幻燈日記帳

認める・認めない

逆再生エデン



日記を書こう、と思います。


日曜日。
制作に携わっている作品のレコーディングに顔を出す。
着くなりギターを持たされて、モニターから音を出して演奏する羽目に。
AとGとDですから!と言われるがとてもじゃないけどそんな単純な曲ではない。
テンションコードを足してぐにゃーっと伸びる感じで演奏をした。
これが実際に使われる確率は低いと思われる。
その後もギターソロを僕とメンバーの3人で重ねまくったりした。


帰り道、友人から電話がかかる。
これから銭湯にいかないか、というもので、
正直あまりいい調子ではないので悩んだが、結局は行くことに。
なにも食べていなかったのでファミチキ食べた。
車に乗り込んで先日兄が買ってきたFMトランスミッターで、
iPhoneに入っている音楽をかける。
FMの周波数に音を飛ばしている訳だが、とにかく音が悪い。
mp3なんだから当たり前だ、とも思うんだけど、
そういうことではなく、ブレーキを踏む度、
ワイパーを動かすたびにノイズが乗る。
CDを持ってくればよかったと後悔しながら友人を拾っていく。
ひとりは平和台、ひとりは桜台。僕は西台なので、
3人共通して台なのだ。これは不思議な縁である。
うちも引っ越す前までは平和台の駅前に家があったらしい。
僕が生まれる少し前の話。
いつか僕が実家を出て一人暮らしをするなら、
台のつく地名のところがいいな、と少し考えてしまった。


光が丘の大きめの銭湯に着く。
「ここに来るために仕事やってる気がする」と友人が言っていた。


銭湯から出て目白通りに出る手前のガストに落ち着く。
パンダコパンダの話をしていたら、
「大橋のぞみちゃんのパンダコパンダのカバーがとてもいい」
という情報を頂いた。
友人が「銀河鉄道の夜」を買ったのでこれから読むところだ、と言っていた。
僕はつい前日、スタジオに向かう途中に読み返していたところだった。
奇妙な話もあるものだ。
この日一番衝撃的だったのは、
夢を追いながら就職した友人、夢を追わずに就職した先輩、
そして夢(と言ってもピンと来ない)を追い就職していない僕の収入の差。
「1回で10万くらいおろしていくら持ってるかっていうのはあんまり気にしてない」
と言っていたのが衝撃的だった。
ファミチキしか食べていなかったのでちゃんと晩ご飯を食べた。
カルボナーラでした。
ガストはあまりおいしくない気がする。


朝の4時頃帰宅して眠りに就く。
11時に起きてぼーっとしたままあれやこれや作業。
昼の1時には家を出て池袋に向かう。
「ストーリー」のミックスをオルグでやるということに。
最初はスピーカーでやる予定だったのだけれども、
商店会の打ち合わせかなにかが急に入ってしまったらしく、
馬場ちゃんとふたり、楽屋でヘッドフォンでバランスを取っていった。
よし、いい感じ、という着地点を全曲で見いだして、
気分よく池袋を後にして新宿に向かった。
11/12に向けたリハーサル。
3人でやるのははじめて、という意味での新曲が3曲。
これらがいい具合にまとまってくれてよかった。
当日僕はディレイとフェイザーで応戦します。
リハーサル終わって3人でスタジオすぐそばの麺通団へ。
それぞれの食事を済ませ、話も楽しくはずみましたが、
ミックスでも爆音、スタジオでも爆音の疲れがどっと出て、
(というかスタジオ入った時点で顔が死んでいたらしい)眠かった。


帰りの電車では森雅之さんの「夜と薔薇」を読み返した。
先日のスタジオで貸していたのが帰ってきて、
鞄の中に入りっぱなしになっていたのだ。
いろんな漫画が好きだけど、この漫画は本当に特別だな、と思う。
「ロマンチック2」という漫画のナイフ投げの練習をする不良の話が本当に好き。
あの世界を少年から思春期的にしたのが今日マチ子さんの漫画なのかもしれない。


家に帰ってきてPC開くと馬場ちゃんからミックスのデータが届いていた。
メールに少し弱気な文章も添えてあってどうしたもんか、と思ったが、
聴いてみてよおくわかった。良いミックスの曲もあるけど、
ほとんどがなんかしらの欠陥があるのだ。
しかもその欠陥というのが…
「このギター、もうちょっとコンプかけましょ」
「このベースの音色、もうちょっと目立たせてあげたいですねー」
…なんて自分が言ったところだったりする。これは落ち込んだ。
数時間前の「いいですねー」は何だったんだろうか。
やっぱりスピーカーでミックスしないとどうにもならないんだな…
ということをよおく学んだ。
でも「エス・オー・エス」はほとんどの曲をヘッドフォンでミックスしたんだけどなあ。
勘が鈍ってしまったのだろう。


次の日はじっとしていた。
LPのレコードをたくさん聴くがどれも日本語ではない。
山下達郎さんの「Go Ahead」をターンテーブルに乗せたのだけど、
気分に馴染まなくってもやもやして過ごした。
悪い報せと悪い報せが重なったが、
今制作に携わっているレコードに載せるイラストのラフがあがってきて、
本当にテンションがあがった。
しかし数時間後に悪い報せが入ってきて結局マイナス。
後になって笑えるなら君にも話そう。
僕はこれらのことを笑い飛ばせるようにならなければならないのか。
年を取るということと大人になるということは同義ではない、というが、
この苦しみ、悔しさにいつか慣れてしまうのか、
それとも忘れてしまうのか、それは単純に年を取るということではない気がする。
鈍感になっていく。アンテナは磨いていかなければならない。