幻燈日記帳

認める・認めない

Mごめ

30日

 

数日前に白武さんから突然LINEが来た。「大鶴肥満を追ったドキュメンタリーの上映イベントにコロナで大鶴肥満が出演できなくなってしまったから代役をやってくれないか」という内容で一も二もなく飛びつき、出演することになった。GERAもstand.fmもどちらも聴くほどのまーごめ(マーちゃんごめんねの意)な私にとって、これほど嬉しいことはない。ママタルトはめちゃくちゃ好きで、2019年の秋、爆裂な台風が来ている中、新宿のブリーカーでやったライヴは最高だったし、それより更に前に見たグレイモヤでの「チャイニーズデカ腹ピンク大将やん!」にもグッと掴まれ、それよりも昔に何かで見たときの「エッチだるま」というフレーズは折に触れて思い出す。(檜原さんがnoteに書いてくれましたけど、2019年のM-1の一回戦の見に行こうとしたら、待ってる人が多すぎてママタルトも赤もみじも見れなさそうだ、となり、向かいのらんぶるでチョコレートパフェをしばいていたら檜原さんが気づいてくれて、AirDropでステージ上での録音をくれたのでした。この録音は広島での弾き語りライヴと「標識の影・鉄塔の影」の作曲スケッチに挟まれてボイスメモに保存されています。)大鶴肥満さんの代役ということならば、とピンクのジャケット以外を急いで手配し、無事に当日を迎えたわけです。大鶴肥満さんを追ったドキュメンタリー「まーごめ180kg」を会場で見たわけですけど、私もBMI値48前後の世界を生きている人間ですので、肥満さんがプラスサイズとして生きて来たこれまでを見ると、自分の中にも人知れずできあがった厚い壁のようなものがあって、それは常に作品として外に出ているのかもしれない、なんていうことも考えた。私は幸い、ひどいいじめのようなものを受けずに来た。(今でも顔も忘れず恨んでる人なんて数えるほどで、とりわけ今でも不幸にな〜れ、って思っている人なんて「質問するときは手あげろって言ったよな、クソデブ」と言ってきた「たかしん」っていう塾の先生ぐらいだ。)それでもやはり常に何かちょっとしたことで傷つくように世の中ができている。たとえばスペースマウンテンに乗ってみたら安全バーの締め付けが尋常じゃない、とか、かわいい靴を見つけて買ったら足の甲の高さに全然合わなくて足が爆発しそうになったり、デザインが死んだ大きいサイズ専用コーナーで喉を掻っ切って死んでしまおうか、って思ったことは一度や二度ではない。こないだのライヴでも話したような、メッセンジャーバッグを買いに行ったら肩掛けの紐が短すぎて鞄として機能しない、みたいなことが常に転がっているわけだ。そうして私の口数は減っていったのだ。あらゆる意味で生きづらい、それをどう捉えるべきか、と悩むことなんてもう飽きてしまったけれど、まーごめ180kgを見て、もう一度向き合ってみなければ、と思ったとか思わないとか。みんなも見て思ったり思わなかったりしたらいいと思う。深刻な部分ばかり書いたけど超楽しかったです。

 

終演後、真空ジェシカのガクさんに「快楽天の連載も読んでいます」と伝えると、一瞬ファン過ぎて快楽天の連載まで追ってるように取られてしまった。申し訳ねえ、罪滅ぼしに、今わたしが単行本を心待ちにしている成年漫画の作家さんを紹介します。いだ天ふにすけ先生、なまえれんらく先生、高柳カツヤ先生、シャモナベ先生です。そもそもここの幻燈日記帳という名前も、三浦靖冬さんの単行本から拝借しています。

 

劇場版まーごめドキュメンタリー まーごめ180キロ | Zaiko