幻燈日記帳

認める・認めない

時間クーラー作戦

歌詞難航。それでも最初の3行だけ書いて眠る。起きてほぼボツにする。ときどき多用してしまう言葉や言い回し、というのがあって、「たどり着けるかな」みたいなこと言い出してしまっていたのでなるべく避けよう、と心を鬼にして消した。いつか発表されたときにその言い回し使われていたら「あ〜他には思いつかなかったのね〜」と思ってください。そこからまたしばらくデモを聴きながらうーうー言う。景色は見えてくるんだけど言葉が追いつかない。昔はこの状態で深夜のファミレスとかで2時間ぐらいうーうー言ってればそのうち言葉がついてきたんだけどもう随分変わっちまったから……

 

息抜きのApexは相変わらず。現在ゴールドのⅡで、Ⅲに落ちるまでタコ殴りにやられてそれまで使っていたスピットファイアとチャージライフルの組み合わせを諦めてEVA-8とかマスティフショットガンとかに持ち替えてみたらちょっと調子があがってきた。

 

原田治さんの展示で静岡の会場から販売が開始されたぬいぐるみがあまりにかわいくて、年明けの緊急事態宣言の中、行ってしまおうか何度もまよって結局いかずにハンカチ噛んでいたんだけど、通販に来た!すぐ購入。(レコードはいるショッパーも2枚ずつ買ったし、ハンプティダンプティのやつは普段遣いできたらしたいから4枚買った。)可愛すぎる。最高すぎる。ぬいぐるみを買うなんて随分と久しぶりだ。

sodafountain.online

サーフズ・アップ

私の中でずっとなんだか買い出しにもいけない雰囲気が続いて昨日の洗濯、布団干しが(私の中で)好調だったため、車に乗ってOKストアに買い出しへ出た。この1週間に必要そうな生鮮食料品といくつかのお菓子、加工食品、牛乳、卵。助手席で恋人が「夕暮れじゃん」といった。

 

いよいよ締切がヤバい。ヤバいのにヤバい音源を見つけてしまった。満員の無力無善寺豊田道倫(この日の豊田さんの「五体満足」は歴代でも屈指のライヴ・テイクだと今でも思っている)を前座として迎え、開催されたザ・ムンズのライヴ音源だった。15年前のライヴ音源。ビットレートが低い音しているけど、そういうものを踏み越えて目の前に襲ってくる。開場で聴いてあまりの演奏に恐ろしく興奮したのを今でも覚えている。無善寺では最高のライヴを何本も見た。18歳だった。

 

ザ・ムンズ(THEMUNZ) サーフズ・アップ(surf'sup) 2006年9月9日高円寺無力無善寺 - YouTube

 

インターネットの酸素が薄い日々が続き、私はメイン・アカウントのタイムラインを見るのを諦めた。言いたいこともあるし、こう思っている、ということもあるけれども、今この瞬間になにかを伝えるというのは自分が言いたいことも思っていることも台無しになってしまう気がするのだ。

 

私のエンジェルの

UOMOの季節に一本の連載の原稿がまったく進まず。書けば終わるのに書かないから終わらない。遠くを見るだけの時間が過ぎたとき、外がとても晴れていることに気がつけた。そういえば今日は一桁のうちに起きることができた記念すべき日だ。それを祝して布団を干した。アレルギー持ちなのに万年床でろくすっぽ掃除機すらかけない状態だからここ数日はひどい鼻水で目が覚めることが多かったのでこれで少しはよくなるといいな、なんて思ったりするが掃除機はかけなかった。俺はダメ。もうまったくダメ。でも洗濯はした。最高。俺最高。

 

原稿仕事が進まない理由でもあるのかもしれないけど、原稿書いているときは耳が空くから好きよ。音楽作ったり、詩を書いていると他の音楽はきけないからね。なので積んでいたレコード、買ってきたをちょっとずつ聞いていく。細野晴臣さんの「あめりか」が最高だった。アメリカのオーディエンスの反応がとても興味深く、レコードのお供最高だしとにかく楽しい。大好きな"Angel On My Shoulder"はいつかのリキッドルームで聴いて、アレンジが変わりすぎて「あの曲なんだったっけ……でもあの超好きな、なんだっけ……」となっていたけど帰りの電車か、次の日だったかに「あっ!シェルビー・フリントじゃん!」ってなってじわじわ幸せが襲ってきたことがあった。あれはあれで得難い経験だったけど、その"Angel On My Shoulder"が始まると大歓声があがって、それを聴いて私も「わぁ!」と声がでてしまった。

 

Angel On My Shoulder (Live at The Mayan Theatre, Los Angeles, July,2019) - song by Haruomi Hosono | Spotify

 

藤本タツキさんの新作短編漫画「ルックバック」最高でした。読み終わって、もう一度読もうか、なんて思って最初のページの黒板に"Don't"って書いてあるのを見つけた。猛烈に切ない。

ルックバック - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+

 

 

はさみをつくろう、はさみでないとだめ

数日前にケラさんのニューアルバムがほしかった、と書いたけど、レコ屋で買うのを諦めて通販か近所の店で取り置きができるかどうかを検索したのだけど、身近な店にはどこにもなくてタワレコで在庫検索をしたら渋谷にまだ在庫があった。それならば!タワレコ内のパイドパイパーハウスで特典としてバッヂがつくシトロンのアナログやパイドパイパーハウス限定で販売される小西康陽さんが曲を書いた麻田浩さんの7インチもほしいんだ!とケラさんのアルバムを取り置きをしてもらうことにしたので、それらを取りに車で渋谷に向かった。車に乗るときはiPhoneのミュージックに入っている曲を全曲シャッフルして一喜一憂することが多かったのだけど、(そろそろ締切が近いからなのか)スカートを全曲シャッフルして聴いてしまった。デモやラフミックスなんかもたくさん入っているから集中力が全然もたないんだけど不思議と気分がいい。そして締切が近い曲のデモを聴き返す。いい曲〜

 

東急に車を止め、タワレコに向かう。どうしても過去と比べたがっている自分に嫌気がさす。まるでいつもどおりのタワレコに入り、目当てのものを手に取り、King Of Convenienceの新譜も手にとった。TwitterInstagramのストーリーで見てなんと素晴らしいジャケット!と思い購入。限定盤のホワイト盤しかなかった。盤は黒いほうが音いい、と聞いて育った部分もあるから黒いのがあるならそっちを買うようにしてるんだけど、最近のアナログは色がついている盤でも音がいい気がする。ケラさんもKing Of Convenienceも実際音はよかった……

 

結構な額の会計を済ませたときは、まるで新しい気持ちで「俺もおとなになった」なんて思ったりもした。でもそれは学生時代の亡霊が金に執着しているだけのような気がしてなんとも気味が悪い。以前、父が「結婚してとにかく最初の何年かは休みたいなんて思わずがむしゃらに働いたよ」と言っていたことを時々思い出す。私は果たして最初の何年かをがむしゃらに働くことができるだろうか。その立場立場で見えるものが違って、その視点はなるべく多いほうがいいとは思うけど、押しつぶされそうになる感覚がないわけではない。もはや子どもの対義語が大人というのも違うような気がしてきた。でもそれは呪いのようなものであって、でもそれは社会性の歯車かもしれなくて、でもそれは秩序への誘いかもしれなくて。

 

突然深刻な気分になりかけたのでジュンク堂で漫画を物色。店に入って驚いたのがシュリンクされた漫画がすごく減っていたのだ。あまりにも人が来ないもんだからシュリンクすらしなくなってしまったのか!?と思ったけど、家に帰って買った本を見たら剥がれやすいシールで留めてあった。靴下ぬぎ子先生の新刊は売り切れてしまっていたけど、ダンピアのおいしい冒険の3巻は買えた。あと吉祥寺のカレー屋、ピワンも本も買った。重くなった荷物を車に置きにいったあと、東急の地下でランデヴー。京都のだし巻き卵とかを買って家に帰る。夕方であった。車は渋滞。帰りもスカートを全曲シャッフルしていたが途中で「トワイライト」のB面が聴きたくなり、再生をする。やっぱり「トワイライト」は力作だった。今からでも売れないかな。

 

まとめからの彷徨

3週間分ぐらい溜まっていた段ボールをまとめてエイヤッと捨てたら気持ちが楽になった。段ボールがなくなるとどうしてこんなに部屋が汚いんだっけ、と真顔で思ってしまった。この調子で部屋がきれいになったらもうちょっと気分は楽なのだろうか。わたしはそこにエイヤッとはいけない。ならばどこならばエイヤッといけるのだろうか。

 

ひとつの大きな仕事が終わったので積んでしまっていたレコードを少しずつ聴いている。空気公団のニューアルバム「君と僕の希求」は本当に心強いレコードだった。メンバーが脱退してゆかりさんひとりとなってはじめてのアルバムで、シンプルでちゃんと言葉にするのが難しいのだけど心強いレコードだったのだ。インタヴューもなんて説明していいのかわからないけど心強かった。

そして空気公団はつづいていく。ひとりになった山崎ゆかりが新作『僕と君の希求』を作るまで | Mikiki

 

 

サミット

ここ数週間ぐらい根詰めていた案件がなんとか終わってもぬけの殻になった。やったったぞ、と思ったのもつかの間、もう次の仕事が目の前にある。なんだか、こういう感じももう懐かしくて嫌じゃない。だから昨日は6時間ぐらいApexをやってしまった。私は愚か者かもしれない。

 

昔のシェアハウスの住人からイノダコーヒーのレモンパイが新宿伊勢丹で買える、という怪情報を得て数日前に行ったらもう売り切れていて、13:30にはなくなっちゃいましたね、と言われたので週明けの今日にリヴェンジしてきた。レモンパイも無事買えてせっかくのおでかけだから、とここぞとばかりにお惣菜やらスイーツやらを買った。ちょっと足を伸ばしてマルイアネックスで開催中の京都レコード祭りにも。予報では夕方前ぐらいに荒天になるかも、みたいなニュースを見ていたので、外にいるときに天気が崩れたらいやだな、とあんまり真面目にみれなかったけど100000tレコードのコーナーでピアソラジェリー・マリガンの共演盤と、ジョー・ピューマの1958年のやつのフレッシュサウンドからの再発、クレモナのコーナーでボウイのスケアリー・モンスターズ、アート・ロックのコーナーでスターバックの3rdなんかを購入。会計したときにレジの方と雑談がはずみ「このイヴェントどこで知りました?」と訊かれ「京都のレコード屋のファンなんでTwitterでみて来たんですよ」と答えた。普段だったらショッパーは会計につき1枚だけど、ショッパーを購入しないといけない形だったので記念に2枚買った。緊急事態宣言とはなんなのだろうか。街はいつも通り、のようにもはや見えてきてしまう。本当はタワーによってケラさんの新譜とか欲しかったのだけど、そこまでの気力はなく、後日に回すことにしてしまった。天気は崩れることなく、無事部屋に帰れて、すぐシャワーを浴び、買ってきたものにアルコールを吹き替えて冷蔵庫にしまったりしまわなかったり。

 

なんだか少し疲れて少し眠って、起きたら夜になっていた。買ってきたピアソラとマリガンのレコードを聴いて不思議な気持ちになる。ピアソラとマリガンのレコードだよ、って言われないとわからないかもしれない。ピアソラ!マリガン!みたいな気持ちで聴くと肩透かしを食らうかもしれないけど得体のしれない不思議なレコードだった。夏が近い夜でよかった。

そうゆう訳で船を作ったんだ

以下、6/7から6/12、"THE SUPER MOON"へと至る日記となります。7/18まで配信をやっておりますのでみなさまぜひ御覧ください。日記はセットリストを含むネタバレばかりとなっておりますのでご了承ください。

【配信】moonriders 45th anniversary "THE SUPER MOON" | ticket board

 

 

 

 

6/7

ムーンライダーズのリハーサルが始まった。はじめて入るスタジオ!はじめてスタジオで鳴らすギター!最高。慶一さんが挨拶で「みなさんはこれから一週間ムーンライダーズのメンバーです」と言って最高&プレッシャーで感情がぐちゃぐちゃになる。最初に合わせたのは『夏の日のオーガズム』。今回のライヴは前編がオリジナルメンバーのライダーズを中心としたアコースティックセット、そして全体が加わる後半。その後半の曲順で合わせていくようだ。優介の原曲に忠実なシンセの音色に早速心が躍る。アコギにするべきか、エレキにするべきか、というのをスタジオの流れを見ながら、良明さん、慶一さんの意見をもらいながら決めていく。『夏の日のオーガズム』はエレキになった。バッキングのあのエレキギターだよ!

『春のナヌーク』はアコギをかき鳴らしながらハモり。これがとてつもなく気持ちがいい。

『スパークリング・ジェントルマン』と『酔いどれダンスミュージック』は新アレンジ。どの曲もそうだけど、(管が入るから、というのも大きな理由だと思うんだけど)ほとんどの譜面が昔の譜面じゃなくて、今回のために用意された譜面が届いている。45周年を迎えてもなお、アップデートされつづけているその様に静かに、そして大きく感動したのだ。初期のレパートリーを確実に今のムードに近づけていく。そうしてその2曲が徐々に形づいていくのがめちゃくちゃ面白い。こうなるんだ、そうなるんだ、ああいま僕はムーンライダーズなんだ!

その後も順調にあたりをつけていって初日のリハーサルを早引けしてサンレコの取材を受ける。何度も「底辺DTMerですけど大丈夫ですか」と念押しした企画。そのうち記事になると思います(註:なった)。取材からの帰り道はムーンライダーズを全曲シャッフルで聴いた。夜風とムーンライダーズで気分が高揚してくる。

 

6/8

昨日、バンドは全曲分を触っていたのでリハーサルの序盤は前半部分のリハーサル。漏れ聞こえてくる『弱気な不良 Part-2』に震える。そしてヴォーカルで参加する『夢が見れる機械が欲しい』をあわせる。一度慶一さんからヴォーカルを取ってほしい、とメールが来ていたのだが、「たとえば原曲と同じでオクターヴ上だとどうでしょう」と提案。スタジオに入ると慶一さんは「すごいね、(原曲聴いたら)ずっとオクターヴ上歌ってたよ」と笑っていた。そういうやりとりを経て、くじらさんの歌う主メロのオクターヴ上を歌う。普段だったら裏声にしなくても出る音域だけど、曲に合わせてほとんどのパートを裏声にしてみたらハマって、詩やメロディがどんどん入ってくるし、どんどん飛んでいく。「一匹の虫が鳴いてるだけ」と歌っている時、音楽がとても気持ちよくできている感覚と深すぎる孤独が同時に襲ってきて、これらは本当に相反するもので、矛盾しているのだろうか、とか考え込みそうになり、大変なことになった。それなのに、演奏が終わった頃にはバグり散らかした感情が元通り、いや晴れ渡っているじゃないか。これが浄化なのだろうか。その浄化された気持ちですぐ「夏の日のオーガズム」を合わせたのだが、やはりまだ完全に気持ちが元通りになっていなかったらしく、譜面を追えない瞬間がたくさんできてしまって、いろいろ紙一重なのだ、と今更ながら改めて痛感した。

休憩の間、野田さんと話す。「いやー昨日は驚きましたよ。ムーンライダーズのメンバーだなんて!」というと「もう打ち合わせの段階でゲスト、っていう言い方をするのはやめたい、って話し合っていた」という。

全体パートのリハーサルが終わって「じゃあバンドの皆さんは明日3時に」と言われ、合わせる曲も数曲なのだから残ったりすりゃよかったんだけど、ずっと居てもずっと居る人になっちゃうな(はじめて慶一さんのレコーディングに参加したとき、まだ20代半ばで外部のスタジオなんてほとんど来たことがなくて、自分の録音が終わったあとにどういうタイミングでどのように帰ったらいいかわからず、ずっと居座ってしまったトラウマがあるのだ)、とそそくさと家に帰って、3度目の追い焚きの湯に浸かり疲れを蒸発させようと試みる。

 

6/9

スタジオに入る前に衣装に着れる服を探しに新宿の某服屋へ。ちょっとハデめのものを…と探したがサイズがない。泣きながら「いいものがない…」と家にいる恋人にLINEをするとその服屋のサイトを見ながら在庫があるやつでいいものを見繕ってくれた。購入。新宿からスタジオへ向かう間、昨日の録音を聴き返す。やっぱり「夢が見れる機械が欲しい」すげえ、って笑っちゃった。

三日目、ということもあって緊張がようやく和らいできた気がする。「夢が見れる機械が欲しい」のあとでも譜面を追えなくなったりもしなかった。ミスは少しずつ減っている。序盤の方では最後まで演奏する、という大きな目標があったような気がするけど、3日目になり、コーラスの細かい確認など、より細部の確認にバンドが移行していく感じも楽しい。

休憩時間、なおみちさんと「スパークリング・ジェントルマン」をあわせる。優介がキーボードを触っていたので覗いてみる。スカートでは車に積みっぱなしのKORGのキーボードを広げるだけだが、レンタルのキーボード、持ち込みのMIDIキーボードとPCに囲まれてて「ふふふ、本気の現場じゃないとこれ(MIDIキーボードとPC)持ってこないから」と言っては「涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない」のメロトロンの音色をテープシュミレーターのプラグインをかけ、揺らして微調整をしていた。「原曲のメロトロン、ちょっと揺れてるからね」。マニアの受難である。

 

6/10

最終日。バンド全体で何曲か確認。『スパークリング・ジェントルマン』で一箇所歌詞を間違えて、そのまま譜面を見落としていった。メンタル弱すぎ。その他もより細かくコーラスを詰めていったりしながらも、スムーズに進み、全体を通す。序盤も最高。事前に配られた歌詞を見ながらリハーサルをライヴのように楽しむ。『蒸気でできたプレイグランド劇場で』の最後の歌詞が変わっていて泣きそうになる。アマチュア・アカデミーからの2曲も感極まっちゃう。そうこうしていると出番が来た。『弱気な不良 Part-2』の後奏からステージに入るのを意識して、そのまま『夢が見れる機械が欲しい』へ。2日前に感じた感覚も体に染み付き、心が必要以上に揺さぶられないようにはなった気がする。『夏の日のオーガズム』以降の後半のバントパートで慶一さんが椅子から立ち上がってギターを弾いている後ろ姿を見ていて、改めて実感が胸に押し寄せた。

くじらさんの奥さん、道子さんと話していて、「ムーンライダーズではどんな曲が好きなの?」と訊かれて本当に困ってしまった。なんとか「くじらさんの作品なら『俺はそんなに馬鹿じゃない』が大好きです」というのが精一杯だった。ライダーズの話をしていて終わりの方で「普段あんまり歌詞カードみてCD聴かないじゃない?だからリハーサルで歌詞カード見ながら聴くと改めてこういうこと歌っていたのね、って驚くの」とおっしゃっていて、『夢が見れる機械が欲しい』をはじめて歌った時のことを思い出した。歌詞カードも見ながら聴いたし、詩集でも読んだこともあったけど、思い返せば歌詞カード見ながら歌ったことなんてあっただろうか。そうだとしたら単純に驚いていただけなのかもしれない。

くたくたで終了。スカートチームと慶一さんで待合室でクールダウン。住んでいる場所の話や、衣装の話をしたり、昔の話をいろいろうかがう。あの曲のあのフレーズすごいっすね、とか、そういうところからいろんなエピソードが出てくる。長くいすぎて話の途中で笹川さんが「はい!もう終わりです。早く帰りましょう~」と入ってきて解散。帰り道、改めて『涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない』のオリジナルを聞き返した。

 

6/11

アメリカン・ユートピア見に行こうかと思ったけど、ストイックに行こう、と断念。最終確認をして、楽譜にちょっと手を入れて、洗濯しておとなしくその日を迎えよう。

 

6/12

ライヴに対する細かく(楽器の持ち替えはゆったりやりたい、といった内容からアウトロ、譜面とは変えよう、とか)やりとりが直前までメールで飛び交っていて嬉しくなっちゃった。起床して熱を測り、平熱を確認。カムジャ麺を作って食べる。何度も細かく持ち物もチェックしたから忘れ物もなく家を出ることができた。車で最終日のリハを確認しながらあそこはこう、そこはこう、なんてシミュレーションしていく。ああ本当に今夜、ムーンライダーズのステージに立つのか。

EX THEATREに行くのは2度目で、前回来たのはなんでだったのかイマイチ思い出せない。ceroのライヴだったことは確かなんだけど、そのときもなぜか車で乗り付けたことは覚えている。機材の回収だとしてもceroがスカートの機材使うとは思えないし、あれはなんだったんだろう。

ついてすぐ楽器の音を出し、そのままリハーサル。僕は4日間のリハーサルで得たモニターの感覚が広いホールのステージ上ともなると少しズレてしまって最初は手間取ったものの、なんとかうまくやれそうだし、なんとなくみんな調子がいい気がする。リハーサルの途中で岡田さんが到着。腰を骨折してしまって入院生活を余儀なくされ、今回のリハーサルは不参加だったものの、なんとライヴの直前に無事退院。アンコールでステージに立つことになった。アンコールのリハのとき、岡田さんが挨拶をされて、そのまま『さよならは夜明けの夢に』。はじめていったライダーズのライヴの1曲目だったし、なんてたって優介+ムーンライダーズでの演奏だったもんだから、泣いちゃった。

「夢が見れる機械が欲しい」を合わせているとき、それまで使っていたものではなく、リハの初日に配られたものを間違って出してしまっていて、途中で歌詞をロストしてしまった。何一つ思い通りに行くと思うな、本番には魔物がいるんだ、ということを改めて肝に銘じ、間違えてみていた歌詞カードを4つに折り畳んだ。リハーサルが終わって楽屋に戻り、しばらく経った頃、ステージが映し出されたモニターを見ていたら優介はまだ機材のチェックをしているようだった。チェックが終わった優介とふたりで楽屋に入った岡田さんと会う。今回のライヴの話をして、『さよならは夜明けの夢に』はふたりでピアノとエレピで分けようか、とか話しているのを眺める。「ほら、レコーディングだとピアノもエレピもつかってるし」「あの曲はほとんど慶一とふたりで録音したんだ。でもコーラスにすごく時間かけてディレクターが怒るんだよ。だから先に帰らせた。」と笑いながら岡田さんがいう。元気で本当によかった。「今日のライヴはスーパームーンライダーズ?」と訊かれたので「正式なのはわかりませんが慶一さんはライヴのタイトルと同じ、”THE SUPER MOON”とリハーサルでは紹介してくれましたよ」と伝える。

 

本番10分前にみんなで45周年と岡田さんの退院を祝うケーキを囲んで記念撮影。下手の舞台袖でライヴを観る。『BTOF』に向かう優介を見送って自分も上手に移動。上手に向かうために細く、天井が高い裏の動線をライダーズの演奏を聴きながら歩く。ああ本当に今夜、ムーンライダーズのステージに立つのだ。『Masque-rider』がキまり、『弱気な不良 Part-2』の混沌の中、ステージに出ていき、優介がピアノを弾く。くじらさんと目を合わせる。そうして歌い出す。