅くまでNICE POP RADIOの仕込み。本来だったらスタジオで録音する予定だったのだが、ご存知の状況でそういうわけにもいかなくなってしまったため、自宅からリモート録音することになったのだ。いつもだったら担当Dの大和さんに京都から東京に来てもらうため、2週分録音するのだけど、とりあえずお試しなので1週分。選曲テーマも軽めのものにしてもらったけど濃い内容になった。

明けて早い時間から機材をああでもないこうでもない、と触ってから録音を開始する。お試しの第一回だからひとりで喋っている自分に戸惑い、急に気持ちが暗くなった。チェレスタとピアノで演奏されている曲なのに「エレピ」とか言っちゃうほど。謹んで訂正したい。録音はiPhone純正イヤフォン、スピーカー、コンデンサーマイクFaceTimeやLINEをかけ合わせてどれがいいか京都で判断してもらうことに。FaceTimeやLINEの音声を京都で録音してもらって、自宅ではコンデンサーマイクでLogicも走らせた。こないだ聴いていたチョコレートナナナナイト、序盤は酒井さんの音声が悪すぎて爆笑してしまったが果たしてどういう放送になるのだろうか。

収録を終えて、これまた車に乗ることも電車に乗ることもなく家にいるのに家に帰ってきた。先日の配信の後でも似たような気持ちになったが、労働には情緒が伴わなければならないのかもしれない。録画したテレビを見ていてパンが食べたくなった。最近は買い出しに行くときも何日か分の買い物をしなきゃいけなかったので車で行っていたから、散歩がてらパン屋を覗く。こうして歩くのも、天気がいい日すら久しぶりな気がする。駅の方向に向かって音楽を聴きながら歩く。パラダイス・ガラージの「チョコパ」という曲がシャッフルでかかった。大学に向かう途中に何度も聴いた歌だよ。不安しかない毎日があの頃と違った形で顕現する。駅へ向かう道がムーンライダーズの「Don't Trust Anyone Over 30」を聴きながら「このまま小田原の海に行ってしまいたい」と思っていたあの頃に重なる。人気がないわけではない列車が踏切を過ぎたとき、その列車が新宿行きでなくてよかった、と思った。

「そうだね、とびきりあまいパンが食べたいよ。生クリームがビッタリ塗ってあるような」とパン屋を覗くも夕暮れが近づいていたからあまりものはなく、チョココロネやベーコンエピなどを買った。そういえばトイレットペーパーも心もとなくなってきたな、と駅前のスーパーへ向かった。普段使っているものはなかったけど無事に買えた。薬局で少なくなってきた常備薬も買って結構な荷物になっていたのだが、このまま住宅街を抜けるのはシャクだ、と広い道路に向かって遠回りをした。まっすぐ歩くと急に視界が開けて普段遣いしている大きなスーパーが誇らしげに佇んでいた。緩やかなカーヴをじっくりと歩く。雲ひとつない夕暮れどきに剪定された木も葉桜も染まっていく。そうして私は「今年の四月はまだ寒くて春が来てない」と歌うのだ。

皆笑った, a song by Pizzicato Five on Spotify