3日
横谷加奈子さんの「遠い日の陽」を読んで、衝撃を受ける。記憶を巡らせていくと多分以前コミティアで本を買ったことのある人だと気がついて、改めてコミティアという場に対して敬意を新たにした。そうしてその漫画がコミティアで出版されると知って、「明日は予定がない。もし明日、目覚ましをセットしないで8時までに起きれたらコミティアに行こう」と布団に入った。目が覚めると7時50分ぐらいだった。ゆっくり支度をして部屋を出て、ビッグサイトに向かう。サークルチェックもろくにしない思いつきコミティアは不安でもあるが、こういうときのワクワク感も嫌いじゃない。11時半ぐらいだっただろうか、会場に着く。ビッグサイトに向かうのだが、いつもと人の流れが違くて西ホールでの開催だと知った。西に来るのは11年ぶりぐらいだろう。コミティア102の時、なぜか壁に配置された思い出が蘇る。会場にはつのさめさんが描いたポスターが貼ってあってすでに私は祝福されているように感じた。会場は穏やかな人の入りで、あまり並ばずにティアマガも買えたし、入場もできた。入り口のすぐそばが「その他」の島で、横谷先生のスペースにもすぐに来れた。本は1冊売り切れていたけど、「遠い日の陽」は買えて、そのままぐるりと回っていく。久しぶりに会う人にも会えた。初めて会う人にも会えた。コミティアのこの楽しさはなんなんだろうか。いい本いっぱい買えたけど予算の都合もあってイラスト島をまともに回れなかったのが心残りだ。またいつか出たい。
遠い日の陽 - 横谷加奈子 / 【コミックDAYS読み切り】遠い日の陽 | コミックDAYS
7日
土屋くんに誘われてDJのたけたけさんと合同で開催している「でんじは」というイヴェントで弾き語り。完膚なきまでに今、好きな曲だけやった。会場のSPREADの雰囲気も手伝ってか、なんだか10年ぐらい前のライヴハウスの気分を思い出した。選んだ曲は面倒なコード進行の曲ばかりだったけどあの頃の気分が少し透けたような気がして、それもよかった。途中ハプニングがあり、会場を抜けなきゃならなかったのが悔やまれる。でも自分の出番に間に合って良かった。
9日
長野の渋温泉に向けて前乗り。温泉地でライヴイヴェントを企画する一風変わった集団のお誘い。渋谷で待ち合わせ、佐久間さんは寿司とワンカップを片手にやってきてもういいライヴの予感しかしなかった。道中ツルヤに寄って爆買い。佐久間さんとなおみちさんは手荷物に、私はクール便で発送するほどいろいろ買い込んだ。いいライヴの予感がする。会場に着いて夕食を摂って年内最後のライヴを楽しむ反面、どうしても慰安旅行のムードも漂ってしまうのでやっぱり5人で来たかったな〜と噛み締める。しかしステージの大きさや、搬入経路のそれを見ると3人で身動き楽に取れる体制じゃないと実現しなかったかもしれない、という現実も見た。金具屋は歴史の古い旅館で、目に入るものすべてが知っているものばかりのはずなのにすべてが目新しい。経験したことのあまりないドアや、経験したことのあまりない天井の高さ、すべてが束になって私に向かってくる感覚。ノスタルジーだなんていうありきたりな言葉では表せない何かだった。車に忘れ物をしたことに気がついて取りにもどる。暗い夜道だが星空でいっぱいと言う感じでもない。ときどき突然湯気が湧き上がっている。知らない街にいる。という実感が湧き上がってきた。車に戻り、荷物を回収して来た道とは違う道を歩いて戻る。枯れ葉を踏みしめてみるが東京とおんなじ音がした。ハリウッドに枯れ葉が落ちてたらまた違う音がしただろうか。リオデジャネイロは?広州は?メルボルンは? 温泉街を歩いてGoogleMapの口コミを頼りに入った店で夕食を摂り、射的をして、風呂に入った。安藤くん、佐久間さんと3人で露天風呂に浸かっていると川辺くんと山崎くんが入ってきてつい「運命じゃん」って口走った。部屋に戻って4人で酒盛りをして翌日に備える。仕上がりは順調だ。
10日
7時ぐらいに起きて部屋から移動して静かな会場で地味だけど美味しい朝食を摂る。体が起きるのを待って8時後半ぐらいからリハーサル。誰もいない大広間を突き抜けて、早朝の温泉街に"ODDTAXI"が鳴り響いているのがなんともおかしかった。ライヴは文句なしの満点!ではなかったかもしれないが、昼前(ミュージシャンからしたらまだ早朝)のライヴということと、2回目ということと、変わった環境ということを前提とするならば、よくできたと言っていいだろうし、達成感がある。「3と33」とか今こう響くのか、と新鮮に驚きながら演奏していた。演奏を終え、マネージャーが次の現場があるため、早々に帰京。しかし、日曜だったこともあり、道は混雑。練馬で降りたからそこから家に寄ってもらって一部楽器を積み替え、なおみちさんと佐久間さんを家に送ったので、だいぶ遅い時間の帰宅となった。
11日
ムーンライダーズのライヴに向けたミーティングに出席して、夜はアフター6ジャンクション。この日のために買い込んだ漫画をちびちび読んでいたけど、本当にどれも面白かった。放送でも話したけど、私は宇垣さんが藤田和日郎さんの漫画を紹介してくれたことで初めて読むことができたのだけど、とにかく衝撃だった。あと対面で漫画の話するの楽しすぎて時間が押したあとその場にいた全員が「もはや告知なんていいから漫画の話させてくれ」ってそわそわしていたのがおかしくてたまらなかった。ちょうど同じタイミングでTBSにいたカナメストーンのおふたりには会えなかった。零士さんの自作曲、最高でしたよ、って直接伝えたかったのに叶わなかった。無念。
12日
十九人と人間横丁のツーマンを観に行く。ネタ終わったとのコーナー?では「100万円あったらどこに一泊二日の旅行に行くか?」とホワイトボード出しながら話し合うあのおかしさはなんだろう。楽しかった。
13日〜15日
スケジュール帳には「作曲」と書いてあるが、この三日間私の手元に成果としてあがったのは絶対に仕事向きじゃない曲の弾き語りのデモだけだ。部屋が汚ねえから仕事がうまくいかねえんだよ、と悪態ついて片付けようとしたが、全く片付かなかった。もし生まれ変われるなら勤勉な人間になりたい。怠け者なんだ、という実感が年齢を重ねるにつれてわかってくる。小学生の頃、加藤さんに「お前はいい加減だ、今日からお前はいい加減太郎だ」と言われたことが年齢を重ねるごとに骨身に染みる。
某日
帰り道に月を見上げると半月だった。子供の頃、盲腸で入院したとき、入院していた日大病院のすぐそばにあったお菓子屋で売っていたグレープフルーツのゼリー(1/4ぐらいにカットされたグレープフルーツがドラえもんのポケットのように見えていた)がずっと頭の中にあって、半月を見ると俺のグレープフルーツムーンはこれだよ、なんて思ったりしている。