幻燈日記帳

認める・認めない

タルト屋さんになりたい

リハーサル再開。しかし条件付き。澤部岩崎佐久間の3人で、佐久間さんの家から近いスタジオに2人が車で向かう、というもの。他の2人は在宅で考えてもらってレコーディングスタジオで合わせていくことにした。スカートは全員住む地域がてんでバラバラで、普段は中間地点のリハスタに入るけど感染の拡大を抑える努力の結果、こうなることに。みんなと集まるのも3月半ばの3人リハ以来だし(ああ!ホールワンマンは結局全体リハは一度もできなかった!!)、アンプで音を出すのも久しぶりだ。知らない街の知らないスタジオで矢部さんのトリビュート盤の曲を合わせたり、仕事で演奏する曲を合わせたりする。全てがいい方向に向かい、リハーサルを終え、ロビーでだらだらしながら近況を話し合った。「職場の近くの評判のとんかつ屋、こんな時期なら空いてるかなって思っていったんだけど全然混んでたね」「ミュージシャンやってると家から出ないだろうけど」「街はもう割と普通でさ」と佐久間さん。行きの電車は混まないけれど帰りの電車は混むそうだ。そういえば、電車に乗るのは昼過ぎか夕方以降のことばかりだ。外の世界がただでさえ遠いのにまた遠くなった気がした。

リハーサルの前は医者にかかっていた。前日、改めて泌尿器科にかかり、レントゲンを新たに撮ったが「石が見えないんだよね〜一応CT撮ってきて」と言われ内心震える。都内にあるクリニックのどこがいいですか?と訊かれ、中野や新宿を押し除けて池袋を選択した。車で池袋まで向かった。クリニックの待合室ではNICE POP RADIOのXTC特集に備えて伝記を読んだ。新人バンドが評判を得て、夜な夜な熱いギグをするライヴレポートが転載されていて胸が熱くなった。そしてDrums & Wiresのツアーで客入りがとても悪かった描写に泣く。「トワイライト」のツアー、東京札幌は満員だったのになんで大阪名古屋あんなに人入らなかったんだろうな……とページをめくる指に気持ちがさらに入った。診察室に入り簡単な問診。酒は飲むか、タバコは吸うか、などを聞かれる。そして「エコーだと石があるっぽいんですけどレントゲンだと写らなかったみたいで。それで一応CT撮ってこい、と……心配で心配で。」と説明をすると「また2,3割はレントゲンでは写りませんからね」と言われ(……2,3割で爆発するロシアンルーレットなら嫌だけど2,3割打つバッターなら全然いいもんな……)と考えるに至り、心が軽くなった。CTを撮る時、若い医師が「これからCT撮るんで……ズボンをこちらが用意するものに履き替えて欲しいんです。これからお持ちしますんで」と言うので「そんなに大きいものありますかね……」と返すと、最終的には履いていたジーンズを腰まで下ろすという折衷案が提示された。あっけなく撮影は済み、会計もそれに倣ったようだった。池袋の街、それも西口は人もまばらでABCに初めて入り、洋食を堪能したのちココナッツディスクにも顔を出した。中川くんはいなかったが新入荷コーナーにはPrefab Sproutの"When Love Breaks Down"の12インチがあった。未発表、未CD化の曲がいくつか入っているやつでずっと欲しかったのでとても嬉しい。それとTeenage FanclubのEPを買った。

時間をリハーサル後に戻す。みんなと別れ、東京の東側から西側に戻る途中、錦糸町を通るルートを走っていた。突然ピンときて以前行ったアジアカレーハウスに向かってみることに。テイクアウトがあったらラッキーだ、と思って車を停め、錦糸町に足を踏み入れるとそれは数年前にきた錦糸町の感じのままだった。アフターコロナの世界とは?「どう?」と声をかけてくるおっちゃんもいた。目当てのカレー屋に着いて「テイクアウトやってますか?」と尋ねると「やってるよ」と即答。うれしいね!「2つください」と言うと店主が既に包んであったものを渡してくれた。こんなにスムーズにいくとは思っていなくて笑ってしまった。猥雑な街を背に2ヶ月ぶりなsuica決済で駐車場代を払った。そうしていたらその何日か後には歌舞伎町でのクラスター感染が報道されていた。少し混乱する。アジアカレーハウスのカレーは最高だった。チキンカレーとマトンビリヤニのセットで1200円だった。

レコーディングのためにトレモロエフェクターが必要だ、と自転車で吉祥寺まで出た。身体を動かす悦びに浸り、楽器屋を回ったのだが山野にあったもの一択しか選択肢がなかった。試奏して慎重に購入を決断。これで私はまた強くなった。