幻燈日記帳

スカート澤部渡公式ブログ

何もいいことないヨ、子猫ちゃん



僕とジョルジュのリハーサルが終わってズーシミに連れられて家系ラーメン屋で晩飯を食べる。スカートのライヴだと歌う前にご飯を食べられないので(歌っててゲップがでそうになるから)こういう時は結構気楽だ。ほうれん草のトッピングを足したこってりとしたラーメンが運ばれてくるまで、やたらテンションの高い店員の接客で年末のnestの楽屋を思いだした。その日、みんな仕事してから来るため、一人早くnestに入った私は所在がなく、ハヤカワの文庫で武装して時間をやり過ごしたのだった。つまりそれは大学生の頃の気持ちだった。
ラーメン屋を出てひとりタワレコへ向かう。息を弾ませてデヴィッド・ボウイの「★」を購入。クリアファイルまでついてきた。ユニオンに寄ってみるも収穫はなし。サラヴァ東京に戻る。楽屋で居てもたってもいられずCDを開封、ライナーを読んだ。姫乃さんと道満晴明さんの話を少し出来た。
ライヴは上手く行ったり行かなかったり、でも手応えはあった。2度目のステージ。きっとまたいつかあると思うので僕とジョルジュをよろしくおねがいします。ライヴが終わった後、優介が急用で家に帰ることに。急用らしいので車を出すよ、と言って無理矢理車に押し込んだ。でも本当はとにかく早く「★」が聴きたかったんだ。カーステレオで優介とあーだこーだ言いながら聴いた。嬉しくなるぐらいの傑作だよ、でも素直じゃないから「ふふ、シンセストリングス、ダサいね!」なんてうそぶいた。「もしかしてライヴでの再現も狙って最小限の人数でできるようにしてるのかもね」「うーん、でもライヴやるんですかね。"The Next Day"の時もやってませんよね」「リアリティツアーの頃は17歳とか18歳だったから見に行けなかったんだ。一度でいいから観たいな」
優介を降ろして戻るときも「★」を聴いたし、ボーイと楽器を詰め込んだ帰り道でも「★」を聴いた。


東京インディー三銃士(ミツメ、スカート、トリプルファイヤー)でスナックのカウンターに立つ、という謎企画。家をでる少し前にボウイの訃報を知る。目の前が真っ暗になった。動揺している。2010年、浅川マキさんが死んだ時に「死なないって思ってる人でも死ぬんだ」という当たり前の事をつきつけられてからはどんな訃報も冷静に受け止めるようにしていたんだけどそうは行かなかった。思いは巡った。ただただ、思いは巡ったのだった。
スナックでグリーンカレーの仕込みをしているときに「★」をかけたのだけど、さすがにスナックの雰囲気には合わなかったのでスッと別の音楽に変えたのだけど何に変えたのかは思い出せなかった。
スナックの営業を終えてレイトショーで電気グルーヴの映画を観た。10代後半や20代前半の頃は終電逃してもなんとか帰れないものか、なんて思ったものだけど始発まで適当に時間を潰せばいいや、と気持ちが切り替わってしまう。少しだけ寂しい気がする。喉の痛みがぶり返してきた。つばを飲むのが痛いやつである。


始発で帰って2時間眠る。痛みは引いていないので素直に病院にかかる。「半年振りだね」医師は言うのさ。診てもらったけど極端に悪くはなっていないようで抗生剤と漢方を処方されて帰った。そのままバスに飛び乗って新宿をぶらついた。METAFIVEのアルバムを購入。念のため取り寄せてもらう話になっていた"Sue"は手に入りそうですか?と店舗に顔出した(迷惑)ら電話で対応してもらった店員さんじゃない店員さんに「これならすぐそこの店舗に在庫あるかもしれません」と言われ確認してもらったら本当にあった。念のため来てよかった。ついでにスティーヴ・ウィンウッドのセカンド、スパークス89年の12インチを100円で。ボウイの97年の12インチを1000円ぐらいで買って帰った。METAFIVEのパッケージを家で開けたらファクトリーシールがジャケットに直接貼り付いていた。ミスかな?と思ったらtwitterで仕様だと知る。弱粘着性とのことで簡単に剥がせました。内容は最高でした。
夜は旧譜の組み立てを久しぶりにまとめてやった。ファーストからライヴ盤まで、組み立ての必要がないだけではなく流通会社には在庫が潤沢にあるので持っていく必要がない「サイダーの庭」を除いた過去のカタログすべて。最初にCDを出したのが2010年末のことだったのでそこから数えてまるっと5年が経った。そんな中、2013年にリリースした「ひみつ」の在庫がもう無くなりそうになっています。新しいアルバムが出ることには旧譜も揃えておきたいけど、どうしたもんか。


起きたら12時を過ぎていた。これがフリーターの強み、堕落の限りを俺は生きる。薬は効いているようで痛みも少なくなっていた。安心。流通会社の人に14時までには行きます!と14時に着いたら「14時30分ぐらいのつもりでいました」と言われ、襟を正した。旧譜の納品。その後一件打ち合わせ。かぼちゃプリンをつつきながら漫画の話をする。「去年はそんなにグッとくる漫画多くなかったですよ」と言いながらも去年面白かった漫画の名前がポンポン出てきて何かの乖離を感じた。帰り道、ジュンク堂で漫画を2冊買って帰る。ミトンの手袋はあたたかい。
そして今日も「★」を聴いた。こんな気高いアルバムを作って、完成させて、世に出して死んだなんて、出来過ぎている。悲しみはまだ強いけど、これより素敵な事はないよ、死に様まで表現に取り込まれていったよ。